大垣山岳協会

余呉菅並ブナの美林に満開の樹氷・横山岳 2023.01.19

横山岳

【 個人山行 】 横山岳 ( 1131.7m Ⅱ等△ )桑樹谷尾根~北尾根~西尾根下降 丹生 統司

 横山岳北尾根のブナ林が好きで雪床で埋められる残雪期に毎年訪れる。今年は年が明けてから降雪が少なく伊吹山も所々に黒い肌が見え出した。雪深い余呉菅並だが今を逃すと冬が去ってしまいそうで急遽計画した。当日は標高700m辺りまで雨だったが上は降雪がありブナに花が咲いた。冬のお花見山行報告である。

<ルート図>
  • 日程:2023年1月19日(木)
  • 参加者:L.丹生統、大谷早、佐藤大、三輪唯
  • 行程:菅並中川原橋駐車地7:55-桑樹谷尾根取付8:30-点名・桑樹谷10:32-北尾根11:15-横山岳山頂12:09~12:50-点名・菅並14:48-駐車地15:15
  • 地理院地図 2.5万図:美濃川上・近江川合

 安蔵山が遠くに霞んで里の集落を見守る。菅並のこの景色が好きで毎年訪れるが空き地が広くなったような、戸数が少なくなっていくようで寂しい。

 浄水場施設の谷沿いの道から嫌な渡渉を2度して林道に合流し法面から点名・桑樹谷へ向かう尾根に取り付いた。細木が枯れて毎年手掛かりが少なくなり登り辛くなっていた。

 林道から高度で100m腐葉土で埋まった凹地の急直登が続いた。ヤブツバキが常緑の葉に水をたっぷり含ませて枝を広げ道を狭くして衣服を濡らした。雨のせいで雪が柔らかく踏み抜きが辛い。尾根に上がるとワカンを履いたが倒木が有ると越えるのに難儀をした。

 イヌシデ?クロシデ?広い尾根にはナラなどの落葉樹が多かった。冷たい雨はいつしか雪となって温度が下がり始めた。

 1月になってから降雪量が少なく雪は貧弱だ。此処などは例年なら大きな雪庇が発達しているはずであるが既に落ちてしまっているようだ。ワカンに新雪が付着して気になる。

 点名・桑樹谷着、残念だが三角点は雪の下である。ピッケルは持参していたが寒くて掘り起こす気持ちにもなれなかった。

 ブナの幹の曲線が素晴らしく本日のマドンナにモデルをお願いして一枚撮った。

 北尾根への斜面を息せき切って登りきるとブナの美林が現れた。ブナはやはり雪床の景色の中で見るのが最高、これから幻想の世界へ案内しよう。

 菅並集落の雨が上では雪だった、それが一層美林を引き立たせた。自分の物でもないのに「綺麗だろう」と自慢したくなる。それに答えて感激の声を発してくれるから嬉しい。

 見よ!ブナの花が満開。一句読みたくなるような景色であるが寒さが許してくれず立ち止まってじっくり鑑賞していられなかった。

 山頂へ向かい緩やかで広い尾根を行く、晴れておれば上谷山~三周ヶ岳、高丸、烏帽子山、背後に白山が見えて、東に能郷白山、更には蕎麦粒山の大展望が広がるのだが、

 下写真は昨年春に訪れた時の写真である。このように北と東に展望が開けているのだが今年は樹氷の雪景色と入れ替わって白山や奥美濃の山々の遠望はお預けとなった。

 ブナの老木にも花が咲いて「お花見もたけなわ」である。太陽がのぞけばもっと白さが際立ち綺麗なのだが一瞬で溶けて消えてしまう。樹氷はそのままに晴れて欲しいと我が儘な願いを念じてしまう。

 山頂には誰も居らず足跡もなかった。1mほどの積雪で山名柱が出ており例年よりは少ない方だろう。ガスに包まれて寒く食事休憩も会話は弾まなかった。休憩中に一人東峰から登って来たが遠慮気味に離れていた。声を掛けると車は白谷登山口までは入れたようである。

 下山は西尾根を下降した。尾根上部はガスに包まれ見通しが利かず急傾斜の上に支尾根も有り慎重にコンパスで確認して下った。やがて新雪の下に古いトレースを見つけるとペースは速くなった。

 嘗ての菅並集落のテレビの共同アンテナと思われる所でワカンを外した。私の子供時代、テレビのある家は裕福だけでなく心も寛容であった。夕飯時に「隠密剣士」見たさに近所の貧乏人の小僧がわんさと押しかけた。迷惑な話だが嫌な顔をされた記憶がない。現代日本社会に足りない寛容さを憂えている。

 いつも気付かず通り過ぎていた点名・菅並Ⅳ等△初めてカメラに収めた。

 下山口にある滋賀県指定記念物、銘木大ケヤキ幹回り8.2m。

 今回登路にした菅並から点名・桑樹谷を経て1020mの北尾根に合流する尾根については北尾根や北西尾根などの呼称でネットでは記載されている。横山岳から北に延びて奥川並川に裾野を落とす尾根が北尾根である。しかし、北尾根の1020mから西の点名・桑樹谷を経て南西の菅並に裾野を落とす尾根を北尾根や北西尾根と呼ぶには無理がある。方向的に南西尾根である。この尾根は奥川並川に向かう北尾根の支尾根であり桑樹谷尾根と呼ぶのが無難と考えて地形図に記載した。完

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