大垣山岳協会

鴨~磯倉~合せ倉縦走 2016.03.26-27

点名・合せ倉

月報「わっぱ」 2016年5月(No.414)

【 個人山行 】 鴨 ~ 磯倉 ~ 合せ倉  鈴木 正昭

  • 日程:2016年3月26日(土) ~ 27日(日)
  • 参加者:L.鈴木正、杉本眞、北川洋
  • 行程:
    • 26日(土) 本郷望郷広場6:25-旧徳山無線中継所7:15-点名・村平(881m)8:05~20-約900m右折峰8:50-約870m峰9:50-950m鞍部11:10-鴨13:20~40-1394m峰14:10-テント場14:30
    • 27日(日) テント場7:30-1360m鞍部8:00-磯倉8:55~9:30-支尾根分岐9:50-点名・合せ倉(919.9m)11:40-扇谷河原13:15-扇谷土橋崩壊地(渡渉)14:10-櫨原望郷広場15:20=本郷望郷広場(解散)
  • 地理院地図 2.5万図:美濃徳山・能郷ほか

 奥美濃徳山の最奥部にある鴨(点名 1212m)、磯倉(1541m)を巡る残雪の尾根を再び歩いてきた。2年前は単独だったが、今回は力強い仲間2人を得た。

 徳山ダムの底に沈んだ本郷の望郷広場を出発した早朝、雲一つない青空が湖面の上に広がり、無風の最高の天候だった。重いザックを背に漆谷と白谷の間の長大尾根の背に上がる。左手の木々の間に若丸山や磯倉を見ながら、古い道跡をたどる。

 村平の三角点は枯葉の中に座っていた。辺りに雪は全くない。この先で木枝の激やぶに包まれた痩せ尾根を下る。2年前苦闘したところだ。だが西斜面を巻くなどして意外に簡単に通過。後は鴨のピークまで6つの峰を越しながら高度を上げる。雪田が繋がった雪稜となったのは標高1150m辺り。2年前より200mほど上昇している。それだけ、やぶ歩きを長くした。

 尾根筋のブナは登るに連れて太く高くなり、密度も高くなる。すらりと伸びる木、直角に枝を曲げる木、掃木のように枝をそろえて伸ばす木。若木は一様に細い幹を垂直に伸ばすが、老齢木ほど一癖ある多様で個性的な姿をしている。

 やがて、ブナの純林を見ながら広い雪原を進むうちに、杉本眞次君がここらに鴨の三角点がある、と指差した。彼は数年前の無雪期に白谷方面から登ってこの位置で三角点を確認している。深さ3、40cmの雪面をみんなでピッケルを差して探索したが、見つからない。辺りに位置を示すサインも皆無であった。この一帯の平らな尾根筋に昔、水鳥の泳ぐ池があったという説話があり、点名ともなったという。池は消えてしまい、その位置は不明となった。

 「鴨」の探索をあきらめ緩やかな雪尾根を上り下りして1394m峰を越してすぐ下にテント場の好適地を見つけた。出発から標高差約1000m。きつかったが、予定より早めに目前に磯倉や能郷白山が見える泊地に着いた。積雪50cm、無風快晴。夜、外に出ると星々がまばゆくきらめいていた。

テント場:右側に能郷白山、左側三角が磯倉

 27日朝、またもや、絶好の天気。軽アイゼンを着けて下り始めるとすぐ、今山行の難関の一つ、やぶが露出した痩せ尾根帯だ。重い荷を背負うと、足で歩くというより、腕で登るイメージだ。

 下りきって鞍部から磯倉前衛峰の太鼓腹に取り付く。露出した黒いやぶの斑(まだら)が随分多い。2回ほど斑のやぶの中に入り、強靱なネマガリダケと格闘。磯倉山頂部の雪原も小さく、ササやぶ帯の縁を伝って山頂に達した。杉本君は3回目、北川洋一君は数回目、私は3回目の磯倉登頂をバンザイで祝った。

 合せ倉の三角点辺りからは、常緑の小木やぶがうるさく足やザックをつかんで前進を阻もうとする。とくに粘性反発力の強いユズリハの小木に敵意を感じるほど苦戦した。カラカン尾根は県境尾根分岐点から標高差1000mも下る長大尾根。途中数カ所で尾根の分岐があったが、一度も間違えずに扇谷の河原に降りた。扇谷とカラカン谷の合流点で林道(町道扇谷線)に上がり、一息入れる。一服の後、山頂から北西に延びる福井との県境の雪稜を軽快に下る。標高差100mを降りて県境尾根から別れ西に向かうカラカン谷右岸尾根に入る。分岐したとたんに、激やぶ露出の痩せ尾根。ザックの背に着けたピッケルが木枝に捕まり難儀する。約100m下って激やぶは終わり、以後雪原を拾って広い尾根筋を下る。

 カラカン尾根の後半部分のやぶ歩きで、体力の消耗を痛感。扇谷線と徳山ダム湖畔の扇谷作業道の長い砂利道歩きではスピードが出ず、2人に遅れて回送車の待つ櫨原望郷広場に着いた。

<ルート図>

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