大垣山岳協会

山中雑記 やぶ山に新道ができた

TOPICS・随想・コラム

やぶ山に新道ができた 鈴木 正昭

 7月の会山行で矢作川最上流部の美濃焼山に登ってきた(※1)。焼山は美濃のやぶ山派登山者で知らぬ人はいない程の難峰であった。私は1994年以来計5回登っているが、うち4回は道のないやぶを漕いで苦労して登った。尾根取付き点で前夜泊しないと時間が確保できなかった。

 ところが、2年前に焼山に阿岳本谷から新しい登山道ができたことを知った。2時間半ほどの長い林道歩きはあるが、尾根取付きから1時間余で山頂に着けるそうだ。かつての難峰は日帰り初級コースの山と化した。

 長い歩道歩きと道なきやぶ越えを迫られる難峰が自動車道や登山道の出現で簡単に登れる山となるケースを私は幾つも知っている。奥美濃は低山やぶ山の宝庫として知られるが、いつしか、その宝庫が枯渇する時がやってくるだろう。

 焼山新道ができたのは2011年7月。地元の自然愛好家たちが国有林当局の許可を得て、背を越すササやぶを刈り払った。以後、年に2度ほど手入れ作業を続けている。今回歩いて感心したのは、地形の改変が皆無であり、人工物もなかったこと。自然景観の維持に努めた姿勢を感じ取れた。

 やぶ山の雄、焼山の存続を願う登山者は私だけではなかろう。ただ、岐阜国体の山岳競技がこの山で行われた1965年以降、東側尾根から登山道が通じ登山者でにぎわった時代があった。それも今は激やぶに戻った。つまり、簡単な軽ハイク山が難峰に戻る例も多い。自然景観は人の介入により常に変わる。やぶ山派はその隙間を歩くことになる。


※1 以下参照

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