大垣山岳協会

蝶ヶ岳・常念岳 2023.05.03-05

常念岳

月報「わっぱ」 2023年6月(No.499)

【 春山山行 】 蝶ヶ岳 ( 2664.5m Ⅲ△ )、常念岳 ( 2857m △なし ) US

  • 日程:2023年5月3日(水・祝)~5日(金・祝)
  • 参加者:L.GM、US、SD、SK、NY、NH、NT、MT、MH、YC
  • 行程:後述
  • 地理院地図 2.5万図:上高地(高山7-2)、穂高岳(同7-1)
    [蝶ヶ岳:北緯36°18′/東経137°43′][常念岳:北緯36°20′/東経137°44′]

 大垣山岳協会に入会して初めての本格的に宿泊を伴う山行だ。テン泊ソロ山行しか経験が無く、大きな荷物を担いでの登山、テントでの生活、山での食事等々、学びたい事が多く、楽しみに参加した。

5月3日(水、祝)(快晴)

  • 三城交番西駐車場2:30=岐阜各務原IC=飛騨清見JCT=高山IC=あかんだな駐車場6:10=上高地バスターミナル6:45~7:00-徳沢園8:50~9:05-長塀山12:45~13:25-蝶ケ岳野営地14:15(泊)

 2時半出発予定。その為には1時に起きなくてはいけないという早起き必至の計画だったが、誰一人遅刻することなく3台の車に分乗して予定通り出発できた。

 平湯バスターミナルで共同装備品の振り分けを行い、6時10分にあかんだな駐車場に到着。そこからバスに乗り換える。早朝だがGWと言う事もあり満席だった。乗車30分程、上高地バスターミナルに到着。この時間帯の上高地は観光客より圧倒的に登山者が多い。まさしく北アルプスの登山基地と言った感じだ。

 サッと荷物を整えまずは徳沢を目指す。カラマツの林を進むと左手に穂高の峰々、上高地のシンボル河童橋が見えてくる。足取りも軽く小梨平、明神館、徳本峠への分岐と進む、路端にはニリンソウやユキザサ等の花々を見ることが出来た。徳沢で15分程休憩を取り、いよいよ長塀尾根、長い急登の始まりだ。

 ほぼ40分間隔で休憩をとりながら登っていく。標高2000m付近より登山道は残雪に変わってきた。長塀山の手前付近で下山して来る方より野営地はかなり混雑しているという情報を頂いた。GWでしかも晴れが続く予報が出ている初日、おっしゃる通りだ。

 ここで、野営地の場所取り班と多少遅れ気味のメンバーの2班に分かれ、場所取り班は先を急いだ。妖精ノ池を過ぎた辺りで視界が開け、神々しい穂高の峰々が姿を現す。その景色に見とれ一同足を止めた。長塀尾根の苦労が一瞬で報われる。

 野営地の雪のない場所に4人、6人用のテントを張るスペースはすでに無く、結局残雪の上を整地してテントを設営した。私はここ一年就寝時の咳がひどく、皆さんに迷惑を掛けるのでリーダーに申し出て一人用のテントにさせて貰っていた。

 テント設営後は夕食の準備だ。10人分の夕食をSさんがお一人で準備される。台所が無く水の不自由な野営場。コンロ、鍋類の取り扱い、食材の準備、調理に至るまで個人的には最大の関心事で、終始傍で見学させてもらい非常に学びが大きかった。将来の為にも、今からトレーニングをしておかなくてはと思った。完成した夕食はキムチ鍋。前日から豚肉はお手製の味噌に仕込まれており味が沁みて滅茶苦茶旨い。最後は残り汁に棒ラーメンを投入してキムチラーメンになった。

 夕食後暫く団らんを楽しみ外に出ると月齢12.9のお月様。大分明るく星空観賞には向かない。翌朝のモルゲンを期待して早々と寝袋に入った。

<ルート図 1日目>

5月4日(木、祝)(快晴)

  • 起床4:00 蝶ケ岳野営地6:00-蝶槍6:45~6:55-常念岳10:35~11:30-蝶槍14:55~15:15-蝶ケ岳野営地16:05(泊)

 2日目、昨夜就寝時の風は止んでいた。この日も終日快晴、野営地を6時に出発して常念岳の往復だ。荷物は初日より俄然軽くなったが、アップダウンの繰り返でかなり体力勝負を強いられた。しかし、稜線の西側を望むと穂高岳から槍ヶ岳まで3000m峰が続く圧倒的な景色。東側には八ヶ岳、浅間山、四阿山等の名山、終日日本の山を眺めながらの縦走は贅沢だ。出発して間もなくメンバーの一人がライチョウを発見した。まだ冬毛が残っている。快晴の日にはなかなか姿を現さないと聞くのでラッキーだった。

蝶ヶ岳稜線で槍ヶ岳から奥穂高の大展望をバックに

 蝶槍を過ぎた先でアイゼンを装着。常念岳への最期の稜線には雪が付いていなかったため、2512mの小ピーク付近でアイゼンを外した。

 常念岳の山頂まであと僅かというところで、大先輩のお一人がご自身の体調や帰りの行程を考慮され、この辺りで休んでみんなを待っていると宣言された。登山では引き返す勇気が大切と聞くが、この様な判断の事を言うのだろう。

 この先不必要なピッケルやアイゼン等を大先輩に託し9名で山頂を目指した。10時30分常念岳山頂に到着、山頂に出ると立山連峰、後立山連峰、鷲羽岳、水晶岳など北アルプスの名山が目の前に飛び込んできた。360°のパノラマだ。恐らくここからは30以上の百名山と日本の3000m峰全てが見えている。実は先程までここが百名山で有る事を知らなかった。勉強不足も甚だしい。

 混み合う山頂では記念撮影をサッと済ませ、槍ヶ岳を目の前に望む場所に移動して昼食を摂り名残惜しいが蝶ケ岳に戻る。

常念岳頂上で思い思いにくつろぐ

 戻る途中躓き前方に転倒した。そこそこの斜面だった為あわや滑落という状況に本人以外もアッと声を上げた。この様に転倒をきっかけに滑落が発生することを身もって学んだ。滑落事故は縦走で疲れ注意が散漫になる午後に多く発生しているのではないだろうか。

 16時5分、蝶ケ岳野営場に無事到着した。軽く休憩を取り夕食の準備、この日も食事担当はSさんだ。本日のメニューはもつ鍋とカレーライス。4人用のテントに食事に呼ばれた時はすでにもつ鍋は準備されていた。全員が食器によそっていると勘違いし自分の分を豪快によそったら、皆さんはまだだった。恥ずかしいと言うか申し訳ない失態を犯してしまったが、皆さん笑って見てみえた。

 蝶ケ岳で過ごす最期の夜、皆さんビールが進む。下戸の私は300mlのコップ半分程で十分だった。隣の6人用テントからは最後の夜とあって笑い声が終始絶えない。

<ルート図 2日目>


5月5日(金、祝)(快晴)

  • 起床4:00 蝶ケ岳野営地6:30-横尾山荘9:20~9:40-徳沢10:40~10:55-上高地バスターミナル12:50~13:30-あかんだな駐車場14:00=ひらゆの森=高山IC=岐阜各務原IC=三城交番西駐車場19:20(解散)

最終日、この日も快晴。4時起床、6時30分出発の予定だ。慌ただしく朝食を摂りテントを撤収して出発時間に間に合わせたが、もう少し早く、せめて5分前までには準備を済ませないと仲間に迷惑が掛かってしまう。

 6時30分、予定通り蝶ケ岳野営場を出発。当初計画では大滝山から中村新道で徳本峠を目指し、明神に下山する予定だったが、より安全で負担の少ない横尾山荘に下山するルートに変更された。出発して30分程、稜線から少し下った標高2600m付近でアイゼンを装着し軽快に下山した。途中槍ヶ岳の展望の良い所で初めて全員揃って記念撮影をし、9時20分無事横尾に下山、ここからは上高地バスターミナルまで安全で平坦な道だ。途中、徳沢園では思い思いに過ごす。私を含め数名の方はソフトクリームを頂き皆さんご満悦の様子だった。12時50分、上高地バスターミナルに無事到着。バスターミナルはGWの真っただ中で、観光客や登山者でごった返している。個人的には過去最高の混雑ぶりだった。13時30分のバスに乗り14時あかんだな駐車場到着。途中、温泉施設「ひらゆの森」で汗を流し、更に遅い昼食を摂り帰路に就いた。高山市街を通過する際多少の渋滞が有ったが、19時20分三城交番西駐車場に無事戻り解散した。

<ルート図 3日目>

コメント