大垣山岳協会

お腹いっぱいの石作谷遡行 2020.11.08

石作谷

七宗町 飛騨川支流神渕川・石作谷いしつくりたに 平木勤

  • 日程:2020年11月8日(日) 晴れ
  • 参加者:平木勤 他1名
  • 行程:石作谷林道駐車地7:40-220m二俣8:05-右俣滝8:25-220m二俣8:45-15m大滝9:40-大滑滝前休憩11:25~11:40-大阪峠12:00-室兼高屋13:15-駐車地14:40

 今夏、橋谷を訪ねて以来、情報の少ない飛水峡周辺の沢に興味を持った。今回訪れた石作谷もその中の一つで、9月に一度計画したものの雨で流れた。それを友人が拾い上げてくれて今回の決行となった。

 11月に入って気温は随分下がった。とは言っても低山の短い沢だ。軽い重ね着で出発した。友人の方はなんとウェットスーツを着用。必要となる場面があるのだろうか。

 情報集めを熱心にしてないので、どんな沢か詳細がわからない。僕の場合、わからないところへ行くのがワクワクして好きなのではあるが、もしすんなり歩けてしまうと物足りなくなる恐れがある。その場合は尾根を末端まで歩いて山行の中味を充実させようという思いから車は林道をわずかに入った所に置いた。

 入渓地までの道中には耕作地のものか屋敷のものかわからないが古い石垣が目立った。これが「石作」という名の由来かなどと話してると炭焼小屋らしきものが現われた。現役か、もしくは少し前までは現役だった雰囲気だ。周りは植林ばかりだが炭にする木がどこにあるのだろう。

 地形図に描かれた林道が終わる辺りで入渓した。が、一分も歩かないうちに堰堤が立ちはだかった。仕方がないので林道に登り返し越えると220m二俣だった。こんな大きな堰堤はぜひとも地形図に入れておいてほしいものだ。

 本流を詰めるには二俣を左に進んでいくのだが、オプションとして右俣の見学をする事にした。知合いがこちらに大滝があったと報告している。それを見て来ようという目論見だ。植林の倒木、流木が凄いが歩くのにそれほど支障はなかった。

 谷がぎゅっと締まって立ってくるとそこは既に連続した滝だった。これを登っていくと最後に10mのきれいな滝が現われた。流木が引っかかって目障りだが雰囲気はいい。更にこの上が気になったが今日の本番はこちらではないのでここまでとする。

 右岸の杣道を辿って二俣に戻り左に入る。植林が覆うものの雰囲気はいい。遊歩道なのか杣道なのか、所々にパイプで作られた立派な橋が架かった道が谷に沿って続いている。

 わずかに歩いた所に岩を穿った穴のようなゴルジュ待っていた。こんなものが待っていようとは!と二人とも驚きが隠せなかった。中がどうなっているのかは屈曲していて入口からは見えない。知りたければ泳いで入るしかない。とウェットスーツの友人が泳いで入っていった。それに続いて泳いでゴルジュ内に入る。

 トンネルのようなゴルジュの出口には大きな淵を湛えた3m滝がたちはだかる。普通では越す事は難しいだろう。だが幸い流木が引っかかっておりこれを利用すれば登る事ができるかもしれないと友人がチャレンジ。が1度目は失敗し淵に落ちた。スリングを利用してはどうかと提案すると再びチャレンジ。スリングを使う事なく突破した。僕は友人に引き上げてもらった。

 ゴルジュを突破した後も変化に富んだ渓相が続いてアタリの沢であると確信した。両岸は植林も多いが、苔むしている所も多い。全体に湿度の高い沢なのだろう。

 途中、赤く染まった岩が見られた。その下にたまった水もやや赤く染まっていた。鉄鉱成分が含まれているのかもしれない。

 谷を通して水はすばらしく澄んでいて清々しい流れが続く。橋谷の水流も驚く程澄んでいたがこの山域一帯の地質のためだろうか。

 標高290m辺りで大滝が出現した。青々とした大きな淵を湛えた15m。直登は、もしかしたら右壁のバンドを利用すれば可能かもしれない。左手上の遊歩道(杣道?)からの巻きは簡単にできる。僕らはあえて右手のルンゼから越えていった。上にも登れない5mの滝があり、これは遊歩道から巻いた。

 5mの上の滑滝もついでに巻いて沢に復帰。すばらしいゴルジュ状の渓相が続く。大滝は登れなかったけど変化のある沢は飽きる事がない。滑が現われたり巨岩帯が現われたりと至れり尽くせりに楽しませてくれる。

 標高400m辺りで巨大な岩塊の陰に沢は吸い込まれていく。そこにに待っていたのは上部に流木が引っかかった黒い8mの斜瀑。一見ホールド、スタンスがありそうで登れそうな雰囲気だったが結局、途中の一手が出ず二人とも諦め右岸から大きく巻いた。

 そのわずか上流部では、左岸下流方向からゴルジュが合わさってきていてビックリさせられた。本当に飽きさせない沢だ。

 更に、標高450mでは滑大滝が現われ最後を飾ってくれた。

 滑大滝の前でしばし休憩。その後真っすぐ谷を詰めていく。沢は最後までそこそこの雰囲気を見せてくれた。

 詰めで薮とも言えぬ薮をかき分けて辿り着いたのは林道の広場だった。傍らの標識には「大坂峠」と記されていた。ここですばらしかった沢を反芻しながら足下を履き替えた。

 大坂峠からは地形図にはない林道が室兼高屋東側鞍部まで延びていた。計画では稜線を辿っていくはずだったがこういうものがあるなら利用して楽して歩いていく。しかし、これくらいは地形図に載せおいてほしい。鞍部からは杣道(登山道?)を辿っていく。

 南北の山腹が大きな岩場になっている室兼高屋は東濃のマッターホルンと言えるかもしれない。顕著なピークは格好がいい。特に下山時に見た室兼高屋は岩稜そのもので険しい印象を受ける。

 沢が予想外に良かったので尾根末端まで歩く必要を感じなくなり、ネットでも見る室兼高屋の登山ルートを下る事にした。このルートはよく踏まれていて目印も程よくある。トラバース部分で一瞬、踏み跡を見失うが問題なく下れた。後は午後の陽が差し込む林道を充実感に満たされて戻っていった。

 追伸Ⅰ:「石作谷」という名が気になる。これが「いしつくりたに」と読むと友人が現地採取してくれたが、その由来まではわからない。近くには納古山から落ちている「木作谷」があり、対となっているのも気になる。今後、この由来が解き明かされるのか、乞うご期待!

 追伸Ⅱ:この時季にかかわらず蛭がいた。僕は実害なしで、帰宅してから沢道具を入れた袋の中にいたのを発見したのみだが、友人は出血大サービス。因みに友人は血液型O型。O型の人はやられやすいような気がする。要注意。

<ルート図>

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