大垣山岳協会

ひっそりとした山頂・サンノーの高 2023.07.07

三尾山(サンノーの高)

【 個人山行 】 三尾山 ( 1106.5m Ⅱ等△ )美濃百山B級 山県市円原字上三尾 NT

 当会は年間計画で2023年7月9日に一般山行を「三尾山」(サンノーの高)で行う予定であった。しかし円原川沿いの林道が通行止めとのことでリーダーのYから柿野川から西洞谷経由で行うと変更の計画とルートを記した地形図が届いた。だが梅雨期のことで天候は不安定、週間天気予報を見れば当日は降水確率80%で中止の可能性大である。ならば毎日がサンデーの暇人が計画前の晴天を見計らい足跡を残した報告である。

<ルート図>
  • 日程:2023年7月7日(金) 晴れ
  • 参加者:NT(単独)
  • 行程:西洞谷標高450m駐車地7:30-林道から鉄塔巡視路8:06-74番鉄塔9:03-主稜線9:48- 円原ルート分岐10:16-サンノーの高11:21~57-駐車地14:47
  • 地理院地図 2.5万図:上ヶ瀬

 林道は舗装されてはいるが狭く小石が多い、前々日までの雨で水が道路上を流れている所も多い。起伏や急カーブも多く倒木や落石で進めなくなった時バック走行に不安がよぎる。標高450m辺りでUターン出来る膨らみを見つけるとこれ幸いに車を捨てた。円原へ繋がる林道分岐の15分ほど下であった。周りはヒルが多そうで朝飯も食わず出発した。

 円原へ続く分岐を過ぎて谷沿いに10分ほど歩くとゲートが有ったがチェーンは地面を這っていた。5台ほど駐車スペースが有り此処まで車の乗り入れは出来た。舗装は此処で終わっていたが地形図に記載のない地道が以後も谷沿いに続いていた。林道が右に屈曲し谷から離れる所に路網整備事業の看板があり、ここから谷を右岸へ渡って山道へ入った。

 谷沿いに踏み跡を追ったが杉の落ち葉と苔むしたガラ場でヒルの巣窟のような中を足元に注意して進むと鉄塔巡視路の標識が有り75番の指す方へ進んだ。2ヶ所目の標識で75番は谷を渡る方向を指し斜面に目印もあったがYの作成した地形図は谷を渡っていない。最初は気付かなかったがもう一つ目立たない白い標識が有り手書きの74番が読み取れた。その指す方向に斜面を左上する道が有り追った。ヒルが心配で立ち止まりは出来なかった。

 斜面にプラ階段の鉄塔巡視路が現れそれを追った。小さなカラ谷を跨ぐとき斜面の右上に目印と黄色のプラスチック杭を見て一瞬誘惑されたが思い止まった。おそらく斜面に取り付けば早々に藪漕ぎとなり後悔する。この踏み跡を追っていれば74番鉄塔へ出るはずだ。

 巡視路は谷に滝が出現すると高捲いたが岩場はプラ階段から鉄板の踏み板に変わった。斜面からの湧水で苔が発達し小石も乗っており滑りやすい。3ヶ所ほど高度感があり気が抜けなかったが30mmほどの太い固定ロープがセットされており心強かった。

 岩場が終わるとプラ階段の急登になり見上げると74番鉄塔が青空に浮かんでいた。何より足元の道が乾いておりヒルの心配から解放されホッとした。だが谷から尾根に上がった途端に直射日光を浴びて一気に体力を消耗、近くに見えた鉄塔が遠くに感じた。

 74番鉄塔から関市板取の川浦渓谷の峰へ続く送電線、1基置いて小さく見える72番鉄塔には円原林道から登山道が延びて来ている。その道は976mP手前で関市と山県市境界の主稜線に合流するはずだがまだまだ遥かに遠い。

 鉄塔下は暑くてヒノキ林の中へ入り休憩した。ヒルの恐怖でこれまで休憩せず飲まず食わずのせいか74番鉄塔への急登ではバテバテとなった。木陰は涼しく切り株の椅子は快適で水分補給と遅い朝食を摂って長めの休憩をした。出発に際して熊追いの爆竹を鳴らした。

 74番鉄塔からヒノキの林床の笹丈は膝ほどであったが主稜線が近づくにつれ背丈を越えて濃くなった。獣の踏み跡を追うと所々に赤布も残されていた。高度で約100m稼ぐと北山から延びて来た関市と山県市の境界主稜線に出た。

 境界主稜線に出ると北に向かって70m下降した。作業道に使用しているのか踏み跡はしっかりしておりヒノキの幹にはペイントが残されていた。

 やがて見覚えのある王子製紙と思われるマークが幹に括られていた。「サンノーの高」は過去に2回円原ルートから登っており境界主稜線でよく見たマークである。円原の分岐は未だであったが見慣れたマークを見つけると少し心にゆとりが生まれた。

 地形図に記載のある976mピークの手前、高度で70m下の円原ルートとの合流点に着いた。御料局の境界石柱と王子製紙のマーク、赤いペナントが有った。円原ルートの踏み跡は残っていたが笹竹が覆っており近年人の気配が消えていると感じた。

 それでも円原ルートとの合流点を過ぎると明瞭で良い道となった。記憶を辿ると作業道の歩きやすい道と王子製紙のマークの案内が甦る、このまま山頂へ楽々で行けると思った。

 ところが山頂へ最後の斜面となったが突然道が笹ヤブへ消えた。一旦、4mほど下り踏み跡を捜すが突っ切るしかないと覚悟した。意を決し鉈で竹を切り払い4,5m進むと踏み跡を見つけた。だが、背丈を越す笹竹が覆っており竹は斜面上から下へ向かって逆茂木のごとくに抗った。ナタで切り払って進んだが頑強な抵抗に山頂を前にヘトヘトになった。

 笹のトンネルを抜けると切り開きが有ってそこが「サンノーの高」の山頂だった。ヒノキ林の1本に山名板、クリの木に王子製紙のマーク、少し離れてリョウブの株立ちが有って尾根の続きのような山頂らしくない山頂である。中央にⅡ等三角点の石柱が保護石に囲まれていた。虫が多く蚊取り線香を焚いたついでに爆竹を鳴らすと静かな山中に響いた。

 このレポを作成中に7月9日の「三尾山」(サンノーの高)山行は雨天が見込まれる為中止しますとYリーダーからメールが来た。正鵠を得た判断である。円原ルートだと2時間半で登っているが今回3時間50分を要していた。このルートは高齢者同行の山行は心せねばと言い聞かせている。完

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