大垣山岳協会

濃尾平野を足下に見る養老山地・小倉山 2022.02.09

小倉山

【 個人山行 】 養老山地・小倉山 ( 841m △なし ) 丹生 統司

 2月4日から6日にかけて列島の日本海側は多量の降雪に見舞われた。関ケ原も連日除雪作業に追われたがやっと一段落した。となれば雪景色を求めて山へ、降雪直後で有っても駐車地が確保され麓から近く暖かい南斜面で絶景を眺められる山をピックアップした。この条件を満たす養老山で思惑通りの山登りを楽しんだ。

<ルート図>
  • 日程:2022年2月9日(水) 快晴
  • 参加者:丹生統、大谷早、柴田悦、竹森せ、林 旬
  • 行程:養老公園駐車場7:40-養老の滝8:05-登山口8:45-笹原峠11:10-小倉山11:40~12:35-登山口13:55-養老公園駐車場14:45
  • 地理院地図 2.5万図:養老

 早朝の養老公園第1駐車場は夜半の冷え込みでスケート場のアイスリンク状態でツルツル、ハンドルを切ると車が傾斜に沿って滑った。何度か白線内の中央を狙うが滑って旨く出来ない、これが精いっぱい。車外に出るとスパイク長靴を履いていても油断できなかった。

 近くに住んでいながら雪の養老の滝を見るのは初めてである。此処までに至る除雪された遊歩道も凍っており油断できずストック無しでは歩けなかった。

 嬉しい誤算は滝から標高520m迄昨日と思われるトレースが有り急傾斜地のラッセルを免れた。今日は我が会の女傑四天王の強力メンバーであるがそれでも助かった。

 ルートは最短で直登した。尾根上に出て地形図で確認すると三方山が下にある。夏道をそれて既に標高750mの尾根上にいた。夏道は30mほど下の東斜面をトラバースして笹原峠に向かっているはずだ。樹木が茂り夏道も雪崩の心配はないが深雪時のトラバースは体力の負荷が大きく消耗を強いられる。雪山は尾根筋を詰めるのが常道である。

 標高770mの尾根から西に向きを変えて標高750mの笹原峠へ降りた。尾根をそのまま北に辿って行けば「もみじ峠から笙ヶ岳」へ通じる。笹原峠は雪原になっており風は有るが太陽が降り注いでいた。小倉山はもう指呼の間で有る。

 陽射しを受けた南斜面の雪は水分を一杯含んで重くなっていた。トップを行くO女子のワカンは花魁のゲタ状態となるも奮闘している。北面や西斜面は雪が軽くこういう事態にはなりにくいが寒いのが辛い。

 小倉山の山頂が見えている。今日のメンバーは最強で一寸カメラを構えていると置いてきぼりで離される。追いかけが辛い。

 東の尾根が開けると濃尾平野が見渡せた。山頂まではもうひと頑張り残していたが思わずバンザーイをした。それほどの景色で有った。

 トップは山頂までもうすぐ、風が描いた風紋付きのキャンパスに我々のラッセル痕を残せる歓び、雪山は楽しい。

 ラッセルは辛いが雪原に残す足跡は最初に訪れた者にのみ許された特権の創作芸術だ。既存の道歩きでは得られない満足感に酔った。

 山頂到着、絶景に息をのむ、足下の濃尾平野を木曽、長良、揖斐の三川が蛇行しながら引き合うように近づいている。名古屋市街のビル群も手に取るように見える。

 東方向奥に恵那山が霞んで見えて、北に中央アルプスが白い帯となって連なり、その北に御嶽山が有り、さらに乗鞍岳と続き穂高岳が見える。奥穂高から右に吊り尾根が前穂のピラミダルな山容と確認出来た。奥穂高は涸沢岳、北穂高と一体で白い塊となり、北の鞍部はキレットで南岳、中岳、大喰岳も白い塊で見えた。槍ヶ岳は見えなかった。

 鷲ヶ岳からの山並が川上岳、位山、船山まで黒い帯となって北アの山を隠していたが笠ヶ岳が川上岳と位山の間から覗いていた。そこから離れて白山が一点のシミもない白いドレスのような山肌の山塊を石徹白まで延ばして威風堂々としている。画面の左端には能郷白山も奥美濃の雄らしく存在を保持していた。

 東斜面に座り絶景を肴にオカズに昼食休憩を約1時間楽しんだ。北に見えるのは笙ヶ岳で西には琵琶湖が見えて高島トレイルの山並みが白く見えていた。

 下山時に雪の養老公園内を散策した。滝谷の水の流れを橋の上から眺めると「ひょうたん」ように見えた。人工的に造られたものか?

 近年の貧雪を嘆き過ぎたせいか今季は年末、年始と雪掻き三昧だった。先週末から降雪が続き土曜日に除雪が完了したと思いきや、日曜日の朝は昨日よりひどい積雪で月曜日にやっと埋もれた車を掘り出した。1997年の観測史上初の91㎝の積雪らしい。しかし56豪雪(1981年)の折りには平屋の借家で有ったが裏の住人と互いに除雪しながら屋根を挟んで会話が出来た。玄関へは雪の階段を下ってドアを開けた。それを思えばやはり温暖化は進行中である。完

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