大垣山岳協会

冬瓜山、シリタカ山、笈ヶ岳 2021.05.03-04

笈ヶ岳

月報「わっぱ」 2021年6月(No.475)

【 春山合宿 】
冬瓜山 ( 1627.8m Ⅲ△ )、シリタカ山 ( 1699m △なし )、笈ヶ岳 ( 1841.3m Ⅲ△ )
吉田 千亜貴

  • 日程:2021年5月3日(月)~ 4日(火)
  • 参加者:L.清水克、小栗敦、後藤正、丹生統、吉田千
  • 行程:
    5月3日(月)(晴のち雨のち晴) 三城交番裏駐車場10:00=白山ホワイトロード入り口付近15:30(ジライ谷渡渉地点まで偵察、泊)
    5月4日(火)(晴) 白山自然保護センター4:45-野猿公園-冬瓜山9:20-シリタカ山10:05-笈ヶ岳11:40~12:20-中宮ルート分岐12:45-冬瓜平14:15-野猿公園(東屋)16:50-中宮自然保護センター17:35=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:中宮温泉(金沢3-3)

 当初予定の2泊3日から前夜泊日帰りコースに変更したリーダーの決断は的確だった。

 前日の移動日は午後から天候が急変し大雨になった。翻って当日は雪山フィナーレを飾るのに相応しい、最高の眺望と充実のロング山行をもたらせた。

 雨上がりの河原横にソロテント設営後、お湯を注ぐだけの味気ない夕食に色鮮やかなニラ玉が添えられる。吐く息も白くなる頃、川の轟音対策にティッシュを耳に押し込んで眠りについた。

 翌朝の出発時には空も白み始め、遊歩道を少し進むと、一面見たこともないカタクリの絨毯。暗い歩行者トンネルを2つ通過し、野猿公園東屋前まではイタドリや山ウドもにょきにょき。

 前日に下見した沢を渡り、ジライ谷からはロープ設置の急登が延々と続く。平らなところがなく、休憩時も落ち着かない。谷の頭に出て緩やかな稜線歩きが始まるかと思いきや細かな登り返しの連続、そして薮。誰もが無言で、じわじわと疲労が蓄積されていく。沈黙を破ってヘリのプロペラ音が近づいてきた。真横でホバリングする操縦士の顔まで確認できる。長い間何かを探しているようだった。

 とにかく黙々と登る。1500mを過ぎたところでアイゼンを装着した。踏み跡は冬瓜(かもうり)山への直登ルートとそれを回避する二手に分かれていた。直登ルートは薮の急登で、ザックのピッケルが挟まり前進を拒む。新雪が岩に乗ったナイフリッジを慎重に渡ると、四隅が削られた角の丸い「次三角點」が鎮座。明治時代に農商務省山林局が設置し、主に残雪期に登られるこの山では雪の下に埋もれて、めったにお目にかかれないらしい。隣には国土地理院の三角点が、苦しそうに斜めに傾いていた。

 シリタカ山は広々として、通過してからピーク越えに気づく。再び圧迫感のある急斜面をやっとの思いで登り切り、県境稜線と合流。目の前の小笈ヶ岳を片付け、ささやかな薮を抜けたその先に笈ヶ岳山頂と多くの登頂者が現れた。

シリタカ山から正面の笈ヶ岳を目指す

 頂上からはオゾウゾ山に大笠山と日本海が、遠くは南の御嶽から北アルプスの山並み全てをほしいままに享受。

7時間の苦闘の末たどり着いた頂上で

 下山開始からは太陽と雪の照り返しの板挟みで顔が痛い。雪崩が起きやすい場所を確認しつつ冬瓜山の北斜面をトラバース。往路の逆で容赦ない激下りの末、ついぞ猿にはお目にかからなかった野猿公園に到着。ここからはほぼ平坦路で緊張も解かれ、笑顔が出る。到着後は乾いた喉を潤し、早々に次の目的地へ。

 富山のアズマダチを思わせる切妻屋根と唐破風外観の白峰温泉はぬるりとした泉質で、日に焼けたヒリヒリ顔も薄いベールをまとったような湯上り。帰路は相次ぐ山の遭難事故の報を知り、周到な計画の山行に感謝した。そして待たせている家族の胸中を慮った。

<ルート図>

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