大垣山岳協会

アキアカネの飛ぶ山頂・平家岳 2023.09.03

平家岳

【 一般山行 】 平家岳 ( 1441.5m Ⅱ等△ 美濃百山C級 ) 福井県大野市久澤 NT

 面谷の悪路を越えて鉄塔巡視路の主稜尾根に立った。足元に青いリンドウ、頭上にはナナカマドの赤い実が垂れ、仰ぐ空は刷毛で刷いたような雲が秋の訪れを感じさせていた。

<ルート図>
  • 日程:2023年9月3日(日) 晴れ
  • 参加者:LMK、OH、ST、TM、TS、NT、FT、FM、MY、MT、MM、YC、WK、体験参加1名
  • 行程:面谷駐車地7:56-27鉄塔巡視路分岐9:02-28鉄塔9:40-美濃平家分岐11:12-井岸山11:29-平家岳山頂11:53~12:48-面谷駐車地16:55
  • 地理院地図 2.5万図:平家岳

 車の腹を擦らぬルート取り、パンクを避けるハンドル捌き、登山口の駐車地まで遠く感じた。2019年は26名の参加者、今回は14名でスタート、早く帰って来られる自信はあった。

 主稜尾根への合流手前で大きな天然ヒノキを見上げる。板取、川浦谷近郊の県境稜線にはこのような天然木が多く残されている。左門岳から屏風山の県境稜線では15本ほど見た。

 27番鉄塔近くの主尾根分岐へ到着、地形図で現在地を確認する。体験参加のF子さんへはMさんがマンツーマンでやさしく指導、物腰柔らかな説明姿に適任と思った。

 トラバース道の斜面にあるサワグルミの大木、水平に伸びた幹に立ってポーズをとる。もっと先まで行って欲しいが結構な高度感、無理はケガの元。

 28番鉄塔から北の方向を振り返ると白山が威風堂々と、しかし全く雪のない白山は少し威厳不足を感じてしまう。左に経ヶ岳と更に左に越前大日岳が見えていた。

 巡視路脇に真新しいクマのものと思われる爪痕が、幹は細いが風雪で叩かれて木肌は硬く荒れていたが爪痕は深い。人の肌ならどれだけ深くえぐられるやら、クワバラ、クワバラ。

 主稜尾根は高度を稼ぐ毎に木陰が少なくなって来る。木陰を抜ける冷気が心地よくて立ち止まった。空に浮かぶ細く長い雲が夏雲と何となく違って秋を感じさせていた。

 足元にはリンドウが深みのある青色でアピールしていた。ツルリンドウも赤紫色の小さな花をいくつも連ねて咲かせていた。ここにも秋が来ようとしているのだと感じた。

 30番鉄塔の肩越しに今から向かう平家岳が見えた。近そうに見えて実はこれからが遠い、31番鉄塔へ登ってから32番鉄塔へ下り、県境稜線へ向かって再び登り南下していくのだ。

 主稜尾根の送電線下の高木は全て切り倒されている。嘗ての天然ヒノキが白骨の芸術、オブジェとなって点在する。芸術の見方は人様々でこれはゴジラに見えたが、

 31番鉄塔へは1420m峰の西面山腹をトラバースして行く、向かう平家岳が見えて井岸山は平らな肩のようで山の頂に見えない。井岸山は岐阜・福井の県境稜線が屈曲する点である。

 31番鉄塔から見える西の奥美濃の山々である。中央に能郷白山、その右で鉄塔に邪魔された姥ヶ岳、能郷白山から左にピラミダルな蕎麦粒山、その左に長い北尾根を持つ金糞岳、最左平家の肩辺りの際に見えるのは貝月山であろう。

 休憩中に若者が抜き去って行く、声を掛けると立ち止まり会話を交わした。本日遇った2人目の登山者である。年齢を訪ねると28歳、青年と声を交わすだけで若返りそうだ。

 頭上にナナカマドがたわわに実をつけていた。未だ少し赤みが足りなく橙色をしているが秋の準備は着々と進んでいる。暑い暑いと人間だけがまだ夏から抜け切れていない。

 美濃平家岳(1450m)への分岐、送電線巡視路は此処で東から弧を描いて南へ向かう。分岐から130mほど下った所にヘリポートと作業詰所らしき小屋を十数年前に板取川浦渓谷の内啣谷から登った折りに見つけた。建物マークが地形図に記載されているので今も健在だろう。その時は下調べをしていなかったので発見したかのごとくに感動したものだ。

 巡視路を外れて登山道へ入ると藪で足元が見え辛くなった。天然ヒノキの大きな根が尾根を占領するように覆っており、それを跨ぎ越えた。

 県境の井岸山から30m下降して60m登り返す。足元にはオヤマリンドウとイブキトラノオとみられる薄赤い尻尾状の花が目を引いた。コメツツジも多いが花期は終えていた。背後に見えるのは美濃平家岳である。鉄塔と巡視路はあの尾根を板取へと続いている。

 急傾斜の階段状の踏み跡を登り切ると尾根となって西へ続いており三角点の高みは突端の台地に有った。アキアカネが山頂の空を覆うほど飛んでおり人懐っこく指に停まった。

 山頂は360°の展望であった。中央に洞の天井と左門岳、その右奥に伊吹山からトラス、ブンゲン、貝月山、金糞岳、蕎麦粒山、能郷白山、能郷の前に屏風山が確認出来た。洞の天井左に日永岳、そこから離れて見えるのは高賀山と瓢ヶ岳であろう。

 下降気味の天気予報であったが青空は消えそうにない。白山をバックに記念写真を撮った。

 時間を持て余し予定を早めて下山にかかった。2019年の参加者は26名で3時45分には登山口へ下りている。今回は風呂でも入れるかと思ったが、計画通り行かないのが登山である。面谷鉱山の遺跡見学も出来なかったが旨く行かない事例に学ぶことはある。登山は奥が深い。体験参加のF子さん、早速入会の連絡を頂いて今日の山行は収穫が多かった。完


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