大垣山岳協会

雨を逃れて、と・ある山の一日 2022.04.16

とある地域

【 個人山行 】  丹生 統司

 この日は国道417号の開通を待って、徳山ダム湖・シタ谷左岸尾根(通称坊主尾根)から冠山を登る予定であった。上記写真の冠山南壁と東尾根の岩稜を久方ぶりに眺めて若い日に登った自慢話などと、よからぬ考えが雨雲を停滞させたようだ。早朝の大垣は青空だったが藤橋道の駅では路が濡れており塚の駐車場に着くと本降りだった。天気の回復を待ったが気配がなく転戦を決めた。県境から南に離れた山でプラス他に楽しみが有る山にしよう。

  • 日程:2022年4月16日(土) 曇り後晴れ
  • 参加者:L.丹生統、尾内順、大谷早、柴田悦、林 旬、廣瀬美、堀嵜尚、三輪唯

 県境から南に引き返して目指した山は斜面が刈られて天気が回復すれば日当たり良好である。このような斜面には「ワラビ」が豊富なのでこれの「収穫」も目的の一つである。

 ワラビは少し時期早々であったようで諦めた。しかし、林道脇に「タラの芽」を見つけると全員「大ハッスル」、「トゲ」をものともせずに「旬」をゲットした。

 見事ゲットした、美味しそうな「タラの芽」、「天ぷら」にして戴くのが定番である。

 高嶺の花ならぬ高嶺の珍味「タラの芽」を求めて奮闘、今日の参加者は美女が6人、ええ格好して張り切った。年寄りもおだてりゃ「崖に登る」(写真は堀嵜さん提供)

 日当たりの良い尾根に出ると目当ては「コシアブラ」だ。コシアブラの特徴と見分けは、白い幹肌で枝分かれが少なく先端が5㎜ほどの太さで真っ直ぐ天を突くように伸びている。尾根で何本か見つけたが新芽が小さくまだ3日ほど早かったようだ。「タカノツメ」と間違えることが多いので注意が必要である。

 コシアブラの若葉である。葉柄に産毛が生えているのは柔らかくて食用に適しているが10㎝を越えると固く風味も落ちる(固くなると産毛が消える)。頂芽が開いて直ぐの収穫が香りも味も最高である。「天ぷら」や「しゃぶしゃぶ」にして戴くと美味しい。

 遠くから見ている時は斜面に残雪が有ると思ったほど一面が白かった。傍に来て「タムシバ」と判った。山菜も良いが花を愛でる心は文化の証?と老いて気付いた。

 今から咲き誇らんとする「若木のタムシバ」、一枝折って持ち帰り拙宅の玄関を飾りたい気持ちを思い止まった。「山の花は山に有ってこそ美しい!」と正論で亭主を遣り込める拙妻の顔を思い出した。

 「イワウチワの群落」との看板が2ヶ所有ったが、そこは日当たりが悪いのか小葉で蕾すらも見つけることが出来なかった。別の所に薄いピンク色の花がちらほら・・・

 先週ここより北、花房山の斜面には残雪がほとんど無かったのでアイゼンもピッケルも車のトランクに置いて出発した。ところが以外にも残雪が多く有った。

 此処には1mほど残雪が有りビックリ、写真を撮るのを逃したが別の所では雪面の急傾斜地が有って僅かな距離だったが慎重に越えた。雪が柔らかくキックステップが効いてくれたがピッケル1本有れば安心感が全然違ったはずで「備えあれば患えなし」を実感した。

 と・ある山のⅡ等三角点石柱。山頂には途中で我々を追い越した若者が一人いた。

 この日は北風が強く寒い日であった。登山中に尾根で休憩したくとも吹き抜ける風を避ける場所が見つからずヤッケを着こんで寒さをこらえた。山頂で会った若者は素肌丸出しの短パン姿で年齢差を感じた。と・ある山の北方の山々は未だ雲の中、転戦は正解だった。

 登山口近くまで下りてくると林道脇の大きな「トチの木」に思わずシャッターを押した。幹はコブコブでガサガサの荒れ肌だが苔むして植物を寄生させ生命を育んでいた。年月を生き抜くということはこういうことなのだろう。

 下の写真は、貴重種「クマガイソウの群落」で一昨年撮影したもので今日の山ではない。深いラッセルを終えて見る雪景色やピリピリした緊張感のある山も良いが、釣をしたり、山菜を摘んだり、お花見などの癒し山行も心が和みいいものだ。

 里山ではワラビが芽を出し深山の沢ではワサビが白い花を咲かせて摘期を迎える。尾根や斜面にはエビネランやクマガイソウも独特な唇弁の花を開き始めるだろう。このブログをご覧の貴方、大垣山岳協会の仲間になって一緒に野山を歩きましょうよ。完

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