【 個人山行 】 横谷川支流甲森谷 芦谷山 ( 866m △なし ) 丹生 統司
芦谷山は当会8月の初級沢登りで計画されていたが雨で中止された。甲森谷のカツラ、サワグルミ、トチの巨木群と芦谷山尾根筋のブナ林は見応えがあると聞き、それならと晴天を待って出かけた。
- 日程: 2021年9月10日(金) 晴れ
- 参加者:単独
- 行程:取水口駐車地7:00-甲森谷出合8:30-(ルートミス、ロス1時間)-芦谷山13:25~50-点名・ハサゼンマイ15:00-甲森谷出合16:05-取水口駐車地17:25
- 地理院地図 2.5万図:駄口
横谷川沿いの林道を進むと空き地に1台車が有ったが釣師と思われた。更に狭い林道を進むと取水口施設がありその駐車場を使用させていただいた。
林道が尽きて川沿いの山道となったが雨で急斜面の足場が流されており、沢靴は滑りやすく、慎重に越えた所が幾つかあった。この橋も足場が傾いており渡渉の方が安全と思われたが、これも想い出作りにと思い敢えて利用した。
いくら何でもこれは使用する気に慣れず、谷の中を歩いた。
岩場のへつりに鎖や人口の足場、梯子が掛けられており使用した。
赤布に導かれゴルジュ帯を捲いたが雨上がりで足場が流され消えており不安定、急傾斜で谷底迄落ちており気が抜けない。さして困難なゴルジュ帯には見えなかった、多少の深みはあるかも知れないが沢の中をジャブジャブ行く方がはるかに安全と思われた。
嫌な高巻道を終えて谷に降りると甲森谷の出合いだった。嘗て甲森谷出合には橋が架かっていたのだろう、壊れた鉄製の橋が谷水に洗われていた。下山はジャヅキ谷と甲森谷を分ける尾根を使う予定で末端急斜面の下降が可能か目視で確認、大丈夫と判断した。
甲森谷は北向きで入渓地は狭く暗かったが直ぐに開けて明るくなり早速サワグルミの巨木の出迎えを受けた。
大石に根上がりトチの巨木。入会の浅い会員達はトチの実を見たことがない方も多いだろう、1個拾って土産にポケットにしまった。
炭焼きの窯が遺跡のような趣で幾つも点在していた。その向こうにはカツラの木が、甘く香ばしいカツラの落ち葉の香りが辺りに漂っていた。
このカツラはデカかった。単独なので比較にするモデルが居なくて残念だ。多分傍に立つと小人にしか見えないだろう。
カツラの太い根っ子が伸びて岩を噛み小滝を作っていた。絶好の釣りポイント、何匹か魚影を見たが今日は竿を持って来ていない。
実は今回恥ずべき大チョンボをした。巨木の撮影に夢中で標高350mの白谷出合いを見落としていた。写真の標高410mの二俣を白谷出合と思い込み右に進入した。高度計は50mほど誤差が有ったが我が家で合わせており気圧の変化と気にしなかった。進入して直ぐ右に谷が出たが雨後であり空谷の湧水と思った。なおも進み三俣が出て間違いに気付いた。コンパスで確認すると西へ向かい庄部谷山へと向かっていた。先ほどの二俣は標高410mの分岐で左だ、慌てて引き返したが往復1時間のロスは大きかった。それにしても白谷は大きな谷で水量も豊富と思われ見落としが信じられず狐にでも化かされた気分、これも耄碌か。
二俣から直ぐに滝だった。ここまでの甲森谷は小滝もほとんどなく唯一滝らしい滝だった。
二俣を過ぎると小滝が幾つかあり傾斜も増して高度を稼いだ。支谷に立派な滝を二つ見た。
二俣で大チョンボをしたので850mのピークまでの分岐は外さぬように地形図片手に忠実に詰めた。谷水が少なくなると沢靴からスパイク地下足袋に履き替えた。今回尾根を下降すると決めていたので持参していた。登山靴は重くかさばるが地下足袋だとコンパクトで稜線までの泥傾斜地や急下降に有効と考えた。それにしても今年は梅雨入りが早く夏は雨が多かったせいか、斜面のブナやナラの葉が5月の芽出しのように萌黄色をしていた。
谷筋から斜面に上がるとブナの林が歓迎してくれた。更に稜線に出ても幹に蔦や苔を纏い幹の肌が爆ぜたように荒れた老木が有った。
850mピークから稜線を15分で芦谷山に到着したが三角点が無いのが残念で何か物足らない。山頂の証を捜すとブナの幹3mほどの高みに山名板が括られていた。
山頂のブナ、根が横に延びて盛り上がり休憩の腰掛にすると坐り心地が良かった。腰掛ブナと名付けた。チョンボで時間ロスをしており昼食休憩は少なくした。
下山はジャヅキ谷と甲森谷を分ける尾根に決めていた。一旦850mのピークまで引き返し斜面を北に下った。そこは直径が1mは有りそうなブナの巨木が林立していた。
ブナの巨木林の下降は藪もほとんどなく快適だったが標高600m辺りでブナが消えるとユズリハが尾根を覆って歩き辛くなった。ユズリハの藪の中で点名・ハサゼンマイ562.2mⅣ等三角点は中々見つからず一旦諦めかけたが藪の薄い所で偶然見つけた。
ユズリハの藪は尾根芯より甲森谷側がやや薄く感じたので尾根芯下の斜面をトラバースぎみに下降していた。すると標高450m辺りで尾根芯の藪が薄く感じたので近づくと何と道が有った。更に下ると鉄塔が有り巡視路と判った。
明瞭だった巡視路だが尾根の末端近くになって見失った。しかし、甲森谷入渓時に下降出来ると確認済みで最悪ザイルも持っている。慎重な行動は必要だったがザイルを使うことなく順調に出合いの尾根末端に降り立った。
横谷川沿い斜面の不安定な高捲き道はスパイク地下足袋が有効だった。ただ渡渉やツルツルで丸く磨かれた岩はスパイクが滑って気を使った。古傷を持つ不自由な足での地下足袋の河原歩きは疲れたし足の親指の爪が痛かった。完
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