大垣山岳協会

清々しい自然の中を歩く経ヶ岳 2022.09.04

経ヶ岳

【 個人山行 】 経ヶ岳(伊那) ( 2296.4m Ⅱ等三角点 ) 清水 友子

  • 日程:2022年9月4日(日) 曇り時々晴れ
  • 参加者:清水友、他2名
  • 行程:権平峠登山口7:20→松ノ木平8:08→北沢山9:07→コイノコ9:45→山頂11:47~12:22→コイノコ13:45~13:55→北沢山14:15→松ノ木平14:55~15:05→登山口15:35
  • 地理院地図 2.5万図:薮原・宮ノ越

 今年の夏は青空が少なく雨が多かった。気象庁も梅雨明け宣言を訂正したが九月に入っても梅雨の延長のようである。その内に秋雨前線が活発になり爽やかな秋が短くなるような気がする。

 山友が伊那経ヶ岳の権兵衛峠ルートが令和元年に新しく整備されて歩き易く展望が良いから案内するとお誘いを受けた。調べてみると中央アルプスの最北端に位置している。

 不安定な天気とこの所頻発している雷、また伊那まで遠く山友との地理的な問題もあり、お互いが連絡をしあって別行動とした。権兵衛峠の駐車場は多くの車が停まっていた。

 予定到着時間より30分も早くついてしまった。登山道は明瞭なので、ゆっくり先に行くと連絡をして登り始めた。山友は韋駄天なのですぐ追いつくだろう。

 標高1523mの登山口から緩やかな落葉松の林の中を登る。

 多くの若い登山者に追い越されながら進み、標高1806m四等三角点の有る松の木平に着いた。ここには大きなアンテナが設置してあった。ここから木曽駒ヶ岳や将棋頭山が見えるはずだが、樹木が邪魔をして何も見えなかった。

大きなアンテナ

 北側は開けていて、これから登る経ヶ岳の山頂が見えていた。

一番左が経ヶ岳山頂

 山頂への道は先が長い。落葉松や広葉樹林の緩やかな起伏をくりかえしながら尾根道を進むと段々とダケカンバと熊笹の道となった。まだ、刈ったばかりの熊笹の登山道を進むと展望が一気に開いた。先には標高1969m三等三角点、北沢山(点名・曲がり尾)に到着した。この地点でやっと行程の半分だ。

 途中、草刈り機で登山道を整備されている方が居られ、この辺りまでは良いがこの先きつくなるよと話された。

美しいトリカブトの花
女郎花

 北沢山からは中央アルプスや御嶽山、乗鞍岳が展望できるはずなのだが厚い雲に覆われて何も見えなくて残念。

 先を進むとちょっとしたピークがあり、あやめ山の表示があった。北沢山からこの辺りまでは7月の中旬ごろになるとササユリと菖蒲などのお花畑になるそうだ。

あやめ山から見る 甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳がわずかに顔を出した。

 青空が見えてきたが台風の影響もあるのだろう。標高の高い山は雲に覆われて中々その姿をみせてくれない。

 広いピークに出た所にコイノコという表示があった。ここで大休止をした。松の木平からコイノコまで歩き易く快適な登山道であった。

あやめ山から見るコイノコ

 山友に連絡をすると北沢山付近でお花畑を楽しんでいる。後少しで合流できるということだ。

先住民族の付けた山名かな?

 ここから先は岩が少し出てきて歩きにくい。すると岩場コースと巻道の分岐があった。経ヶ岳から下山してきた登山者に岩場の様子を聞いたら、昨日の雨で岩場は濡れて滑りやすく帰りは巻道にしたと言われた。

 岩場もどんな感じかみてみたかったが、同伴者は下りに岩場を使うと言って巻道を選んで行ってしまった。しかし巻道も岩ばかりで足場が悪く滑り易かった。

 この辺りから樹木の植生が変わり、栂かシラビソの林となった。標高が上がったせいか段々と登りがきつくなり先を登りきると。標高2043mの日本分水嶺四等三角点に到着した。ここから西は信濃川から日本海に流れ、東は天竜川へと注いでいるということらしい。地図で確認するとここから20mほど降りて一気に標高差250mほど登れば山頂だ。

 今までの緩やかな登りとは違い急登の連続である。この付近で山友と合流した。久しぶりの再開で嬉しく話も弾む。すると登山口で出会った若者はもう下山してきて、あと少しだと励ましてくれる。ほどなく二等三角点経ヶ岳に着いた。

 山頂には石仏や石塔が祀られていた。周りはいつの間にかガスに囲まれ展望はない。

 経ヶ岳山頂では多くの登山者が下山してしまって数人しかいなかったが、美味しいご飯と楽しい会話は尽きることがなかった。もう少しここでくつろいでいたいが帰りの行程も長いし何よりも雷様の襲来が怖いので山頂を後にした。

シラビソの幹には熊の爪後が沢山ついていた。

 シラビソと熊笹、落葉松の森の中は静かであった。時折吹く風は秋の気配が漂っていた。下山は早いがコイノコ辺りで振り返ってみると樹木の間から経ヶ岳が顔をだした。

樹木の間から経ヶ岳を望む

 降りるにしたがって青空が広がり北沢山あたりで山友がちょっとあれを見てくれないかと言った。天竜川の洪水で川岸に土砂が溜まり川の流れで川底を削り川岸が隆起し、再び川底を削りとるの繰り返しでできた伊那谷の河岸段丘の地形だと話してくれた。山の上からだとこのような景色を見ることができると言った。

天竜川の河岸段丘

 伊那の経ヶ岳は標高差はおよそ1000mほどだ。平坦な登山道が多いせいかその分時間がかかるが、なによりも樹木が美しい。今回は山に雲がかかり展望は望めなかったが快晴だと、 360度の北、南、中央アルプスの山々が楽しめそうだ。

<ルート図>

コメント