大垣山岳協会

ヒン谷遡行~若丸山 2013.10.13-14

ヒン谷

月報「わっぱ」 2013年11月(No.384)

【 個人山行 】 ヒン谷遡行・若丸山 ( 1285.7m Ⅱ△ ) 平木 勤

  • 日程:2013年10月13日(日)~ 14日(月)
  • 参加者:平木勤
  • 行程:
    • 10月13日(日) 大垣=塚駐車場-ヒン谷最終堰堤上河原(泊)
    • 10月14日(月) 泊地6:15-12m大滝(アマタル)7:15-標高750m谷分岐9:15(左俣へ)-標高840m二俣10:00(右俣へ)-若丸山山頂11:35~12:10-南肩(標高1260mピーク)12:30-標高750m谷分岐14:10-ヒン谷最終堰堤16:15~40-塚駐車場17:25=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:冠山・美濃徳山

 若丸山へは過去に2度、尾根筋から登頂した。一度は岐阜県側の沢を詰めて登頂したいと常々思っていた。だが、自分の力では無理かもしれないと半ば諦めていた。今回も登頂は欲張らず試登のつもりだった。

 国道417号塚白椿隧道の出口にある駐車場から出発。反対側にある広場を通り抜けヒン谷へ降りて、右岸の林道跡に上がった。林道跡は想像以上に鮮明であった。中ノ又谷の出合を過ぎるとやや薮がうるさくなった。最終堰堤を越え広い川原に出た。その片隅にテントを張り焚火しながらゆっくりと過ごす。辺りが暗くなると空に白鳥が羽ばたいていた。

 翌朝、細い谷沿いを歩きだす。手入れ不足だが、スギの人工林が立派だった。林道跡はさらに奥に延びていたが、谷に降りる。谷が北に向きだすと様相は一変。両岸が徐々に立ち深い渕や小滝が現れる。やがて前方に垂瀑が立ちはだかった。「美濃の山1巻」でアマタルと紹介されている12m程の大滝だ(写真)。上にも滝が見える。

12m大滝(アマタル)

 両岸切り立ち巨大な城壁のようだ。この難所の突破が今回の遡行のポイントだ。思案した末、右岸のガレ急斜面に取り付いた。小尾根上に出ると白い岩壁が立ち塞がった。左手のバンドを巻くように進んでいくと木立の斜面が現れ、そこから再び小尾根上にあがる。反対側は切り落ちていた。

 下降地点に迷いながら小尾根上を進みブナの山腹に出た。下方に枝沢が見えその先にある本流に向け下っていく。大滝の落口を越えた先で本流に降り立った。50分の高巻きだ。難場を越え気は楽になった。沢沿いに積み重なる巨岩を避けて右岸よりの草むらを進む。と前方に驚くようなスラブ岩とそこに刻まれた滝が見えた。

 スラブ岩は45度ほどの傾斜で左右に滝がかかっている。右の滝は深く掘られた溝を落ちている。それを濡れながら直登。上部が滑りそうで微妙だった。すぐ上の6m2段滝は巻いた。以後、大きな滝は消えた。

 下降予定の枝谷が合流する標高750mの二俣を左に入ると、後両岸が立ってきて数カ所に深い渕を持った廊下が現れた。それらをへつりやステミングで通過し、壮麗な二俣に辿り着いた。ここは美しかった。澄んだ水をたたえる渕の向こうの苔むした岩壁を白い大小二筋の滝が落ちている。これを見られただけでも良かったと思える場所だった。

 5m、4mの滝がかかった右俣へ進んでいく。4mはシャワークライミング。2~3mの滝は直登だ。次の二俣も右に進んで行く。引き続き直登できる小滝が幾つか現れた。やがて沢筋はぼやけて次第に山腹の登りとなる。薮はそれほどきつくない。

 右手側に白い岩壁が見えた。少し行くと今度は左手に。登っていった先にはルンゼ状の岩壁。右手に逃げて、緩やかな岩場を越え、低木地帯をよじ登る。斜度が緩くなり、やがて、三角点より10mばかり南の踏み跡に出た。

 360度の展望は雲が多めだがそれでも、ひとり歓声を上げた。風は少し冷たかった。

 下降は予定通り南肩から750m出合へ落ちる沢を下った。やっかいな低木帯を抜けて沢筋に出てからは浮き石が多く気を使う。20m多段滑滝では傍らの木にシュリンゲを掛け懸垂下降した。その木には古いシュリンゲが残されていた。

 本流に出るのに思ったより時間がかかり後は急いだ。大滝は登りと同じルートを通ったが下降路を見失いかけて焦った。残した足跡を確認できたので事なきを得た。

 テント場には余裕の時間で到着できた。

<ルート図>

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