大垣山岳協会

松谷洞-サンノウの高(三尾山)沢登り 2012.06.03

三尾山(サンノーの高)

月報「わっぱ」 2012年7月(No.368)

【 一般山行・沢 】 サンノウの高 ( 三尾山 )( 1106.6m Ⅱ△ ) HT

  • 日程:2012年6月3日(日)
  • 参加者:HT、SY、SM、SS、ET、NH、OT、KK、KY、GM
  • 行程:大垣4:00=松谷浄水場奧駐車地(関市板取)5:20~50-松谷大滝9:00-松谷洞河原9:45-空滝10:25-三尾山直登沢出合11:30-サンノウの高(三尾山)13:10~14:00-松谷洞出合15:00-旧歩道左岸渡渉点16:20-松谷駐車地17:35=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:上ケ瀬

 各務原山岳会・日比野和美氏著の「百山百溪」に、松谷洞は「川浦谷群の沢と比較して、決して劣る沢ではない。むしろ川浦谷の沢より優れている」と記されている。大滝や美しい滝が幾つも現れる沢だ。だが、レベルは三ツ星マーク。それでも、総勢10人の賑やかなパーティーとなった。

 松谷集落の浄水場奥の広場に車を停め出発。空模様が心配だったが青空ものぞく沢日和となった。取水堤脇にある古い水神さまの石碑から入渓。ゴーロの沢を歩いて堰堤を越えると6mほどの滝。右側が階段状になっているがぬめり気味で慎重に登る。

 ゴルジュの青々とした深い淵が行く手を阻む。高巻きや若干の泳ぎで突破。「何十年振りに泳いだ」という声も聞かれた。泳いだ淵の先では滝横の壁をロープを出して突破。見た目よりスタンスが取りにくく、みんな苦戦していた。

 滝の上は沢が明るくなり大岩が混じるゴーロが続く。その先に青い深淵の釜を持つ12mほどの滝。佐竹さんのリードで滝の左側岸壁をトラバース気味に登り落ち口に出た。

 しばらくすると巨岩帯が続く。一つ一つを越えるのが大変だ。ルートの選択を誤ると行く手を大岩に塞がれてしまうので先頭の責任は重い。

 松谷大滝に出る手前で左岸寄り数カ所の岩に赤ペンキの矢印が書いてあった。地形図に出ている旧歩道がここで左岸から右岸へ渡っているようだ。この歩道は地域の人々にとって炭焼きや山林作業に必要な生活路だったが、最近は荒れる一方だった。

 間もなく、茶色い岩肌が印象的な松谷大滝(写真①)が前方に立ちはだかる。落差は25m程。荒々しい迫力がある。水量がもう少し多ければ、見応えがあったであろう。

写真①

 右岸側の枝沢沿いに登ると、上部で旧歩道に出た。歩道からすぐ分かれて、急な尾根を下り、本流に降り、淵を二つへつった先に見事な滝が現れた。落差は13m程。その姿と釜がまるで水墨画を見ているようだ。「女神が出てくるんじゃないの」と顔に似合わない台詞を口にする人もいた。

 右岸側を巻くと、またも大きな滝。ここは右手の岩場を登り落ち口までトラバース。その先には下流からは流れが見えない「空滝」と呼ばれる大滝。手前の右岸急斜面を登り再び旧歩道に出る。路面は崩壊カ所が多く、気を抜けないが、真新しいトラロープが幾つか付いていて助かる。何のため、誰が付けたのか。歩道が自然に河原に出た先、左岸に王子製紙の社有林の看板があった。

 そのすぐ先に三尾山山頂に向かう直登沢の入り口があった。はほとんど涸れ沢の様相で中流部はスラブ状になり上部まで続く。岩壁を避け右手の尾根に上がり、やがて分厚いささやぶに突入。斜度が緩くなり、現れた稜線には驚いたことに、刈り払い道が延びていた。

 5分ほどで頂上に着くと間もなく、大きな声とともに反対方向の三尾の旧集落から登って来た藤井さんたち5人がやってきた。彼らは数時間前に着いたが、山頂付近で待っていてくれたのだ。差し入れ飲料と笑顔、ありがとう。

 賑やかな休憩を終え、下山は往路より少し北側から下降した。すっきりした沢で難しい滝もなく快適に下り往路に戻った。松谷洞出合からは旧歩道を利用した。結局旧歩道は取水堤の下流まで続き、かなり時間の節約になった。駐車地まで戻った途端雨が降り始めた。まるで我々の下山を待っていたかのようなタイミングだった。

<編集者注> 旧歩道のトラロープと王子製紙の看板は関連があった。看板のあった地点から松谷洞上流域の山林約100㌶は王子製紙の社有林だった。最近、同社はこの林内で間伐などの手入れをしており、松谷洞沿いの旧歩道を通って作業員が入山している。ロープはそのための道の補強らしい。

 一方、三尾山山頂尾根の刈り払い道も王子製紙がごく最近開設したものだ。この社有林の最上流部は三尾集落側から近いので手入れ作業のために登山コースに沿って道を整備したのだ。両方向からの作業現場には歩いて片道3時間ほどかかる。個人持ちの山林が荒れたまま放置されているのをよく見る一方で、山林企業が人里離れた奥地林の手入れをする。考えさせられる現象が起きている。

<ルート図>

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