【 個人山行 】 鈴鹿・五僧峠 ~ 谷山 ( 992.7m Ⅲ等三角点 ) 丹生 統司
歴史の趣を感じさせる五僧の響きに誘われて峠を訪れた。ちょっと足慣らしの予定であったが秋山の雰囲気に誘われて谷山まで足を延ばした報告である。
- 日程:2022年11月18日(金) 晴れ
- 参加者:丹生統(単独)
- 行程:五僧峠9:38-標高746mP11:44-谷山13:09~13:39-五僧峠16:35
- 地理院地図 2.5万図:篠立、霊仙山
随分以前に滋賀の保月集落から徒歩で峠を訪れたことがある。当時は岐阜・滋賀両県側とも崖崩れで車は通行不能であった。その時は草深い中で見つけた石仏だったが今日は辺りが綺麗にされており、おめかしの衣もまとっていた。
峠から10分も登らぬ植林帯の斜面で見つけた碑。正面に測點地理〇と書かれていたが下が読めない。背面には「射近江美濃国界字立分峠 西北之基點 八十三度六分 此距離十間 明治九年四月」と読めた。山中で此のようなものを見つけると嬉しくて写真に収めた。
植林帯から広葉樹林となって図根点のある656mのピークに着いた。緩やかで見通しの良い尾根だがピンクの目印と標識が稚児の手を引くようにおせっかいなほど多い。
ピークには庭園のようなカルスト地形の岩が有って一際目を引き誘う、頭上にマユミの高木が赤い実を青い空に映えさせていた。撮影に気を取られ誘われるままに進んでいたが「おせっかい」過ぎた目印がパタリと消えた。慌てて地形図で確認するとルートは北に急角度で曲がっていた。「目印過多」はこういう高齢者のためにはやむを得ぬ措置なのかも。
県境尾根は北東に向きを変えると一気に下降を始めた。余りに急な下りに疑って地形図で確認すると120mの急下降である。北斜面の為に落ち葉の下の土は多分に水を含みツルツルで油断すると滑って危なく、へっぴり腰となった。
最低鞍部へは岩場となって切れ落ちておりトラロープがセットされていた。ここも足場の土が多分に水を含んでおり慎重に木の根やロープを掴んで降りた。朝天気を見て思いつきで決めた山行で有ったので下調べもしていなかったが難所の出現にやる気が湧いて来た。
最低鞍部付近には幹直径が40㎝ほどのマユミの大木が2本あってたわわに実をつけていた。北向きの為に陽が届かず撮影が旨く出来なかったが満開の桜花のようで見事であった。我が家の庭にも1本有るがこれほど実をつけたことは一度もない。
尾根は登りになると南斜面となり陽当たりが良くなって紅葉も映えた。右方向に秀麗な烏帽子岳が見えていた。
標高695mPを過ぎると県境尾根は東に向きを変え岐阜側は杉の植林帯となり滋賀側は自然林となった。起伏は小さくなって歩きやすい。
標高746mPである。県境尾根は此処から北に向きを変え谷山まで起伏の少ない歩きやすい尾根となる。実はこの746Pの手前に750mPがあり南東に尾根を藪谷出合に落としている。当初は藪谷出合からその尾根を登って750mPに出て五僧峠へ周回して下りる予定であった。峠からは関ケ原の役での島津義弘を偲んで駐車地まで歩く計画だった。だが藪谷を見落としてしまい五僧峠に着いてしまった。やむなく県境尾根を歩くことになった。
746Pからは滋賀側が植林帯となり岐阜側が自然林となった。藪谷を隔てて対岸にソノドヲが高く見えている。12時前であり何とか谷山まで足を延ばそうと早足で歩いた。
尾根には童話に出てきそうな凹凸の激しいコブコブのブナの老木が残されていた。話しかけると妖精と会話が出来そうな気がした。
一段高く目立つ笙ヶ岳から北に養老山脈が延びて南宮山の山並みと繋がって見える。大垣や岐阜市街の濃尾平野の奥に御嶽山が霞んで見えていた。
尾根の直ぐ下に関ケ原と上石津町の境界尾根から延々延びて来た林道が見えていた。谷山山頂に続く尾根の奥には伊吹山が山頂部に雲を載せていた。
谷山山頂に到着、滋賀側は人工林となっており岐阜側は疎林で展望は良くない。西に15mほど進むと霊仙山が見えた。霊仙迄1時間はかかりそうに思えた。
点名・谷山(992.7mⅢ等三角点)、少し引き返して濃尾平野が見渡せる日当たりの良い所で休憩した。13時を過ぎており短い昼食休憩となった。
朝の出発時間が9時半を過ぎており遅すぎた。7時頃に五僧峠を出発しておれば霊仙山迄往復できたであろう。谷山には「五僧峠まで3時間」と書かれた標識が有った。帰りは日没を意識して飛ばしに飛ばし早足で歩いたつもりだったが峠着は3時間を4分切っていただけ。普通に歩けば標準時間にプラス2割の時間が必要と気付かされた。完
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