大垣山岳協会

雨乞の大杉を訪ねて、点名・幾利~雨壺様 2021.12.15

今須山

【 個人山行 】
点名・幾利( 760.3m Ⅳ△ )、点名・新ノ谷( 643.5m Ⅳ△ )、今須山( 611m △なし )
 丹生 統司

 雨壺様は下明谷近くの関谷の九合目付近に平らな土地があり、小さな池が有り年中水をたたえている。そこに雨の恵みをいただける霊験あらたかな雨壺竜神(水神)がまつられている。雨壺さんは神体は竜王だが、境内の大杉になっている。『関ケ原町史』

<ルート図>
  • 日程:2021年12月15日(水) 晴れ
  • 参加者:丹生統(単独)
  • 行程:延坂林道ゲート8:00-点名・幾利9:00-点名・新ノ谷10:25-今須山11:00-雨壺神社11:35- 延坂林道ゲート15:00
  • 地理院地図 2.5万図:霊仙山

 先日一本杉から勢州峠、ボンテンを歩いたおり同行の三輪氏に、その主稜線の西に雨壺神社の存在を教えられた。関ケ原では旧幕藩時代から戦前まで雨乞いが明神山、雨乞い岩と共に雨壺大杉で行われていたと『関ケ原町史』に記載されていたことを思い出した。昨日14日に関ケ原町今須貝戸から今須山を登って雨壺神社を捜したが時間切れで引き返した。

 昨日は今須貝戸を出発したのが10時を過ぎており遅すぎた。それと今須の杉林は昼間でも暗く陰気臭くて本日は南の日当たりの良い上石津町側から延坂林道を利用した。

 行く手に点名・幾利760,3m、此れを登り関ヶ原・上石津境界主稜線通しに雨壺大杉を目指す。

 幾里谷の支谷が上がりきったコルから山頂を目指した。尾根の右手斜面が落葉樹林、左が植林帯であった。登り切った所が山頂と勘違いしてキョロキョロ、よくよく考え地形図を確認すれば南に120m行った高みが山頂であった。Ⅳ等三角点、点名・幾利760.3m

 一度勘違いを起こすと中々頭が正常に戻らない。これから向かう点名・新ノ谷の降り口をまた勘違いした。正解は山頂から60m下って北に向かうのだが、取り付きの林道脇のコル迄引き返した。コルで地形図と向き合うことしばし、やっと頭脳が冷静を取り戻し混乱から脱出した。降りて来た斜面を再び30mを登り返して北方向の新ノ谷への下降ルートを見つけた。急斜面を一気にと行きたいが落ち葉が滑って危ない。

 新ノ谷へ続く境界主稜線のコルへ140mの急下降が始まって間もなく左斜面に白い幟のようなものが現れた。よく見ると植林された苗木の獣害除け保護カバーであった。遠くから見ると墓標のようでもあって気持ちいいものではなかった。

 点名・幾利を振り返る。白い苗木カバーが雪の斜面のようだ。数年前に岐阜の山中で白布を木などに巻き付ける宗教団体が有ったがそれを思い出した。

 点名・幾利から北に降りきると起伏の少ない単調な関ケ原、上石津の境界主稜線が新ノ谷まで続いた。藪らしきものもなく歩きやすかった。正面に新ノ谷が見えた。

 Ⅳ等三角点、新ノ谷643.5m

境界主稜線を更に北へ行く、今須山611mである。昨日14日に登った際の写真である。

 山頂付近で見つけたキノコであるがナメコとは違うようだったので収穫は止めた。

 今須山到着、ここには三角点はない。代わりに一本杉や勢州峠でも見たような気がするプレートと山名札があった。

 昨日は今須山から東に尾根を下り林道に一旦降りた。林道を暫く歩き関ケ原・上石津境界主稜線に上がってボンテンの山頂斜面の登りにかかる付近から忠実に境界主稜線を辿り今須山方向へ引き返した。標高560mの頭で下記写真の看板を見つけたので付近と今須山までの主稜線をつぶさに捜したが大杉も祠も発見できず諦めた。

 今日は昨日のように一旦林道に降りた後、写真の看板の560mの山まで登ってから今須側に斜面を下って捜すことにした。関ケ原町史に大杉は9合目と書いてあった。

 斜面を30mほど下って行くと先ず大杉が目に留まった。根回りの直径が2mは有りそうな大杉めがけ駆け下った。大杉の上斜面と瑞垣の外の下斜面に水の湧きだし穴が有った。

 大杉の瑞垣や祠の建立は平成になってのものだ。町史に書いてあった平地は有ったが年中水をたたえていたという池はなかった。此処で雨乞踊りや歌を唄い笛を吹き鉦や太鼓を打ち鳴らして雨乞を祈願したのだろう。直近では昭和17年10月1日に返礼踊りとして太鼓踊りを総勢29人で行ったという記録が残る。

 神社へ登って来る今須側の道であるが関谷川に通ずる尾根を捜したが確認出来なかった。多分長い年月に埋もれてしまったのだろう。祠の左斜面に斜上する新しい道がつけられており辿ると関ケ原・上石津境界主稜線に出た。少し東に歩くと上石津側の林道が下に見えたので降りてそれを利用した。雨壺神社の道もこの先の降りやすい所からこの林道につながっていると思われた。多分平成の建立もこの林道を利用して行われたのだろう。

 二日連続となったが雨乞いの大杉は発見出来た。当初は今須山から境界主稜線を辿って往路を引き返す予定であったが歩きやすい林道を延坂のゲートまで利用することにした。幾利の140mの登り返しを敬遠したのだ。日当たりの良い林道をのんびり歩いていると12月の半ばであることを忘れるほどであった。完

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