月報「わっぱ」 2016年2月(No.411)
里山は戻ったが・・・
私は家(岐阜県揖斐川町)のすぐ近くにある城台山(220m)という里山に登り始めて7年余。近く、2000回に達する。標高差180mほど。往復40分。登山への体力つくりに大いに役立っている。
子供時代にもよく登った。低木のやぶはなく、見晴らしも良かった。どこでも自由に歩けたので、子どもには格好の遊び場だった。樹木といえば、立派なアカマツが目立った。中腹には槍ヶ岳開山の播隆上人創建の播隆院一心寺があり、寺の庵主さんと挨拶を交わしたものだが、無住となった。
やぶのない城台山の山麓はその後、低い低木が繁茂してやぶ山となり、子供の声も消えた。燃料としての木材利用や木枝葉の農業利用がなくなり、里山は自然繁茂にまかせ、やぶ山と化した。全国共通の現象である。
幸い城台山周辺の約38㌶の山林で清流の国・環境基金事業(※1)を活用して3年前から里山林整備が進む。不要木の除去や除伐などだ。この事業により、格段に見晴らしが良くなり(写真①)、歩くのが楽しくなった。これに呼応して地元の有志が昨年、「城台山を守る会」を立ち上げた。公的資金による公的事業だけでなく住民たちの労力奉仕による里山整備に乗り出した。
一度やぶをきれいに整備しても数年たてば元に戻る。公的資金は限られる。整備が必要な他の山域も多い。地元の住民たちの絶え間のない労力奉仕がないと、快適な里山は長続きしない。この山を歩く私たちもそれを理解し支援する立場にあるように思う。また、この山に親しむ人を増やしたい。増えれば支援の手も増すだろう。
(成瀬 徳幸)
※1 以下参照
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