大垣山岳協会

山中雑記 雪の山越え道

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2012年6月(No.367)

雪の山越え道 棚瀬 慶尚

 奥深い道のないやぶ山に登るとき、いつも念頭に浮かぶ記憶がある。それは、13年前に登った白川村のオゾウゾ山(1085m)の山道のことだ。この山の南麓を流れる加須良川の上流に加須良集落があった。今では立派な道路や林道を経て国道156号の小白川の街並みまで出られるが、50年ほど前まで冬は3,4mの豪雪で通行が途絶し、陸の孤島と化した。冬に急病人が出たときは大変だった。小白川に急送するのに、加須良川沿いの歩道は雪崩れが危険で通行不能。そこで、村の外れにある「おのえ峠」から尾根伝いにオゾウゾ山を越えて北西尾根を経て小白川にたどり着いた。「加須良と富山県側の隣村の桂集落が人数を出し合い、雪道をラッセルし患者を運搬した。人の命がかかるだけにつらい雪山歩きだった」という旧住民の話を聞いた。

 私たちは7月の初め、おのえ峠から6時間半も掛けてオゾウゾ山に着いた。かつては、村人たちの生活路だった道はほとんど消えて激やぶに苦闘した。その山道は加須良の人たちが急患を担いで通った道だった。時代の波に押され、加須良は1968年に消滅、桂集落は70年にダム湖の底に消えた。山道は当然消滅と想像した。ところが、ホームページの記録では近年、同じコースでの登山例がわずかだがあった。峠から2時間余で登っている。道の刈り払い整備がされたのかもしれない。

(棚瀬慶 私の山行記録はホームページ「マイナーな山 三角点を求めて」参照)

コメント