【 個人山行・体験山行 】 金草岳 ( 1,227.1m Ⅱ△ ) 丹生 統司
新しい仲間を迎えて金草岳で体験山行を行って来た。当日は関ケ原でも冷え込みが厳しく車のフロントガラスが凍っていたが、案の定塚迄来ると雪化粧している冠山が臨まれた。冠山峠周辺まで来ると道路にも積雪が有り今季初めての雪にハンドルを緊張して握った。(下の地形図は講習に使用したものである)
- 日程:2021年11月13日(土) 曇り後晴れ
- 参加者:L.丹生統、成瀬弘、藤井利、藤野一、村田美、山本知、山中晴、近藤味
- 行程:冠山峠9:15-点名・布滝9:40-桧尾峠10:30-金草岳11:50~12:30-冠山峠14:45
- 地理院地図 2.5万図:冠山・古木
冠山峠に着くと周りに湿気を多分に含んだ雪が有り、冬タイヤへの交換の時季であることに気付かされた。そしてこれからの季節はブーツか長靴が必要なことも。それにしても雪を纏った冠山が格好良かった。R417は徳山ダム堰堤で冬季に閉鎖される。東面若丸山方向からは残雪期に見ることが出来るが西面からの冠雪した冠山は中々見られない景色である。
出発前に地形図とコンパスの講習を15分ほど行った。地形図を読むということは行程の先読みをして対処を予め考えておくということ。(下山後に撮影したもので雪が溶けている)
今体験山行は入会3年生が新会員・体験参加者とペアを組んで地形図確認や行動中の指導を行うことにした。往路、桧尾峠までは山本さん、峠から金草岳を村田さんがリードを務め途中の要所で必ず現在地の確認とコンパスで進行方向が合致しているか確認することを申し合わせた。
峠の木彫り地蔵の横から1118mのピークを捲いてトラバースが始まったが雪で足元が悪く木の根っ子が滑って油断が出来なかった。峠付近には結構立派なブナが有った。
行く手に白倉岳と金草岳の双耳峰が見えて来た。
点名・布滝について1回目の現在地確認と次に桧尾峠までコンパスの進行方位を合わせた。
道中に見つけた風雪や人の迫害に耐えて来た根性ブナ。
桧尾峠から先ず白倉岳へ向かう。寛文2年(1662)に始まったとされる越前鯖江誠照寺の巡錫は根尾と徳山では「おまわり」と呼ばれていた。明治23年頃までは冠ヶ峠が使用されたが険路から以後は桧尾峠がその役目を果たしたという。
振り返ると冠山が遠くなった。
白倉岳の急斜面を登れば山頂は近いがこの高みが金草岳との勘違いが多く、斜面を登り切って「え~」と溜め息をつく人が多い。
山頂到着、三角点周辺の切り開きが年々大きくなっているようだ。我が会恒例の万歳を冠山まで届くほどの大きな声で行った後車座になって昼食を戴いた。
冠山の奥に能郷白山が見えていた。今日は雲が低くて御嶽や乗鞍、北ア、白山が見えなかったのは残念だ。
40分間の昼食休憩中に青空が覗いて来た。帰りのリード担当は藤野さんであるが白倉岳の下降は斜面に雪を載せており油断できず注意が必要である。スリップしたらソバク又へ滑り台だ。パーティーのトップを歩く人は全員の生命を預かっている。重心が後方に行かぬように前傾姿勢で慎重に、鞍部まで降りるとやれやれ危険地帯を終えホッとした。
帰りの道中は雪が融け泥濘も有り靴を汚して冠山峠に帰って来た。15時前で有りダム湖畔まで降りて望郷広場で簡単なロープ講習を行った。急斜面でのトラバースを想定して固定ザイルを敷設し安全を確保して通過する方法を行った。先ず簡易ハーネスを作り装着、シュリンゲをダブルフィッシャーマンで作る。カラビナを2個使用して途中支点の掛け替えを行った。次にブルージックとクレムハイスト結びを練習し、それをメインザイルに結び墜落を想定し衝撃をかけて実際に停まることを確認した。時間的なことも有り駆け足での説明で充分習得出来たかは疑問だが岩登り講習で再度丁寧に行うことを約束する。
今日の体験山行で学んだ地形図講習やロープ講習の知識が無くとも山に登っている方は多い。知識や技術が無くとも山頂に立つだけなら日本の山で登れない山は無いと思われる。北アや鈴鹿などの有名山岳は道も道標もしっかりしており百名山、三百名山を完登した人は多いだろう。しかし、山を続けていれば道の崩落に出会ったり、年によって残雪が多かったり、道が藪に帰していたりと判断を迫られる場面が必ず出てくる。近年人任せでの登山者が多いのも事実だが主体的に山に登ろうとすれば地形図の知識や登山技術は必ずその判断を助けることは間違いないだろう。登山を続ける快感をぜひ知っていただきたい。そして又素晴らしい仲間が1名増えたことを報告する。完
コメント