大垣山岳協会

宮ヶ洞遡行 2017.08.10

宮ヶ洞

板取・宮ヶ洞水遊び遡行  鈴木正昭

 意識が薄れるような蒸し暑さが続く。ならば、山中での水遊び、つまり沢登りだ。それも、実力に見合った、ごく軽量な、ほんの水遊び程度の沢を地図で探した。選んだのは長良川水系板取川奥の宮ヶ洞。緩やかに続く多めの水流につかりながら気楽な遡行は2時間後に終わった。沢は傾斜を急に上げて、予想外に美景の二段の滝二つ。冷や汗をかきながら高巻いて低いササ原の主稜に出て点名宮ノ谷(906.4mⅢ△)に達した。うれしい拾い物もしたが、一方で厄介な付着物に泣いた。(単独 2.5万図・上ヶ瀬)

  • 日程:2017年8月10日(木)
  • 参加者:鈴木正(単独)
  • 行程:自宅6:25⇒中央道⇒東海北陸道美濃IC⇒板取・上ケ瀬⇒大谷大栃林道⇒8:40大谷隧道⇒8:50宮ヶ洞分岐の路側(駐車)9:15→宮ヶ洞遡行→11:15二俣(左俣へ)→11:50二段4・5m滝→12:20二段6・7m滝→12:45主稜線→12:55宮ノ谷三角点1:20→2:00送電鉄塔→3:20宮ヶ洞河原→3:40駐車地

 板取の中心地、上ヶ瀬から断崖沿いの大谷大栃林道を進む。大谷隧道をくぐり、右折してすぐの宮ヶ洞分岐の路側に駐車(420m)。宮ヶ洞の水辺に下りて早速流れの中を歩く。台風5号による増水のせいで、流れは普段より多いのだろう。右岸側に送電鉄塔補修路らしい標識と踏み跡があったが、間もなく斜面上方に消えた。幅の広い谷はゆったりと上がり、小滝さえ造れない傾斜である。暑さをしのぐため、時折、腰まで水に浸かるが冷たさを感じない。

 標高630m辺りで宮ヶ洞は左右に分れる。左俣に入ると谷は急激に斜度を上げ始める。高度を50mほど上がると、上4m、下5mの二段滝(写真①)が現れる。

(写真①)

 下滝の左右の岩壁を登ろうとしたが、足場が取れない。やむなく、高巻くことにする。20mほど引き返し右岸泥斜面をのぼる。わずかな小木や木の根をつかみトラバースして下滝の落ち口に下りてから、上滝の左側階段状の岩を登り切った。さらに50mほど上部で再び二段滝。下滝は8mほど、上滝は6mほどと見た。

(写真②)

 直登は無理なので、下滝のすぐ左から草付き急斜面を上がり枝尾根上に達した。谷筋は滝地帯を抜け出し、斜度を下げて小さな孫滝が幾つも白い流れを見せていた。高度が上がったせいか、すずしい風が心地よい。それに適度な緊張感。暑さは感じない。

 標高860mで主稜線に出ると西側はヒノキの人工林帯。やぶも、踏み跡もない尾根を登り切って、平らな丘に上をひとしきり探すと、四角い石柱がわずかに頭を出していた。手で掘り返すと、三等三角点の文字が読めた。頂上からの展望はない。下山は南西に延びる登り尾根を下る。電源開発の送電鉄塔に着いて、巡視路の降り口を探すが見つからない。右往左往する内に、草むらの中にキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)の群落を見つけた。葉がなく、花茎の上にキツネ色の花だけが咲いている姿はどこか神秘的であった(写真③)。

(写真③)

 鉄塔から南側に高賀山の黒い姿、西側には丸い蕪山が見えた。山行中に眺望はここだけであったが、秀麗な滝や珍しい山野草の花にも出合え、望外な喜びを得た。

(写真④) イワタバコの花

 巡視路探しはあきらめて、かなり急な樹林内の斜面を下りる。持参した補助ロープで懸垂下降を繰り返しながら下ると、消滅寸前の巡視路らしい踏み跡に出合った。もう安心と思ったら、左脚にかゆみを覚えた。ウレタンスパッツを外すと丸くなったヤマビルが付いていた。用意の防虫スプレー(ディート剤)を吹き付けるとコロリと落ちた。駐車地に着いて両足のスパッツを外すとズボンが血まみれ。結局、全部で6匹とお付き合いすることになった。実は朝方、通りがかった上ヶ瀬集落の人から大谷水系はヒルが多いので注意しなさい、と言われた。そこで、出発前に丁寧にスプレーをかけたのだ。多少の障害をものともしない生命の強さに脱帽した。

 宮ヶ洞筋には赤テープ類などは一切なかった。軽い避暑山行のつもりだったが、手あかの付いていない自然の姿形は案外、身近な所にあることを知った。

 「宮ヶ洞」というからには、どこかに祠など信仰の場があったのだろうか。三角点名の宮ノ谷は宮ヶ洞のことだろうが、やはり宮の字が入っている。だが、私の山行中ではそれらしいものは見なかった。少し離れている郡上市側にも「宮ヶ洞谷」がある。両者に関係があるのかも含めて、一度調べてみたい。 

<ルート図>

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