【 個人山行 】 三方崩山 ( 2058.7m Ⅱ△ ) 丹生 統司
今年は残雪が豊富で特に白山の白さは際立っている。岐阜の山の何処からでもそれは確認できるがその東に特異な山容で人目を引くのが三方崩山である。2014年3月以来7年ぶりに細く急峻な雪稜にアイゼンの爪痕を残したが歳月を感じた報告である。
- 日程:2021年3月27日(土)晴れ
- 参加者:L.丹生統、伊藤正、後藤正、佐藤大、藤野一、吉田千
- 行程:道の駅・飛騨白山6:05-夏道取り付き6:40-標高1244m8:10-標高1624m9:15-山頂11:50~12:50-道の駅・飛騨白山15:40
- 地理院地図 2.5万図:新岩間温泉
道の駅に駐車して出発、林道入り口から積雪があり35分かけて夏道の登山口に着いた。デブリで埋められた谷の右奥に隧道が見えていた。堅いデブリを踏んで谷を詰めた。
雪が途切れなくなると谷の途中でアイゼンを履いた。尾根に出てから1244mの台地迄は傾斜がきつい。2014年はワカン履きでテント泊装備を担いでおり堅い雪に手古摺った。
白山山系のブナ林は見応えがある。写真は左のブナが右のブナの枝を幹に半分ほど取り込んでいる写真である。おそらく20年後には完全に幹に取り込んでいるだろう。
標高1244mから1624m台地迄ブナ林の長い斜面を登りきると山頂までの細い起伏の雪稜が見通せた。細く尖った雪稜を見上げて気を引き締め、ここからピッケルを使用した。
一つ目の急峻な最初のコブを越えた、いい写真が撮れたと思ったがカメラのモードダイヤルが何かの拍子で動いており大事なシーンを5枚ほどフイにした。
猿ヶ馬場の奥に御嶽山、乗鞍岳から北に穂高から北アルプスの山並みが続き、剱岳の黒い山塊が確認出来た。やはり穂高と剱岳は一際目立った。
次の頭を目指してトレースを刻む。古い足跡は先日の雨で消されており自分達の山登りが楽しめた。やはり雪山は自分達のトレースを残すことに尽きる。
先行する佐藤大、伊藤正、吉田千、情けないが彼ら若者のペースについて行けない。
雪山の急斜面ではピッケルとアイゼンが心強い、久方ぶりにコンビネーションを楽しんだ。
青い空の下を白い雪稜を辿る。これこそ雪山登山、雪山の醍醐味を楽しんで登った。
7年前は登山日が3月14日で今日より2週間ほど早く雪も多く、吹雪で視界不良、尾根の峰は雪庇の踏み抜きが怖くて歩けなかった。今回は山頂部以外を残して雪庇は大体落ちており安心して尾根を進めた。何より晴天が有りがたい。
やっとたどり着いたピークだったが高みに立つとその向こうにまだ尾根が続いていた。遠くなる仲間との距離に年齢を感じた。
遅い私を待っていてくれる仲間、早く来いと催促されているようだ。それでも折角の晴天日、カメラのシャッターを切る。
伊藤のサポートでトップの佐藤は細く急峻な雪稜を危なげなく越えていく、末頼もしい。
尾根が南に方向を変えオオシラビソの林となった。これを辿れば山頂だ。その右奥の奥三方山との間に別山が一際白く輝き覗いていた。
雪庇に注意してシラビソの林に入る。
登って来た細尾根を振り返ると猿ケ馬場山の向こうに北アルプスが白い帯となっていた。
山頂到着、別山から白山の山並みが一望できた。時間が有れば奥三方迄足を延ばす予定であったが私が足を引っ張って時間不足となり取りやめた。申し訳ない。
山頂の東は岩壁となり雪庇が張り出していた。猿ケ馬場山東方の御嶽山から乗鞍岳、北アルプス、最北の朝日岳までの絶景に向かって万歳を三唱した。
7年前の山頂滞在は2分ほどで吹雪に追い立てられて安全地帯を目指して逃げ下った。今日は晴天の下でたっぷり1時間の昼食休憩をとり絶景を堪能した。しかし、晴天とはいえ山頂からの400mは急下降の連続である。気を引き締めて安全第一で下降した。
今朝、道の駅・飛騨白山に到着すると数台の車が駐車していた。やはり里に近い山、奥美濃のヤブ山とは違うと思った。いかにも山屋らしき人やスキーヤ―らしき人もいたのだが、この日三方崩山に登山したのは我々だけだった。彼等は何処へ向かったのだろう。
今回参加者のうち伊藤、丹生を除いた4名が雪の三方崩山を初体験した。奥美濃の山でピッケル、アイゼンを使いこなして登る山は限られる。里に近く2000mの標高を誇り急峻な尾根を持つ三方崩山は雪山の醍醐味が味わえる貴重な山である。この経験を生かして飛躍してほしい。完
ルート図
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