大垣山岳協会

野坂山地 甲森谷にブナの巨木群に会いに行く 2022.06.05

甲森谷

【 月例山行(沢) 】  野坂山地 甲森谷  清水 克宏

 6月5日(日)は、福井県の野坂山地の横谷川支流甲森谷で沢登り講習が開催された。
 伊藤リーダーはじめ11名が参加。先週の岩登り講習会で身に着けた技能を実地で経験する機会でもある。
 甲森谷には、近年日本有数のカツラの巨木群があることが知られるようになり、その対面も楽しみ。
 横谷川の林道脇に駐車し、リーダーの注意事項を伺い、いざ出発。

 スギ植林帯の林道は堰堤で終わり、入渓する。
 しばらく行くと、落っこちそうな吊橋がある、沢を渡渉して通過。

 しばらくして、今度は床板の落ちた吊橋が。送電線の巡視路に渡された橋だったらしい。

 沢沿いは今も送電線巡視路になっているようで、しばらくは梯子や足場などが使える。
 しかし、巡視路部分は途中で尾根方向に逸れてしまい、後は自己責任の世界。

 横谷川の右手(東南)に分岐する甲森谷に入る。

 分岐から30分足らずで、カツラの株立ちになった巨木登場。
 木の背後に大きな炭焼きの窯跡がある。炭の原料にはならないので、カツラは残されたのだろうか。

 カツラやトチの大木は空を覆い、まばゆい新緑は目にも心にもしみるよう。

 渓流沿いに点在する小平地にカツラの巨木が次々登場。
 全国各地に単体の巨木はあるけれど、これだけ何十本も巨木が連続するのは他になく、壮観。

 右手に谷を分けしばらくの、標高約500m地点で大きな岩に行く手をふさがれる。
 ロープを出して、プルージック・ロックで滝を横断する。先週の登攀訓練の成果が試される。
 人数が多いので、全員通過するにはだいぶん時間がかかってしまう。

 さらに進むと、もう一つの滝。どのように突破するか、リーダーはしばし探索。
 沢初心者多数をどのように安全に登ってもらうか、むつかしいところ。

 結局いったん尾根まで上がることに。このあたりからはブナも登場。

 リーダーたちは読図しながら、しばし検討。
 計画では806mピークに出て、そこから稜線沿いに866mの芦谷山ピークに出て、尾根を下り横谷川・甲森谷出会いに出る予定。しかし、すでに11時台。
 メンバーの実力・人数からすると難しそうだと判断、尾根を下り甲森谷で下山することに変更。
 「この上のブナの巨木群も見せてあげたかった」とリーダーは残念そう。

 急な尾根を下り、甲森谷に降り立つ。

 登りでザイルを出した滝、下りは滝脇の岩壁を懸垂下降。
 訓練と違い、岩の状況が把握できていないまま下降するのは結構緊張する。

 ラストは模範演技。水の多い時は、この岩壁も滝になるらしい。

 カツラの巨木に囲まれながら昼食後、往路を引き返す。駐車地点帰着は15時40分になったので、リーダー判断は的確。
 途中までとはなったけれど、想像を超える規模のカツラの巨木群に会え、充実の一日だった。

  • 日程:2022年6月5日(日) 晴のち曇
  • 参加者:L.伊藤正、中田英、竹森せ、加藤美、大谷早、廣瀬美、藤野一、村田美、吉田千、田中恵、清水克
  • 行程:大垣(集合)5:00-若狭美浜I.C. -新庄集落横谷川林道(駐車)7:00…(林道歩き)…堰堤7:25…吊橋7:35…2つ目の吊橋7:50…甲森谷出合8:15…最初のカツラ巨木8:40…滝9:30~9:55…二つ目の滝の手前10:40…500m尾根上11:00…出合11:25…カツラの巨木群の中で昼食11:30~12:00…滝(懸垂下降)12:40~13:15…一つ目の吊橋14:45…堰堤15:10…駐車地点15:40(解散) (―:車、…:徒歩)
  • 地理院地図 2.5万図:駄口
<ルート図>

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