大垣山岳協会

大展望に大満足・猿ヶ馬場山 2022.03.27

猿ヶ馬場山

【 一般山行 】 猿ヶ馬場山 ( 1875m ) 丹生 統司

 3日前には絶望の天気予報、昨年に続き今年も実施が危ぶまれた猿ヶ馬場山山行であったが俄かに予報は晴れマークに変わった。見飽きることのない白山、北アの展望を楽しんだ。

<ルート図>
  • 日程:2022年3月27日(日) 曇り後晴れ
  • 参加者:L.後藤正、清水満、田中恵、丹生統、藤野一
  • 行程:駐車地6:10-尾根取付8:35-点名・大牧9:50-帰雲山10:45-猿ヶ馬場山12:25~13:10-シラビソ平14:00-林道着14:40-尾根取付15:10-駐車地16:20
  • 地理院地図 2.5万図:平瀬

 実はこの日参加者は9名だった。東海北陸道「ひるがのSA」まで来たが車1台に警告ランプが点灯しリタイアとなった。「ひるがの」に残した仲間を気にしつつ白川郷に来た。早朝の「であい橋」に人影はなく出逢いのチャンスは帰りに持ち越した。

 薄曇りの中での出発となったが天候は回復傾向を信じていた。神社裏の杉林から雪道に残る踏み跡を追った。標高700m辺りから豊富な残雪の谷を林道に突き当たるまで直登した。昨年までとは雪量が全く違っていた。

 左に宮谷を見て林道を400mほど進むと右の尾根にコルが見えた。林道をそのまま進む踏み跡と尾根とに分かれたがリーダーは尾根を選んだ。他のパーティーもほとんどが尾根にルートを選んでいたようだ。

 林道から高度で約380mの急登が続いて点名・大牧1472mに着いた。ブナと落葉松の広い山頂だった。深い雪の下にはⅢ等三角点石柱が有るはずだ。

 点名・大牧から帰雲山までは広い尾根に大きなブナが林立していた。今回スキー組も2名参加予定であったが車のトラブルで棄権した。広い尾根はスキーに適しているように思えて彼らの無念を思った。

 高度を稼ぐごとに木々が小さくなり雪原は広く感じた。スキーを履いた登山者が軽快に我々を抜き去って行った。行く手に帰雲山からの尾根が北に続き奥に猿ヶ馬場山が見えた。

 Tさんの「ワカンのビス」が抜けて爪が横を向きパイプが外れてしまった。Fさんが「結束バンド」を持参しており取り敢えず応急手当が出来た。結束バンドは他にも流用出来るので非常用に必携品である。天気は回復し西に雪を被った山が見えたが風は冷たかった。

 振り返ると西から天候が回復し野谷荘司から三方岩岳、仙人窟、笈ヶ岳、大笠山、奈良岳の白山以北の山並が凄い迫力で白く輝いていた。東の方向は雲が薄いが残っている、早く帰雲山を越えて確認したいと思った。

 帰雲山はブナやダケカンバの巨木が林立している広くて緩やかな山頂である。天正13年に西面が大崩壊して城と城下が一瞬にして埋没したとされる。山頂を南に進むとアンテナを備えた観測施設が有るはずだ。北に猿ヶ馬場の山頂が見えておりコルを目指した。

 猿ヶ馬場へ繋がる尾根はブナとミズナラ、ダケカンバの巨木が適度に配置され案内役をしてくれて有難い。黒く苔むした幹肌とくねった枝が老木の演出に一役かっていた。

 樹々が途切れると現れる景色に立ち止まり時間の感覚を失ってしまう。これまでも何度か見ている景色だがついカメラを構えシャッターを押してしまった。

 いつしか周りはオオシラビソの濃い緑とダケカンバの淡い黄色の幹肌の山となってブナは消えていた。ダケカンバのくねった枝は風雪の中で生き抜く厳しさを物語っていた。

 三方崩山と白山を背に山頂台地へ荒い息づかいで登る。これからFさんの3連写である。

 傾斜が落ちて歩きやすくなると白山が低くなった気がする。山頂台地が近くなったのだ。

 点名・猿ケ馬場Ⅲ等△付近まで来て振り返るとオオシラビソの濃い緑と白山北方の山並みの白銀色が対照的で只々感動して、また足が、いや時間も止まった。

 三角点の有る山頂台地から南東に高度を約50m稼がねば猿ヶ馬場山の最高点ではない。その超絶景展望台は直ぐそこだ、しかし荒い息づかいはカメラのレンズを曇らせそうだ。

 振り返れば野谷荘司から三方岩、仙人窟、笈ヶ岳、大笠の白山北方の山並みが圧巻ではないか。絶景は疲労回復の妙薬だ!最高点の展望はもっと凄いゾ足を前に進めよう。

 東の展望が開けてきて北アルプス北方の山並みが白い帯で確認出来た。白い帯の中間あたりに黒い三角錐で目立つのが剱岳である、少し離れて立山があった。山頂は直ぐそこだ。

 山頂は白い高みの台地で周りに小振りのオオシラビソが点在していた。勿論360°遮るものがない絶景をお見せしよう。先ず西の三方崩から白山をバックに1枚。

 南に御嶽山と乗鞍岳、焼岳が有り西穂高へと繋がっていた。5人で楽しむにはもったいない。「ひるがの」迄来ながらトラブルで登れなかった仲間のことを思った。

 そして穂高から北アルプスが北の端、僧ヶ岳まで白い帯となって連なっていた。勿論、槍ヶ岳や笠ヶ岳、薬師岳、黒部五郎、立山、剱岳など著名な山が肉眼ではっきりと確認出来た。

 右端は北アルプス北方の山並み、右から薬師岳、立山が有って剱岳は黒い三角錐、その左に奥大日岳、白い帯の先は僧ヶ岳と思われる。そして中央は白木峰、左端は金剛堂山である。白木峰は今年5月に堀会長自らLを務められるので参加をお願いしたい。

 右端は金剛堂山で中央左よりは三ヶ辻山、奥が人形山である。三ヶ辻山、人形山は今年6月に藤野Lで計画されている。残雪の多い山である期待して参加していただきたい。

 いつまでも、いつまでも居座っていたい山頂だった。帰りの長い行程を考えれば後藤Lの薄情な号令は受け容れざるを得まい。絶景に別れを告げて踵をかえした。

 下山は帰雲山手前のシラビソ平から宮谷源流部へ向かって斜面を西に下降した。帰雲山の登りや点名・大牧の尾根をショートカットしたのである。今年は残雪が豊富で谷の状態はすこぶる良好であった。林道では法面の雪が崩壊してデブリを3ヶ所ほど確認したが通行の邪魔をした程度で有った。

 下山後に先ず気になっていた「ひるがのSAに残した仲間」と連絡をとった。彼等はメーカーとやり取りしている最中に「警告ランプ」が消えたとかで大垣にその車で帰ることが出来たそうである。登山は出来なかったが最悪の事態にはならずに済んでホッとした。これで帰りの道中は気にせず楽でいられた。

 白川郷の公営駐車場が8:00~17:00の営業で早朝に開いていないのは承知していた。しかし3年前には無人だが入口は開いていたので利用出来た。もしや、と思って行ってみたがやはり閉まっていた。

 近くの蕎麦屋が「終日」無料駐車場の看板を掲げていたので駐車させていただいた。下山後に全員「蕎麦」を食べて売り上げに協力し後ろめたさを解消して帰垣したのである。完


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