大垣山岳協会

若丸山 雪山講習会 2019.04.06

若丸山

【 個人山行・雪山講習会 】 若丸山 ( 1285.7m Ⅱ等△ )報告 丹生 統司

  • 日程:2019年4月6日(土)快晴
  • 参加者:L 丹生統、他10名
  • 行程:塚駐車場6:40-梨ヶ平分岐880m8:30-1072m頭10:39-山頂12:00~12:40
  • 地理院地図 2.5万図:冠山

 今回の雪山講習は迷った、今季は極端な雪不足であり荘川や飛騨地区を変更の候補に挙げたがやはり地元の徳山にこだわった。雪不足でも講習内容に変化を持たせればそれなりに出来ると確信し当初の予定通り若丸山南尾根で行った。

 メンバーを昨秋入会組、3~4年入会組、当会の三角点踏査でC級を任されている方々の3班に分け、責任区間を設定しリードをお願いした。赤布付けも責任とし帰りの安全ルートを確保する。他のメンバーは生命に危険が及ばない限り不満があっても一切口出しや助言はしない。旨の約束事をミーティングでお願いした。

 第1区は取付きから880mの梨子ケ平分岐間が責任区間である。イチロー、チアキコンビでスタートした。ダム湖から北上する尾根にピンクの残置リボンが至近距離でうるさいほど続きそれを追った。写真①はヒン谷を挟んで見た冠山である。写真②は最初の休憩風景であるが休憩中も地形図片手に熱心に勉強中、班別責任制は大成功の予感である。

① ヒン谷を挟んで見た冠山

 尾根上に上がるとペースが速くなる。広い箇所や二重山稜もあるのだがお構いなしで進んで行く赤布を全部渡したことは失敗と気付いた。標高880mの梨ヶ平分岐で1班の責任範囲は完了、第2区はオグリン、サナエコンビ、1072mの山頂尾根直下のピーク迄であるが鞍部までの油断できない下降があり支尾根と藪の露出箇所の対処が予想された。後輩にバトンを渡されてオグリンが真剣な顔。

② 休憩中も地形図片手に熱心に勉強中

 鞍部目指して急な下降、ヒン谷側が切れておりストックを仕舞い下降した。大きな虚のブナ、昨秋の台風21号を良く凌いだと感心した。

 落書きされたブナ、タムシバはまだ芽が固い。それにしても赤布の使用量が少ない。トップは支尾根の分岐や藪の侵入口と出口もお構いなしで我々を置いていく、忍ばせた3本の赤布は尽きてカッちゃんに目印の補填をお願いした。帰りの確認が楽しみである色違いの目印にどんな反応を見せるのだろうか。

 1072mのピーク到着、2班の責任区完、これより第3区、エッ、トキ、カッちゃんで山頂まで案内いただく。この区間は短距離だが山頂尾根に続く雪田へのルートの見極めがポイントである。尾根右は残雪が上部まで続いているが右に寄り過ぎると扇谷上部ルンゼに突き当たり登攀用具必携となる。

1072mのピークからの展望

 先ず鞍部への下降、ここも要注意、ヒン谷側が切れている。雪を拾いつつ藪の踏み跡から左に回り込み山頂尾根へ続く雪田を詰めた。傾斜は強いが雪は柔らかく順調に尾根に出た。

 やはり当会の「三角点踏査」のC級を任されているエッちゃん、トキちゃん、カッちゃんトリオ、ルート選択、赤布付けも申し分なし。山頂尾根に出ると能郷白山、イソクラが圧倒的な大きさだ。

 写真中央、蕎麦粒山がやはり格好良く目立つ、いい山である。

 笹ヶ峰からミノマタ、三周ヶ岳へ続く奥美濃の山々。

 前回講習の銀杏峯~部子山が山頂斜面の奥に見えた。

 山頂目指し最後の喘ぎ。

 山頂に到着、県境稜線の先に冠、金草山が、中央右端はアラクラ。

 山並みの最奥に白い雲が湧いたように見えるのは加賀の白山、白さが際立ち幽玄であった。

 三角点を囲み万歳、360°遮るものがない山頂で春の陽光を浴び10人が車座になって40分を過ごした。

 帰りは責任区のルート選定、赤布の位置が適正だったか確認しながら下山した。

  • ルート選定は出来る限り最短でもっとも登りやすい弱点を素早く見抜き攻めたか。
  • 下山時、瞬時によく見える位置に目印が付けられていたか。
  • 尾根が広い箇所や山稜が複雑(二重山稜等)になった個所に目印は的確に配置されていたか。
  • 支尾根が発生している個所での目印位置は正確に帰りの安全な下山ルートを指示していたか。
  • 藪が背丈を越えて見通しが効かない箇所の侵入口と出口、途中も含め目印の位置は的確だったか。
  • 尾根の分岐(ジャンクション)踏み換え点の明確な目印の位置と下山方向が明確に指示されていたか。
  • ルートが不明瞭の場合リーダーはメンバーを待機させて信頼できる者を選抜し一人または複数の斥候を出して偵察する。ルートが確認出来たら全員で行動する。(無駄な体力の消耗を防ぐため絶対に全員を引き連れて歩かない。)

 担当区の者が先頭に立ち確認しながら下山した。そして区の引継ぎ場所でそれぞれ感想や反省を述べた。嬉しいことに全員が今日の自分たちの行動に不満足でもう一度この企画をやりたいと言った。山登りは順調に登れた時より失敗に学ぶことの方がはるかに多い。かく言う小生も限りないほど失敗し山に教えられてきた。致命的な失敗をしないための失敗でなければならない。山頂を往復するだけの登山から成長を意識しながら山頂を極める山登りをしていただきたい。
 思うところがあって今回から私の個人山行のブログ掲載は氏名を愛称にした。小生は「ゴリ」さんと親しみを込めて呼んでほしい。

<ルート図>

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