大垣山岳協会

山中雑記 ガムテープの利用法

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2015年10月(No.407)

ガムテープの利用法

 この9月、小白山・俵谷沢登り山行で、夕方テント場側で焚き火をした。枯れた木の枝をみんなで集めた。会では火付け名人として知られる大橋さんが細かな木枝や枯葉を敷き詰め、その上に少し太い木枝を幾重にも重ね積む。そこで、平木リーダーが用意してきた「着火剤」を一番下に突っ込んだ。

 私は着火剤と聞いて、アウトドア用の人工炭などの市販品を考えたが、出てきたのは小さく巻いたガムテープ。テープに火を付けると、すぐに枯れ枝が燃え立ちやがて湿っぽい枯れ丸太にも火が回った。その着火剤としての威力に驚いた。平木さんに聞くと、登山者には結構知られてますよ、という。

 後で見た梱包用テープメーカーのHPによると、アメリカで考案された「ガムテープ」は紙などにニカワを主成分とする水溶性接着剤を塗ったもの。後に天然ゴムや合成ゴムなどの粘着剤を塗った粘着テープが主流となった。ただ、後発の粘着テープも「ガムテープ」と呼ばれるようになった。今、店頭に並ぶのはポリプロピレンフィルムに粘着剤を塗布したものが多い。その粘着剤が激しく燃える。

 ガムテープの着火剤利用の実例はたくさんのブログやHPに出ていた。あるHPに着火力の強いものとして他に牛乳パック(パラフィン塗布)、乾いたミカンの皮、落花生の殻、松かさ、トウモロコシの芯が載っていた。なるほどと思う。

 私の50余年前の高校山岳部での南ア縦走の時はどうしたか、考える。着火に苦労した石油燃料のラジウスは持った覚えがあるが、焚き火による炊事は記憶にない。ただ、米軍放出の固形メタを着火に使ったような記憶が残る。

 登山は自然との一体化を目指す行為という私の持論から言えば、焚き火は最も登山的な動作だ。ガムテープの応用は立派な登山技術と言える。

(鈴木 正昭)