月報「わっぱ」 2012年2月(No.363)
【 冬山合宿 】 木曽駒ヶ岳 ( 2956.1m Ⅰ△ ) 平木 勤
- 日程:2011年12月31日(土) ~ 2012年1月3日(火)
- 参加者:佐竹良、久世勝、杉本眞、杉本誠、後藤正
- 行程:
- 2011年12月31日(土) 大垣4:00=アルプス山荘駐車場7:00~7:20-敬神小屋7:50~8:05-金懸小屋11:20
- 2012年1月1日(日) 金懸小屋8:35-七合目10:50-八合目(2590m)テント場12:20
- 2012年1月2日(月) テント場7:00-木曽前岳(2826m)8:30-玉ノ窪山荘9:10~9:25-木曽駒ヶ岳10:10~10:15-玉ノ窪山荘10:40~11:00-テント場12:15~13:00-金懸小屋15:20
- 2012年1月3日(火) 金懸小屋8:15-敬神小屋9:40-アルプス山荘駐車場10:15=大垣
- 地理院地図 2.5万図:木曽駒ヶ岳
2011年12月31日(土)
今回のルートは上松のアルプス山荘近くに登山口がある上松Aコース。昨年も同ルートで挑んだが雪に阻まれ山頂の手前で撤退した。
登山口は駐車場のすぐ東にあり、大きな案内板が立ててあった。河川工事のために作られたのだろうか、川沿いに続く未舗装の広い道を歩いて山沿いの林道に出ると間もなく敬神小屋だった。年末年始の小屋番さんがいてお茶を振る舞ってくれた。近年、このコースを登る人が少なくなったと嘆いていた。
敬神小屋からは穏やかな針葉樹林帯の登山道。昨年はこの辺りでも30センチ程の積雪があったらしいが今年はほとんどない。養老山脈を歩いているようですねえというと、養老の方が雪が多いぞという冗談が出た。
登山道沿いには時折すっくと伸びた立派なヒノキが立っている。木曽ヒノキの産地らしい光景だ。進むにつれて道は徐々に斜度を増し九十九折りに登る。きつくて、三泊分の荷物に足が悲鳴をあげそうだ。
道筋には半合目ごとに道標が立っている。それだけ一合の間隔が長いという事だろう。その半合目ごとに細かく休憩をとった。
尾根上に続く登山道を進んで正面に岩壁が見えてくると間もなく五合目の金懸小屋。行程に余裕があるので今日は小屋泊まりとなった。青空が広がり、小屋からは御嶽山の雄大で優美な姿を惜しみなく堪能できた。小屋の中に張ったテントの中で一年を締めくくるささやかな宴を始めた。
2012年1月1日(日)
朝、外に出ると昨日より天候は悪く御嶽山は頭を隠している。小屋から岩場をトラバースすると急登の連続。「胸突き八丁」だ。
一旦「らくだの背」と呼ばれる穏やかな尾根を進み、鞍部を越えると再び急登の連続。雪が少ないのが救いだ。途中、樹間から対岸の三ノ沢岳への尾根の下部に氷瀑が見えた。透明感のあるコバルトブルーに思わず感嘆の声が出る。途中から小雪が舞いだした。期待した尾根筋からの山々の眺望はミルク色のベールの向こうに隠されてしまった。
出発時間の割に早めに八合目に着いた。テント設営に最適な広場だ。積雪は5,60センチ。乾燥したさらさら雪で整地作業が大変だったが、テントを張ると快適な宿となった。時間は早いが初春を祝う宴をささやかに開いた。
2012年1月2日(月)
朝テントから出てみると雪が舞っていた。天候は悪そうだ。雪も少ないとはいえ結構な量。ただ前日に登ったパーティーのトレースが残っているので歩きやすい。時折、ガスが晴れ対岸の三ノ沢岳などが見える。
歩き始めてすぐ、雪をかぶった無数の霊神碑が寒そうに並んでいた。「霊神場」だ。木曽駒は古来から盛んだった駒ケ岳信仰の霊場でもあった。木曽前岳手前の鞍部でアイゼン装着。急斜面トラバースの後、岩場を慎重に越えて木曽前岳の頂上。ガスが濃くなり視界ゼロ。頼りのトレースも消えかけている。木曽前岳から玉ノ窪小屋に向けて勘を頼りに下っていると後ろから「ストップ」の声。よく見ると左手下に夏道がある。慌てて方向転換。
玉ノ窪小屋より上は風で雪が飛ばされたせいか、夏道の見分けがつき歩きやすくなる。ただ風は強く雪が舞っている。木曽小屋を越え斜度が緩やかになり、やがて念願の木曽駒ヶ岳山頂。全員が登り着いたところで握手を交わし一等三角点を囲んで万歳三唱。周りは乳白色のカーテンで何も見えないが冬期の登頂に感慨もひとしおだ。
吹く風と舞う雪で長くはいられず玉ノ窪小屋まで戻って休憩した。帰路、木曽前岳への登り返しで膝上に達するラッセルがきつかった。その後はスムーズにテント場まで下った。
テント撤収後、金懸小屋まで下った。下るに従って天候は良くなり、小屋に着く頃にはきれいな青空が広がっていた。金懸小屋では登頂を祝って最後の宴が催された。飲食物は三泊目ともなると底を突いてきていたがそれでも十分楽しい宴となった。
2012年1月3日(火)
まずまずの天気の中を下山開始。途中で大垣労山の6人パーティが登って来るのに出会った。わが会のメンバーでもある北川、伊藤の2人もいた。健闘を祈って彼らを見送った。
敬神小屋からアルプス山荘へ向かう途中、山を振り返ると稜線部が晴れてきれいに見えた。一日違っていればとも思うが、初めての冬山連泊山行で登頂できた体験は貴重だった。こんなにすばらしい山行を経験させてくれた同行のみなさんに感謝したい。
コメント