【初級冬山講習】 奥美濃 白尾山 ( 1612m Ⅲ△ ) 平木 勤
- 日程:2021年3月14日(日)晴れ
白尾山はスキーで3回、沢で1回訪れている。
数年前までは麓にあった白尾スキー場を利用して容易に登る事ができ、気軽な山スキーエリアとして好きな場所だった。スキー場と白尾山を結ぶ尾根も楽しいツリーラン(スキーで樹間を縫って滑る事)が出来たし、白尾山から鷲ケ岳側へ下りれば短いながらも滑降を楽しめる場所が幾つかあった。そんな楽しいエリアが遠くなって数年、もう一度行ってみたいなあ、と思っていた所へ会の企画がある事を知った。良い機会なので会のパーティとは別行動で訪れてみる事にした。誰にも行く事は話してないのでサプライズとなるはずだ。
スキー場以外のアクセスでは数年前、岐阜テレマーク倶楽部の石際さん達が三ケ村からの林道を登っている。これを参考にしようと思っていると、一週前の7日にこのルートでスキー山行をしたという記事がフェイスブックにあがった。その記事を読むと心配した雪も山頂付近はなんとかありそうだ。
- 行程:三ケ村アツラ林道駐車地7:30-尾根取付き10:00-白尾山山頂10:40~12:10-周辺滑降-山頂13:00-駐車地15:10
旧白尾スキー場手前の三ケ村集落からやや荒れ気味のアツラ林道に入って舗装の切れた所で車を駐車した。石際さんの記録より奥に乗り入れる事ができた。ということはその時より雪が少ないという事か。見上げる峰にも雪が見当たらない。
駐車地よりすぐの橋を左岸へ渡ると所々に雪が現われた。しかし長くは続かない。それでもスキーを担いでるよりはいいだろうとシール歩行(スキーのソールに「シール」という滑り止めを張ってスキーを履いて歩く事)を試みる。雪が頻繁に切れてスキーの脱着を繰り返したが悪くない。
途中、右折する林道を見逃してしまい植林帯を歩いた。結果的にはいいショートカットになったのでよかったが。
林道が再び右岸に渡ると日当りのよいところになり途端に雪がなくなる。そのため長い距離、スキーを担ぐ事となった。それでも1200m位からそこそこの長さで雪が繋がるようになりさらに1300m付近からはストレスなくシール歩行ができた。林道からまだ真っ白な白山連峰が眺められた。ただ先に見える山頂稜線の斜面に笹が広がっているのが見えて心配になる。
林道が左へ大きく曲がる所の雑木林から尾根へ向かって登高。斜度はないが北向きでクラストした斜面に上部でちょっと慎重になった。
尾根上に出ると山頂稜線下の大斜面が広がる。左側一面に先ほど見えた笹が広がるが右側は雪が繋がっている。日差しの良い斜面に関わらずクラスト気味だ。斜度がでるとやや緊張する。この状態のままだと滑りは楽しくなさそうだ。
稜線に向かう途中、右手にみえる尾根方向から人の声が聞こえた。恐らく山協のパーティだろう。甲高く聴こえるのは理事長のようだ。どちらが先に着くかと思いながら稜線上を山頂に向かう。驚く顔を想像すると愉快になる。
山協のパーティより一足先に無人の山頂に到着。5度目の登頂だ。周りの樹林は青空の下で樹氷を纏い、中央に標柱が立つ広場からは白山連峰から近く鷲ケ岳までの絶景が広がる。しばらくはそれを独り占めにして過ごす。
荷物を降ろして休憩していると山協の面々が元気よくあがってきた。いるはずのない僕がいる事に吃驚するやらキョトンとするやら。予想通り。そういうメンバーの反応を見るのが楽しかった。お互いの健闘を讃え合って一緒に休憩。山の話に花が咲く。こうやって過ごす時間は久し振りだ。
一時間程でみんなは登ってきた旧スキー場からの尾根を下っていった。こちらは雪が緩んできたのを見てちょっと付近を滑ってみた。朝のようにクラストしていたら滑りたくなかったがそこそこの雪質になっていてなかなか楽しい。
2本滑って山頂に戻ると犬を連れたカップルが休憩中だった。邪魔をしないようにさっさと山頂を後にした。
さて、登りにクラストしていた大斜面。飛び込んでみると緩み加減が調度よくとても気持ちのいい滑りが出来た。数年前からそれまでのアルペンスキーに代わって始めたテレマークスキー。山では初めてじゃないだろうか、というほどテレマーク姿勢が気持ちよく決まった。それに気を良くして登り返して滑った。
林道歩きの長い山行だったが最後に良い滑りが出来て満足。サプライズも決まったしいう事無しの山行となった。
ところでこの日、ご存知の方もみえると思うが乗鞍で雪崩が発生した。数人が巻き込まれたようだ。ここ白尾山でもうっすらと積雪していたので高い山では降ったのかなあと思っていたが結構な降雪があったようだ。乗鞍も行き先の候補として考えていたので人ごとではない。お互い気を付けましょう。
コメント