【 個人山行 】 と、ある山 丹生 統司
と、ある山の谷へ釣りに出かけたのであるが1時間半も糸を垂らして釣果は放流サイズが1匹、早々に竿を仕舞った。さて天気は上々で帰るには早い、絶滅危惧種のクマガイソウ探索でもと勘を頼りに時間を費やした。ところが偶然にも遭遇し写真に収めた報告である。
- 日程:2022年5月18日(水) 晴れ
- 参加者:丹生統(単独)
40株弱ほどで群生地とは言い難いがほとんどの株が花をつけており貴重な発見に欣喜雀躍(きんきじゃくやく)したいほど興奮した。自分だけの景勝地、そこはふかふかの絨毯のような腐葉土の斜面であった。
今年は他の場所のクマガイソウが花芽をほとんどつけておらず裏年と思ったが多い訪問者による近辺の環境変化が原因だと確信した。此処は茎も太く葉も大きくて色艶も良く別世界のように花をつけていた。
クマガイソウは地下茎をのばして成長するという。離れた所から地下茎を踏まぬように気遣いしてレンズの倍率を上げ撮影した。
偶然見つけたのであり、確実に此処に戻れる自信はない。おそらくもう訪れることはないと思うので写真は沢山撮っておいた。
近くの尾根で見た花「ユキモチソウ」葉の白い麩と白い餅状の花が中央にあるのが特徴、この花も絶滅危惧種と後で知った。当初はマムシグサの変種と思っていたが近所のホームセンターでユキモチソウとして販売しているのを見て花名を知った。
近くで見た花、腐葉土の林床にはエビネが花盛りであった。
中々見事なエビネ、これほど大きい株も初めて見た。
可愛い小株のエビネも、
急な尾根には大きなブナが有って山深い所に居ることを実感する。
デッカイ熊の糞が近くに有った。糞の大きさから見て相当の大物が居るようだ。絶滅危惧種の番人がヤマノオヤジなら人は早々来ないだろう。
下写真はよく知られた県内有数のクカマガイソウ自生地を今季訪れたときの1枚である。茎は細く葉は小さくなって哀れなほど痩せて小振りのフキみたいだ。葉の色も黄色っぽくて艶も悪い。花も4株ほど確認出来ただけだ。おそらく多い訪問者によって用土が踏み固められたか地下茎が踏まれて退化したと思われる。規制と保護が必要だろう。
簗谷山のクマガイソウも嘗てはこのような惨状であったがロープで立ち入りを規制し保護することで時間はかかったが甦った。今では登山道から気軽に鑑賞できる県内屈指のクマガイソウ自生地となった。
上写真の現場は有る人が迂闊にもブログで自生地を公表、地形図に場所を記入し誘導の赤布目印を残したと聞いた。結果、県外からも俄写真家や一般人迄が押し寄せ拡散したようである。悪意はなかったと思うがこの惨状を見て思慮不足の行為を恥じていることだろう。
日本のクマガイソウは環境変化に敏感で素人が育てることが大変難しい自生ランだそうである。暑さに弱く庭植えや鉢植えには適さず持ち帰っても必ず枯らしてしまうようだ。
今日の山のことは写真に残したことであるので場所は忘れることにした。故意に忘れようとせずとも物忘れが多くなったことだし記憶は直ぐに消えるであろう。完
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