大垣山岳協会

雲上の花畑を歩く乗鞍岳 2022.07.25

乗鞍岳

【 個人山行 】 乗鞍岳 ( 3026m Ⅰ等三角点 ) 清水 友子

  • 日程:2022年7月25日(月)
  • 参加者:清水友、他2名
  • 行程:乗鞍高原3:40⇒畳平(2702m)4:30
    畳平(2702m)4:50→肩の小屋5:30→頂上小屋6:45-7:05→山頂7:10-7:20→肩の小屋7:55-8:25→肩の小屋バス停9:10→位ヶ原山荘10:55-11:40→冷泉小屋12:00→三本滝分岐13:20→三本滝14:05-14:10→駐車場14:40 
  • 地理院地図 2.5万図:乗鞍岳

 今年は梅雨明け後に雨が続いたが、再び暑い夏が巡って来た。涼を求めて、乗鞍高原始発のご来光シャトルバスに乗り涼しい乗鞍岳が思いうかんだ。
 バスで畳平まで登り、山頂まで行った後に乗鞍高原観光センターまで降りる計画だが、遅くなった事を考え三本滝バス停にも車を一台置いた。
 白山とほぼ同じ2700mの高さからスタートをして短時間で3000mの頂きに立つことが出来るのはここしかない。

 バスから降りて歩きだすと、東の空が赤く染まり初めていた。

朝日に輝く八ヶ岳

 今日の天気予報は晴れ予報だが、周囲の山はガスに覆われて視界はあまり良くない。ご来光を待ったが、日の出時刻を過ぎても太陽が見えないので諦めて歩き始めた。

不消ヶ池の雪渓と碧い水面


 傍らにはコマクサが咲いていた。

朝露に濡れたコマクサ

 宇宙線観測所のドームを右手に見て直進すると乗鞍岳の山頂が見えてきたこの時はまだ山頂が見えていた。

乗鞍岳山頂

 広い道路をそのまま肩ノ小屋まで歩きひと休みした。

 再び、山頂に続く登山道に入ると、周囲はガスに覆われてしまった。ここからが剣が峰の本格的な登りとなるが、道は火山性の砂礫や溶岩で滑らないように慎重に登る。登山道沿いにはコマクサのお花畑が続いていた。

 急坂を登りきり小高くなった蚕玉岳に到着した。目の下には権現池が見えるはずだが辺りは雲の中で全く見えない。頂上小屋の前でガスが切れるのを待った。しばらく待ったが、諦めて最後の急坂を登り一等三角点標高3026mの乗鞍岳に立った。

雲上の乗鞍岳 剣が峰

 本来であれば御嶽山、北、南、中央アルプスや八ヶ岳連峰の大展望見えるはずなのだが残念。早々に山頂を後にして肩の小屋まで戻る。

 ここで軽い食事を摂りながら休憩した。休憩後三本滝への登山道を降り始めた。

三本滝への薄い案内板

 視界はガスに覆われてはいるが、よく整備されたなだらかな登山道が続く。
辺りにはチングルマ、ミヤマキンバイ、アオノツガザクラ、白山石楠花の花が所狭しと競って咲いていた。

チングルマの綿毛
白山石楠花
チングルマの群落
コバイケイソウ

 雪渓の白と周囲がガスで覆われているせいか一層幻想的な風景が広がり、暫し足を止めてこの景色に見惚れていた。

ガスの中の雪渓

 周囲は溶岩の切れだった大きな岩が多くその間に咲くチングルマの群落には感動する。ハイマツの中を何か動くものに目が行くと雷鳥の雛が突然飛びたった。周りを探すと親鳥が居た。

雛を見ているのか、こちらを見ているのか

 親鳥はすぐ近くにおり雛鳥の様子を見守っているようにみえる。よく見ると親鳥足首には赤ていたいリングが巻かれていた。どうやら雷鳥の繁殖の様子が調査されているのだろう。

肩の小屋口バス停から見た雪渓

 スキーを楽しむ人達の駐車場と大雪渓・肩の小屋口バス停がある道路を横切ると登山道は一変し、ここからは沢沿いの道を歩くことになる。

沢沿いの道

 雪解け水が流れているがもし雨でも降って増水したら歩けないのではないかと思った。位ヶ原山荘までは沢沿いの道が続いた。

乗鞍岳の溶岩台地の景色

 標高2350mにある位ヶ原山荘まで降りてきた。位置を地図で確認するとまだ半分しか降りてない。先が長い、どうやら歩きにくい沢道で時間をかなり費やしたようだ。

位ヶ原山荘から山頂を見る

 山荘前でゆっくり昼食と休憩をとった後、歩き始めた。ここからは登山道もかなり整備されていた。
 数回、道路を横断し冷泉小屋過ぎた辺りから樹林帯の中に入った。

歩き易くなった登山道

 先に進むと今度は急な笹の生い茂った登山道となった。すれ違う登山者はいない。所々に熊除けの管を鳴らす鐘が設置してあった。摩利支天バス停を過ぎ、再度山の中に入ると針葉樹の森となった。

歩き易い栂か樅の森

 このコースの地名にもなっている三本滝と観光センターの分岐地点1850mまで降りてきた。かなり疲れが溜まっているため、観光センターへの下山を諦め、三本滝へ降りることにした。

分岐の案内標識

 標識に沿って行くと日本の滝百選にも選ばれている三本滝があった。この滝は三本とも違う水流から流れて合流し最後に一本の川になって麓に流れているそうだ。豪快で自然の芸術に圧倒される。

大きすぎてカメラに収められない。(三本滝の一つ)

 三本滝まで来ると滝を見に観光客が多くなってきた。登山口まであと少しだ。三本滝登山口から乗鞍岳山頂まで標高差でいうと伊吹山と変わらないのだが、乗鞍岳の山頂からここまで下山だけで6時間も要した。このコースを登りに使うと夏山の魅力が一杯詰まった道であるが、体力を使い日帰り登山は厳しい。
 肩ノ小屋から位ヶ原山荘の間は高山植物が多く、もう一度歩いてみたい道だ。

 乗鞍岳を麓から登頂しようとすると他に平湯新道、丸黒尾根ー千町尾根コースなどある。10年前に乗鞍山頂から大垣山岳協会のOB仲間と丸黒尾根から乗鞍青少年小屋まで下山した事があるが行程が長く藪漕ぎもあり、きつかった懐かしい思い出がよみがえった。

<ルート図>

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