【 個人山行 】 室兼高屋 ( 678 m Ⅲ△ ) SM
飛騨川下流部沿いの岐阜県七宗町にある室兼高屋に登って来た。低山ながら、岩峰あり、ガレ沢ありの難解なコースであった。その覚悟が不十分だったのだろう、2度ほど方向ミスを侵し、高屋往復のみの山行に終わった。当初計画していた山の奥に広がる七宗国有林の探索やかつて室兼集落の里山だった頃の民俗を探ることもできなかった。いつか、再登してそれらを実現したいのだが。
- 日程:2023年9月18日(月・祝)
- 参加者:SM(単独)
- 行程:自宅6:20⇒国道41号⇒七宗町役場⇒老洞集落⇒7:25石作(いしつくり)谷林道ゲート⇒駐車地
駐車地(標高約210m)8:00→8:15登山口(小尾根取り付き)→9:00尾根から谷筋へ降下→12:00幅広尾根→12:15西コース分岐点→14:15七宗権現→15:00室兼高屋(点名高屋)15:30→15:50七宗権現→16:20西コース分岐点→17:00西側枝沢降下開始→17:30石作谷出合→17:40駐車地 - 地理院地図 2.5万図:河岐・上麻生
国有林内を歩きたくなり、比較的近い七宗国有林を調べているうちに、室兼高屋という山の存在を知った。まず、山名を聞いてその響きの心地よさに惹かれた。室兼は山の西側にある比較的大きな集落の名前だ。その村人が昔から上り下りした里山だったのだろう。
登山道と言っても薄い踏み跡だけだが、室兼集落から東に向かうコースと約2㎞下流の老洞集落から延びる石作谷の奥から尾根を北上するコースがある。私は石作谷コースを選んだ。登山口には説明板など皆無、古いビニルテープ数本があるだけ。暗いヒノキ林内に踏み跡が上っていた。(写真①)
急な斜面をジグザグして上がる。各所に赤テープがあり、踏み跡も確認できた。100mほど上がって、標高308mの岩峰横の尾根上にあがった。(写真②)
尾根上の踏み跡をさらに約100m上がった地点で尾根を外れ右手の谷側に下りた。幾つかの山行記録にあるコースだった。だが、踏み跡もテープ類も消えた。実は、谷筋に降りる地点を間違えていた。正コースは高度にして50mほど下にあったのが、見逃したのだ。そこには踏み跡もテープもあったはずだ。それに気づかず上がり、谷筋におりて小尾根に上がったあと、ロープで急斜面を降下したり、岩尾根をよじ登ったりして、広い尾根合流点に達した。やがて、室兼集落に至る登山道の分岐点に達した。七宗町の文字入りの黄色いプラ杭が時折現れて(写真③)、赤テープも少ないが現れる。先ほどの道間違いで2時間ほどを失った勘定だ。
以後はゆったり広い尾根筋、薄い踏み跡だが、わずかだが赤・青テープもある。終始細いヒノキの人工林で尾根から外部の眺望はほとんどない。ただ、標高510mほどの岩稜部からは二つのコブが見渡せた。(写真④)手前の形の良い岩峰の奥に小さな突起が見えた。室兼高屋がその向こうに隠れている。最初のコブについて、ある山行記録に西側を巻くとあったので左側のやぶ斜面を巻いたが、その先で誤って枝尾根に入ってしまう。気付いて苦労して二つ目のコブに上がると小さな「七宗権現」の山名板を見つけた。(写真⑤)近くに権現様の祠がないか探したが、見つからなかった。
ここからは平坦な尾根筋をたどり起伏のない道の真ん中に室兼高屋の薄黒い三角点を見つけた。(写真⑥)点石から20mほど北から東側の視界が開けた。すぐ下に約650mの丘が見える。丘の手前の谷筋を通る北西から南東に向かって七宗国有林(約1500ha)の境界線が延びている。当初計画では室兼高屋から同国有林内に入り、林内の細洞林道を歩いて樹林の様々な姿を観察観照して見たかった。願いはお粗末な失態で消えた。(写真⑦=山頂から北東に広がる七宗国有林の山野、鉄塔のある二つのピークの向こうに飛騨川本流が流れる。手前の山名はイバラダニというらしい)
帰路は往路を順調に戻った。しかし、標高約580mで往路から外れ正しいコースに入る必要があったのに、つい往路で付けた赤布を追って、降りてしまった。気づいた時にはすでに遅し。尾根筋に戻るは辛い。結局急峻な斜面を時間をかけて下りて、小さな枝谷に下りた。これを下れば石作谷に出るという確信が持てたからだ。広い谷筋に下り進むと傾斜は緩くなり、左岸の平らな樹林帯を降りて、石作谷林道に戻った。往路の登山口より100mほど下流の位置だった。樹林で塞がれ暗い谷筋に夕闇が迫る手前でまだ明るい林道に出られた。
思い返すと、谷筋で小さな流れから手ですくって飲んだ水の清涼感。失態の鬱屈を吹き飛ばしてくれたかのようだった。
でもそれはまずいよと言われそうだ。今回の道間違いの最初は正規コース入りを見逃した点だ。前述のように、尾根筋から東側の沢への降下地点を見逃した。地図での位置確認を怠ったのだ。また、踏み跡もないテープもないのに間違いに気づかなかった。多少コースを間違っても、大丈夫だろうと考えたようだ。そのせいで小さな岩場や激斜面に遭遇して、時間を浪費したのだ。距離が短い割に、鋭い岩峰や平原状の樹林帯もある変化に富んだ山系は魅力に富んでいる。しかし、どこも拡大造林期のスギ、ヒノキの人工林が木枝を密に広げ隣の尾根さえ見えない。地図読みの高度化、正確さが一層必要だと痛感する。
当初目標は室兼高屋からイバラダニを経て七宗国有林内に入り細洞林道を歩きたかった。一方、室兼高屋の山系は西側にある室兼集落の里山であった。今でも山頂まで薄い作業道跡が残り、生活に密着した民俗の跡が残されている。また、室兼高屋のすぐ南の峰で見つけた「七宗権現」山についても史実を知りたいものだ。下山後に、室兼の集落に寄る時間は全くなかった。心残りのまま帰路についた。完
発信:9/22
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