月報「わっぱ」 2013年9月(No.382)
【 個人山行 】 西ヶ洞~ドウの天井( 1332.7m Ⅱ△ )~日河原洞 平木 勤
- 日程:2013年8月10日(土)~ 11日(日)
- 参加者:杉本眞、平木勤
- 行程:
- 8月10日(土) 銚子谷林道ゲート5:50-西ケ洞出合6:45-大釜8:20-ヤマタ谷出合10:00~20-大ヤマタ大滝11:40-二俣(泊地)12:50
- 8月11日(日) 二俣6:00-ドウの天井8:50~9:35-日河原洞下降点9:55-40m大滝12:40-日河原洞広場15:25~45-林道ゲート17:10
- 地理院地図 2.5万図:下大須・平家岳
板取(岐阜県関市)の名渓、西ケ洞から日河原洞に至る沢登りルートはずっと温めてきたものだ。杉本さんの同行を得て心強い。当会では、2011年9月に西ケ洞からドウの天井(1332.7m)を経て、箱洞に下りている。
川浦谷に向かうと崖崩れのため新深山トンネル東側のゲートが下りていた。ここで駐車して出発。西ケ洞出合への降り口に着くと、以前かかっていた足場階段は崩れて影も形もなく立ち木を頼りに急斜面を下った。最後はロープを出し河原に下りた。出合からやや上流で渡渉。渕に半身を浸して西ケ洞に入っていく。
両岸が立ちゴルジュの渓谷美が展開する。エメラルドグリーンの渕はどこも背が届かないくらい深い。時折現れる固定ロープに助けられながらへつったり胸まで浸ったりして進む。
この谷の圧巻の「大釜」。明るい緑色の水を満々と湛えた姿にしばし我を忘れ立ち尽くす。ゴーロを進んでいくと大ヤマタ谷の出合だ。20分程で大ヤマタ大滝が豪快に落ちていた。左岸の草付きを登って巻く。途中、少しいやらしいところがありロープを出した。穏やかな渓相になり、ふと右岸を見ると人工的な石組みがあった。人を寄せつけないような場所に何のために作ったのだろう。10mの大滝が現れた。直登は無理で左岸の草付きから巻いた。降り立った辺りがちょうど二俣だった。台地にツエルトを張って、焚火を囲んで四方山話。猛暑続きの夏を忘れて時を過ごした。
翌11日、二俣から少し登るとゴルジュが現れる。中には2段8mの滝がかかっておりフルシャワーで越えた。ゴルジュを越えたところの二俣を右に進む。しばらく穏やかな樹林帯でほっとする。谷が細くなり7mの直瀑。左岸草付きを巻く。以降、滝は姿を消しドウの天井直登の沢筋を探す。歩きやすい沢筋でぐんぐん高度を稼ぐ。出たところは山頂より南の尾根筋。ここからきついやぶ漕ぎの末に登頂。
山頂一帯は公園のように整備されていて登りの困難さが報われず興ざめ。建設中止となった川浦水力発電所への地元補償として中部電力が造ったものだ。年月を経て造った人工物は荒れ放題の様相だった。頂上からの眺望は靄っていてよくない。日差しを避けて遊歩道で休憩した。
稜線を通る発電所の工事用道路を歩きP1292とP1263の最低鞍部から日河原洞へ下降。ササやぶを漕いで出た沢筋はかなりの急降下。水流が出ると滑滝が続いた。巻きや懸垂下降をしながら下る。7m滑滝は、下りたところが左右とも急な草付き斜面なので、巻けそうにない。流木に支点をとって懸垂下降(写真①)。下にも3m、5mと続くがクライムダウンと倒木を手がかりにして下りた。多段30mは圧巻だった。この沢の困難さはいくつかの記録で読んでいたが想像以上だ。
しばらく穏やかな渓相になる。やがて滑床になった先に大滝が現れた。30m、20mのロープをつないでも届くかどうか怪しいので、右岸を巻いた。木々をつかんで小尾根上に出てから、小さな枝沢を見つけトラバース。苦労の末、本流に下りることができた。大滝は下から見たところ40mはありそうだった(写真②)。
ゴルジュを進んだ先にまた大滝がかかっていた。ここはロープをつないで何とか下まで届き懸垂下降。落差25m程の滝だった。両側が切り立ったすばらしいゴルジュを抜けて流木の目立つ沢を下ると日河原洞広場に到着。後は舗装された銚子林道を歩いた。懸案であった日河原洞下降の念願を果たし、足取りは軽かった。
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