【 個人山行・山スキー 】 鈴鹿・霊仙山(南霊仙 ( 1030m △なし )) 平木 勤
- 日程:2022年1月23日(日)曇り
- 参加者:平木勤(単独)
- 行程:醒ケ井養鱒場駐車場7:10-霊仙山登山口8:15-標高600m大洞谷9:00-南霊仙10:25-西斜面滑降、休憩-最終滑降13:50-登山口14:50-駐車場15:20
- 地理院地図 2.5万図:彦根東部・霊仙山
今年の霊仙山は先日の丹生理事長の報告を読んでも雪が豊富そうだ。この機会に以前から行ってみたいと思っていた南霊仙の西斜面へスキー山行に出掛ける事にした。
関ヶ原を越えて滋賀県に入ると大垣では想像がつかない程雪が残っている。報道で滋賀の大雪が報じられていたがなるほどその通りだ。
醒ケ井の駅から上丹生へ向かうと更に雪は深くなり期待も深くなる。宗谷川沿いの除雪された道を進むと自然に養鱒場の駐車場に入っていった。入口には係員が立っており駐車料金を支払い駐車。
登山者の駐車が多いのかと思いきや、意外と釣り道具を出している車が多い。好き者はこの寒さの中でも竿を出すのだと感心した。
準備をして出発。駐車場より奥の道は除雪されておらず、そのかわりしっかりとしたトレースが続いている。そのトレースを辿ってスキーでシール歩行。踏まれ過ぎたトレースは氷化寸前で時折スキーがスリップする事があった。
2名の健脚な登山者と前後しながら進む事1時間程で登山口に到着。ここからも谷沿いにしっかりしたトレースついており素直にそれを辿った。しかし、これはあまり正解とは言えなかったようだ。狭い上に急な段差があり、カナヤの小屋手前ではスキーを脱いだ。トレースは右岸を通っていたが左岸がスキーには歩きやすかったようだ。実際、下山時は左岸を滑って問題なく下りる事ができた。
カナヤから汗ふき峠までのトレースも氷化しておりシール歩行ではきつく、下部は壷足で歩いた。途中から脇の柔らかい雪を利用できるようになりスキーを履いた。
トレース脇にはスキー痕が残っていた。細板のようだ。昨日のものだと思うが細板でこの雪は難しいのではないかと感じた。それを滑り通したのならばかなりの熟達者なのだろう。
汗ふき峠からしばらく尾根上を進む。尾根の付け根からトレースは右へ折れ大洞谷までトラバース気味に登っていく。細い踏み跡である上に氷化している。ここはスキーを脱いでキックステップで登った。
大洞谷に突き当たるとトレースは左へ鋭角に折れていく。そのトレースと分かれてこちらは大洞谷へ入っていく。もちろんトレースはない。ここからやっと山スキーらしくなってきた。
予定ルートでは左岸に移らなければならないが幸い入ってわずかで沢が雪で埋まっており難なく渡れた。そこからはしばらく緩やかな谷沿いを登っていく。右岸には自然林が広がり、左岸は植林だ。しかし、植林と言っても樹間は広く、また雪で雑多なものが覆い隠されているため雰囲気のいい森といった感じだ。
目星を付けていた辺りで尾根に取り付く。沢状になった樹間の広い植林で、斜度も程よく滑っても楽しそうなところだ。
ひと登りして尾根上に出ると男鬼山などの低山越しに琵琶湖の展望が広がった。予想してなかったので思わず感嘆の声をあげた。すばらしい贈り物だ。
尾根の直登は地形図を見る限り急登できつそうだ。実際先を見ても急斜面が続いている。予定通り右上へトラバース気味に進み斜度の緩そうなところを選んで稜線を目指す事にした。
トラバースをして小尾根を越えると樹間の広い自然林の斜面が広がった。ここだけでもスキーが十分楽しめそうだったが更にその先にはほぼオープンバーンと呼べるような大斜面が琵琶湖に向かって広がっていた。
数年前、無雪期にここを訪れた事があり、雪がついていればスキー向きの良い斜面だろうな、とは思っていた。が、実際に雪がついたそれは予想を大きく超えたすばらしい斜面だった。ここを滑る事にワクワクしながら稜線を目指した。
稜線が近づくと斜度がきつくなってきた。きつい斜面から緩い斜面へと滑り降りていく、スキーにはもってこいの地形のようだ。ただ、稜線直下は樹間が密になりスキー向きとはいえない。
稜線に出ると今まで感じなかった風が吹き付けてきた。ちょっと寒さを感じつつ南霊仙のピークにあがる。
取り立てて特徴のあるピークではないがここから見る真っ白に雪を纏った霊仙山本峰群はなかなか迫力がある。また、南東には御池岳や三国岳。晴れていればもっと遠くの山々も眺められるのだろうが今日は望むべくもない。
休憩するには寒いので西斜面を滑り降りて無風のところで休憩しようと滑降準備に入る。密な樹間を慎重に抜けて大斜面の上部に出ると上手く滑れるかと緊張が走る。覚悟を決めて滑り出した。が、やはり急斜面は難しい。やり始めて7年も経つテレマークなのに上手くターンができない。やれやれ。しかし、滑り降りて斜度がやや緩やかになってくると、それなりにテレマークターンが決まるようになり気持ちよくなる。雪質はやや重めだが思ったよりいい条件だ。
登り返す事を考えるとあまり滑り下りてしまうのも得策ではない。適度なところでやめて休憩。風はほぼなく琵琶湖を見ながらのんびりと過ごす。人気の霊仙山の中でここには人気が全くなく静かなひと時を送れた。
計画では西斜面を一本滑ったら本峰へ移動しようと思っていたがこの大斜面を一本だけとは勿体ない。また、先ほど本峰を見た時、そこへ向かう登山者の姿が驚く程多かった。人の多いところへ行っても煩わしいだけだ。計画を変え、本峰へは回らずここで数本滑る事にした。
大斜面は横にも広々としている。コースを横にずらして滑るのが楽しそうだ。少しずつずらながら滑っては登りを繰り返し、四本のきれいとはいえないシュプールを無垢な雪面の上に刻んだ。
四本目を滑ったところで雪が散らつきだした。そろそろ潮時と思えたので、次を最後にしようと滑り出しまで登り返す。
最後は登りのトレースに沿うように滑り下りた。登りでいい感じに見えた大洞谷左岸の植林斜面は雪質が悪くなっていたがそれなりに滑り降りる事ができた。結局登山道までストレスなく下りる事ができた。
トラバース道はスキーを脱いで下り、尾根の付け根からはカナヤ脇へ落ちている谷を下った。樹木から落ちた雪がデブリをつくりややうるさく慎重に下った。下部で谷が立ってきて、左岸の斜面をトラバース。最後はカナヤ近くの崖をカニ歩きで下った。
登山口から駐車場へ向かう道では、上部で雪だったものが雨に変わりヘルメットから滴を滴らせながらの帰路となったが苦にはならなかった。
雪の条件のいい時に行ってみたいと長らく思っていた南霊仙の西斜面をやっと訪れることができた満足感が全身を覆った。条件さえ良ければスキー向きのすばらしいルートだという事もわかり、これでまた山スキーを楽しめる領域が広がった。スキーでなくても十分楽しめるルートでもある。このルートを利用すれば本峰から最高峰、南霊仙まで比較的簡単に周遊できるだろう。
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