月報「わっぱ」 2022年3月(No.484)
【 一般山行 】 比叡山(大比叡) ( 848.1m Ⅰ△ ) 小倉 浩嗣
比叡山は京都市の北東、京都市街地から5㎞ほどのとろに滋賀県にまたがる形で屹立している。府県境に位置する大比叡(おおびえ、848.1m)と京都市左京区に位置する四明岳(しめいがたけ、838m)の二峰からなる双耳峰である。今回は滋賀県側、大津市坂本の千日回峰行の道「無動寺道」から最高峰の大比叡に登り、東塔の根本中堂等を経由し、古の表参道「本坂道」を下る周回登山を実施した。
まだ夜明け前の早朝6時に総勢20名、マイクロバスで一路登山口のある比叡山の門前町大津市坂本に向かう。無動寺道入口近く、比叡山高校より約100mのところに無料駐車場があり停車する。身支度を整えて出発。駐車場前の県道を横断、左折して200m位のところに無動寺道の入口がある。案内板は無い。
舗装路をひとしきり進むと車止めのチェーン。その先の貯水槽を過ぎると舗装路が終わり、少し進むと緩やか登りの山道になる。しばらくすると「浄刹結界址」の石碑。ここらは聖域ということだろか。このあたりから少し勾配がきつくなってくる。ところどころの路傍に石仏や地蔵尊が安置され行者道の風情が漂っている。
さらに進むと「紀貫之御墳墓」の石柱。案内板には0.55㎞先とある。傍らに地蔵尊を安置している祠があり熊野修験の塔婆が立っていた。ここからは昇降を繰り返し、最後にきつい登りがあり無住の玉照院に辿り着く。山門はなぜか禅風である。一本立てる。
ここからは参道になり、浄土真宗宗祖親鸞聖人御修行跡「大乗寺」、千日回峰行根本道場の「無動寺明王堂」と続き、「無動寺山門」を潜り、残雪が残るケーブル延暦寺駅。一本たてる。レトロな駅舎。広場からは大津市街地と琵琶湖、比良山系を眺望することが出来た。
左側の石段を登り朱塗りの鳥居を潜り、ドライブウェイに出て横断歩道を渡り登山道に入る。入口に六地蔵が鎮座、複数の石塔が立っていた。しばらく急坂を登ると、建物の跡地と思われる真っ平な広い空地に出た。そこは一面の銀世界、手前に読売テレビ中継基地、次に関西テレビ中継基地、最後に大きな貯水槽があり、その奥の小高い所の杉の木に「大比叡」の手書きの山名板、立派な一等三角点標石が設置されていた。木立に囲まれて展望がない。取り急ぎ集合写真を撮り貯水槽まで戻り、貯水槽の壁を風よけにして昼食休憩を取る。
昼食後下山、大比叡下の山頂駐車場へ向かう。残雪道を慎重に下る。四明岳はこの駐車場の奥にある「ガーデンミュージアム比叡」の園内にあり、三角点は無い。ドライブウェイをわたり残雪の急坂を用心深く下ると参道になり、比叡三塔十六谷の核心部東塔に入る。法華総持院東塔、戒壇院、延暦寺総本山根本中堂の前の売店に到着。一本立てる。根本中堂は大改修中で覆屋で囲われ外観を見ることができなかった。
参道を下ると車道になり延暦寺会館の脇道「本坂道」を下る。ほどなくして残雪が消えた。
一気に女人結界地であった「花摘堂跡」まで下り一本立てる。少々荒れたところもあるが広くて歩きやすい。送電鉄塔を過ぎ、山麓近くになると車道になる。道なりに進むとケーブル坂本駅を右上に見て、しばらくすると比叡山高校。前の県道を横断し駐車場に戻る。
今回、山麓から中腹までは早春の装い、中腹からは残雪、冬と春が混在する季節の登山の醍醐味を堪能することができました。若いころ拝観して心を震わせた根本中堂内陣の1200年以上消えることなく灯り続ける「不滅の法灯」を拝むことはできませんでしたが、次回の楽しみとして取っておくこととします。
登山前は少し不安がありましたが、おかげさまで何とか完登させていただきました。リーダー各位、そして参加者の皆様のご高配に心より感謝申し上げます。
比叡山もコロナ禍の影響か訪れる人も少なく閑散としていました。一刻も早い収束と皆様のご健康を祈念します。合掌。
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