大垣山岳協会

地形図学習山行・扇谷周回 2023.11.19

点名・寺尾

【 個人山行 】 徳山湖・扇谷左岸尾根 (揖斐川町徳山字磯谷) NT

 徳山ダム湖の支谷扇谷左岸を囲む尾根で地形図学習を行った。当日は冠山トンネルの開通日と重なって取り付きを変更するなども有ったが成果を残して周回を終えた報告である。

<ルート図>
  • 日程:2023年11月19日(日) 曇り時々晴れ
  • 参加者:L.NT A班:L.ST、YH、KT B班:L.YC、KM、NY C班:L.MY、KT、MH
  • 行程:ベロリ橋駐車場7:35-点名・寺尾8:32-標高660m日本庭園2号園9:15-標高823m峰10:55-扇谷林道12:49-扇谷林道ゲート14:31-駐車地15:10
  • 地理院地図 2.5万図:美濃徳山

 ベロリ橋手前で通行止め、今日は冠山トンネルの開通式である。止む無く此処へ駐車、取り付きを扇谷側から磯谷側へ変更することにした。そして3班に分けてルート責任区分を設け分担するとして班分けを発表した。途端に熱心にチームごとに作戦会議となった。

 先ずA班ST、YH、KTがリードして他の班は一切口出し禁止。が自分達も地形図で確認しながらついて行く。リードする班が間違えた場合、引き返すのが大変になるまで我慢、それを過ぎたら指摘するルールとした。

 点名・寺尾に着いたがA班の責任は次のピーク標高660mの日本庭園迄、コンパスで進行方向を入念にチェック、今日は先読みの読図力が求められ結構真剣な様子である。目印や踏み跡などの類は全く無い、地形図とコンパスだけが強~い味方なのだ。

 昨日の雨は揖斐奥地の山では雪で有った。今季初の積雪は落ち葉と枯れ木を隠し、土は水を多く含み斜面で結構足を滑らせ手古摺った。ルートの終盤は急傾斜の下降が待っている「こんなもんじゃないぞ」要注意と脅した。

 ブナとクマノミズキ(と思われる)の合体木。根っこから絡み合って絶対に離れない男女の契りのようだ。結婚式の祝辞で「連理」の木のようにと言った言葉を思い出した。

 紅葉には遅いと思われたが所々に艶やかなモミジが残っており、早々に撮影タイムのコールを送りスマホを構える。もっと強い陽射しが有れば傑作が、県境の冬山はカメラマン泣かせと言い訳の弁も忘れない。

 石灰岩の苔むした大岩の上に樹木が根を張って岩を噛み庭園風だ。下草は雪下に埋もれて冬化粧の日本庭園の趣である。最初に出会う下の景色を日本庭園1号園と呼んでいる。

 A班担当区分終了点の日本庭園2号園の峰はもうすぐ、苔むした岩と新雪のマッチングがいい雰囲気を醸し出していた。

 標高660mの日本庭園2号園で記念写真。A班ST.Lチームの責任区分は此処まで、次の下降進行方向をB班に指示して終わった。完璧に案内をして戴きました、お疲れ様。

 この下降からB班YC.L、KM、NYが標高823m峰までの責任を負った。写真では何ともない緩やかな尾根に見えるが落ち葉と枯れ木と根っ子が雪の下に隠れて滑るスベル。

 B班の担当ルートは細い尾根の上り下りの個所が多く油断が出来ない。冬に積雪が多くなれば綺麗な雪稜になって木の根を覆い隠しそうだ。それとも風で雪が飛ばされ凍っていればアイゼンが必要になるかもしれない。冠山トンネルの開通で国道417号は通年通行が可能になった。例年4月以降しか来れなかったがこの冬は確認出来そうだ。

 B班YC.Lはピーク毎にチェックを入れて慎重だが歩行は早い、2ヶ所急な登りでは足元が悪く滑って体力消耗、追っかけるのが大変だった。

 B班担当の823mの独立標高点は南から山頂台地に登り切って西へ向きを変えた所である。登り切った所が頂と勘違いしやすいがYC.Lは見事に読み切り西へ移動してC班MY.L、MH、KTへバトンを渡した。これまでA班B班とも読図完璧だ。

 尾根の両斜面がブナの美林になっているが地図読みに夢中なのかあっさりと過ぎて行く、尾根で最大と思われるブナの横も素通りしていった。少しもったいない。

 この先に標高820mの峰が有り尾根は北と南に分岐、騙されるとダム湖へ一直線である。最高所へ行かず10m下で北へ振るのだが急斜面となっており下った先に果たして尾根が続いているか不安になる。コンパスの指す進行方向を信じて真っ直ぐ下る。

<ルート図(詳細)>

 C班MY.Lチームは間違いやすいポイントを見事に読み切って北へ急斜面を下った。と、その時宮川Lが立ち止まって何やら言っている。駆け下りて見ると真新しい「熊の足跡」それもデカイ、我々の声に急き立てられたのだろう。熊追いのピストルを何発か鳴らした。

 斜面を下りきると尾根が現れ西へ向きを変えていく、緩やかにカーブを描くように西から北へ、又西へ下って行く、分岐が多く細かくコンパスをチェックしないと支尾根へ迷い込みやすいので神経を使うところだ。

 尾根が西向きに一直線の急下降になると支尾根への誤侵入よりも足元への注意が必要だ。雪の下に隠された枯れ木を踏んで「アッ」という間なく滑って大尻餅を搗いた。罠に嵌った気分である。急斜面を約100mの下降は立ち木から立木へ縫うように慎重に下った。

 尾根は細い岩尾根となって最後は扇谷林道へ壁となって消える。此処まで下って来れば間違える所はもう存在しない。C班も完璧に地図読みをして終えた。尾根が切れる手前で扇谷上流側へ向かって急斜面を約50m下の杉林めがけてブッシュを掴んで下った。林道へ下り立って学習会は終わった。後は冬の谷の渡渉がどれだけ冷たいか経験するだけである。

 廃林道を歩きながら見る渓谷は水も多く雪も有って身震いしそうなほど冷たそうだった。だが、渡渉場所まで来ると何と、コンクリートの沈下橋が架けられていた。周りは未だ工事中で今日は日曜日、作業は休みなのだろう。冬の渡渉を経験出来ず残念!それともラッキーと思うかはそれぞれ。まだ駐車地までトンネル歩行が残されており時間短縮にはなった。

 扇谷の流れがダム湖に消えた。先ほどの工事のお陰で林道は草木が一本もなく整備が行き届き歩きやすくなっていた。水面正面に朝一番周回最初に登った「寺尾」が見えている。

 林道から国道417号へ出た。扇谷姫街道橋を渡り櫨原義徳隧道(2㎞)を歩いた。トンネル内の歩道は30㎝ほど高くなっており歩きやすい。時々車が塚方面へ向かって行った。冠山トンネルは17時開通なのでイベント関係車両であろう。エンジン音が反響しどっちから来るか判断できなかったが我々のいる車線は通行が止められているはずで安心して歩いた。

 磯谷ベロリ橋に出ると冠山トンネル開通一番乗りを狙った車両が反対車線に並んでいた。今朝我々が山行の出発準備中に横に居た軽トラックが一番乗り、ドヤ顔で陣取っていた。

 開通は10時や12時頃と勝手に思い込み下山が早ければ福井側田代までの往復も、と早朝の大垣で言っていたがトイレ休憩で立ち寄った藤橋道の駅で17時開通と知った。下山して未だ15時を過ぎたばかり17時は遅すぎだ、2時間は待てない。

 学習会は一度の踏み誤りもなく満点の成功で大満足。体験参加の河野さんも入会の意志を示され大満足。ガラガラの反対車線を気分よく飛ばして帰垣した。完

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