月報「わっぱ」 2014年9月(No.394)
【 個人山行 】 錫杖岳 ( 2168m △なし ) 平木 勤
- 日程:2014年8月2日(土)
- 参加者:L.丹生統、佐竹良、西村洋、竹森せ、平木勤、西村恵、柴田悦、林旬子
- 行程:槍見駐車場5:30─錫杖沢出合7:05~15─前衛フェイス基部8:05~20─P4・5のコル10:00~15─錫杖岳山頂11:10~12:00─コル12:40─錫杖沢出合14:35─槍見駐車場16:00
- 地理院地図 2.5万図:笠ヶ岳
北アルブス・錫杖岳と言えばクライミングで有名だが今回は登山。かつてここで岩登りに心血を注いだ先輩達に誘われて山頂を目指した。とは言っても、岩登りではなく、沢筋や尾根を登るコースだ。
大垣を前日の午後9時30分に出て槍見にあるヘリポート脇の駐車場で仮眠。起床すると、近くで宿泊していたパーティーの姿は既になかった。効率よく準備を整え予定より1時間早い出発となった。クリヤ谷沿いの登山道に入る。朝日がさすすがすがしい山腹を歩いて高度を稼ぐ。穴滝の上で渡渉し左岸を進むと前方に錫杖岳の前衛フェイスが現われた(写真①)。日本離れしたすばらしい眺めだ。
クリヤ谷から錫杖沢に入る。錫杖岳へは一般登山道はなく、薄い踏み跡と厳しい岩肌の多い難解なコースだ。樹林に入り目印を追ううちに前衛フェイスの基部に出てしまった。予定コースよりかなり右に振ったようだ。立ちはだかる前衛フェイスは覆い被さるように迫る。その下でしばらく休憩。クライマー達のかけ声が岩に跳ね返り大きく響いていた。この息がつまるような壁に取り付く時の気持ちとはどんなものだろう。
まず北沢に入った後、左へトラバースし軌道修正。きついやぶ漕ぎ後、予定の錫杖沢に戻る。水量の少ない10mほどの斜瀑を越えて更に沢筋を行く。気分は沢登りだ。 辿り着いた山頂は両脇が切れ落ちて8人にはちょっと狭め。360度の絶景にしばし目を奪われる。間近の笠ケ岳が美しい。視線を下げると前衛フェイスのテラスにクライマー達の姿。何パーティーもいる。さすが、岩登りのメッカだ。
左手へ消えがちな踏跡を繋いでいくとP4P5間のコルへ続く踏み跡に出た。沢登りの詰めといった急登。コルに出た後は稜線沿いに進むだけだ、と思いきや意外に難渋。踏み跡は岩稜の左手をうまく巻いて進んでいるが木を跨いだり、潜ったりと四苦八苦。また露岩をトラバースするスリリングな場面もあった。
下山は沢筋を忠実に降りる。目印が所々に見られたのでこのコースが正解なのだろう。途中、悠々と泊まれそうな大きな岩屋に出た。かつてクライマー達が練習に使っていたであろう古いボルトが残っていた。
下山後は中尾温泉のペンションに向かう。野外バーベキューで翌日の焼岳山行への英気を養った。
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