【 一般山行 】 金剛堂山 ( 1650m Ⅰ等△ ) 富山県南砺市利賀村 NT
梅雨の最中と思えぬ快晴に恵まれた日を金剛堂山で満喫して来た。ササユリ、アカモノ、ウラジロヨウラク、マイヅルソウ、イワカガミ、イワイチョウ等のお花見報告である。
- 日程:2023年6月17日(土) 晴れ
- 参加者:L.ST、GM、TS、NY、NT、MM、MY、MK、MT、YC
- 行程:栃谷登山口7:00-点名・竜口7:35-金剛堂山10:30-中金剛.最高点10:55-金剛堂山11:10~12:00-肩折岳13:00-栃谷登山口14:20
- 地理院地図 2.5万図:白木峰
栃谷登山口は駐車場が広くトイレも完備していた。やはり二百名山、人気の山と実感した。既に6~7台が駐車しており準備中にも2台ほど登って来た。
百瀬川に架かる鉄骨橋を渡り支谷から急な尾根を登るとササユリ(笹百合)の歓迎を受けた。風に揺れる花姿から「揺すり」と呼ばれていたが転訛してユリになったそうだ。
点名・竜口998mから南へ尾根は徐々に高度を上げていく、道脇に凸凹が激しくガサガサに荒れて幹の半分ほどを虚で失った老ブナが目に留まった。老いてなお葉を茂らす姿に人と重ねて生命の強さを感じた。
此処にも縦に深いシワを刻んだ老木が初夏の陽射しを遮って心地よい風を届けてくれていた。その下にコシアブラがトチの葉ほどに成長した青葉を見つけた。若芽の採取期を過ぎており残念だが山菜の美味しい面影は既になかった。
ウラジロヨウラク、漢字で「裏白瓔珞」と書き葉の裏側が白いことに由来、ヨウラク(瓔珞)とは仏像にかけた珠玉などの飾りに似ていることから名付けられたようだ。サラサドウダンと見間違いやすいので注意。
マイヅルソウ(舞鶴草)花言葉は「清純な少女の面影」だそうだ。白い小さい花が少女の純真さのイメージなのだろう。
イワカガミ(岩鏡)光沢のあるハート形の葉が古代の鏡(銅鏡)に似ていることから名付けられたようだ。岩場に屈む(かがむ)ように少し下向きに咲く姿からと思っていたのだが・・・鈴鹿や奥美濃の山では濃い赤花が多いが此処はピンクであった。
アカモノ、赤い実をつけることから「赤桃」といわれていたが転訛して現代の呼び方になったようだ。果実は甘くてジャム等の食用になるそうだ。同属のシラタマノキは白い実をつけることから「シロモノ」と呼ばれるようだ。
ツマトリソウ(褄取草)花びらの先端が淡い赤色に染まっていることから鎧の威色目(おどしいろめ)の「褄取り」に似ていることからの名付けだそうだ。近頃テレビを賑わす不倫の「妻取り」ではないと「Tちゃん」にきつく説法された。
ゴゼンタチバナ(御前橘)名前の御前は白山主峰の御前峰のことのようで気高い、葉が6枚になると花をつけるようで、確かに4枚だと花は無かった。秋には赤い実をつける。
山頂への斜面を登る最中に北東の彼方に黒いピラミダルな山容とその右に谷筋に雪を残した高山が見えた。左に尾根を辿った先に市街地らしきものが見えてその先は霞んでいるが海のようだ。ということは海は富山湾で街は富山市街、山は剱岳と立山である。
山頂には多くの登山者が居て金剛堂山と書かれた社や方位盤をバックに指でVをつくる撮影風景を幾組か見た。しかし富山県に7ヶ所しか存在しない貴重なⅠ等三角点標石柱には見向きもせず関心がないようだった。
撮影を済ますと三角点の有る金剛堂山山頂を後に最高点1650mの中金剛を目指した。中金剛の背後に未だ雪を纏った白山とその北へ笈ヶ岳、大笠、奈良岳の稜線が延びていた。
遠くに御嶽山と乗鞍岳を眺めて進むと池塘が有った。池を囲むようにイワイチョウの群落が有って小さく白い花が印象的だった。その名の由来の銀杏に似た葉の根元にモリアオガエルの白い綿菓子に似た泡状の卵を見つけた。
標高1650m、最高点の中金剛には手作りの山名板が2ツあったのみで樹木に囲まれた静かな山頂だった。昼食休憩は三角点の有る本峰で、ということになり直ぐに引き返した。
本峰へ帰路の景色である。右に穂高から槍ヶ岳、大きな山塊の薬師岳、雪を抱いた立山と黒いピラミッドの剱岳、そこから左に奥大日岳、大日岳へと北へ稜線が延びている。直ぐ目の前の山は白木峰である。
本峰広場に戻ったが大勢の登山者で10人がまとまって車座になるスペースは無かった。それぞれに分散し昼食休憩を過ごした。風が心地よく陽射しは気にならなかった。
下山後、世界遺産の五箇山へ立ち寄り合掌集落を見学した。加賀藩前田家の領地であった五箇山は養蚕や和紙造りと共に火薬の原料である塩硝の生産地であった。また前田家統治以来の流刑地であったそうで白川郷に比較して明るさが乏しいと感じたのは気のせいか。
やはり二百名山である、奥美濃でヤブ山登りをしている身にはスマホと睨めっこの登山者が多く気になった。GPSはコンパスと地形図で確認後の答え合わせに使用して欲しい。読図や山登り技術の基本を学んで欲しいと願う。2022年の全国の山岳遭難は3015件と過去最多である。(写真は全てGM、MKの両氏の提供である)完
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