大垣山岳協会

実りの秋三河湾を眺めて・桑谷山 2022.10.19

桑谷山

【 週日山行 】 桑谷山 ( 435.5m Ⅰ△ ) 丹生 統司

 当会10月の週日山行は安藤正明リーダーの下で愛知県岡崎市桑谷山で行われた。緩やかな山頂台地に建つ展望台からは高い空に遠く伊吹山や御嶽山を眺め南には三河湾を見下ろした。下山中に赤く色づいたアケビを見つけた。甘い果汁はほんの少しでほとんどが種、それを吹き出しては次をまた頬張った子供の頃が懐かしく思い出された。

<ルート図>
  • 日程:2022年10月19日(水) 晴れ
  • 参加者:L.安藤正、岩田嘉、大橋礼、桐山美、丹生統
  • 行程:桑谷キャンプ場駐車地10:14-展望台11:27~12:34-桑谷山(点名・桑ヶ谷村)12:56-桑谷キャンプ場駐車地14:18
  • 地理院地図 2.5万図:幸田

 桑谷町の集落を過ぎると俄かに田園風景となってキャンプ場の案内が幾つか現れ、それに導かれ駐車地に着いた。先着車は1台、先ずキャンプ場目指して舗装された道を詰めた。

 地形図を見ると近くには溜池が多い、この池は坂口池というようだ。下山は竜ヶ谷池の畔を歩き帰って来る予定である。

 桑谷キャンプ場は杉林の中の谷沿いに有った。結構人気なようで事前予約制、無料なのは魅力だが杉林はヒルが出そうな予感がした。

 キャンプ場の中で見つけた「ツルニンジン」ツルや根を切ると乳白色の汁が出て根は朝鮮人参に似ている。日本ではあまり食さないが韓国では朝鮮人参と同じように珍重されているそうだ。似た名前で「ツリガネニンジン」があるが別物であるので注意。

 ホトトギス、花弁の斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることから名付けられたようだ。花が黄色で赤い斑点の「タマガワホトトギス」もよく見る。

 付近には「イノシシ」が多いようで道の両脇が至る所で掘り返されていた。三河地方は気候が温暖で周りに照葉樹林が多く道の両端は肉厚の落ち葉で埋まっていた。その下の昆虫やミミズが狙いと思われる。

 往古、桑谷村と郡(蒲郡)の往還道として使われた石畳の古道を歩いたが2体の野辺地蔵が有って両手を合わせた。野辺地蔵由来を記すと「この道は、岡崎市と桑谷村(現在の岡崎市桑谷町)と西の郡(現在の蒲郡市)を結ぶ重要な往還道でありました。往来する人も数多く、ここで一息ついて健康と旅の安全をお願いし心身を休めたと言う。昔から現在をずっと見つめ、見守られた貴重な地蔵菩薩で有ります。いつの頃の建立か定かでありませんが、今昔の感ひとしほ心温まるお地蔵さまで有ります。」合掌。岡崎市桑谷町

 桑谷山の中腹を舗装された「林道桑谷蒲郡線」が2ヶ所に渡って横断していた。舗装道路を跨いで再び山道へ入った。林道谷側には奉仕活動で椿が植えられ「椿道」と言われるそうで終点には「椿の花でいっぱいになるようにと」書かれた石碑があるそうだ。

 桶狭間で今川義元が信長に討たれると「松平元康」後の徳川家康は今川から独立し三河統一を図る。家康は人質となっている妻子を奪還する為に今川家重臣の「鵜殿家」を攻めた折りに、この古道を通ったと伝わる。

 照葉樹の林を抜けると高い展望台の在る広場に出た。これまで人に全く会っていなかったので広場や建造物の上に人影を見てびっくりした。迷彩服の自衛隊員が20人ほど居て訓練中のようだった。一瞬ためらったが来ても良いというので展望台に登った。そこには一般人も何人か居て休憩中であった。

 展望台の上から北西の方向に岡崎市の市街とその先に伊吹山が見えていた。そこから離れた北の先に白山が見えるはずであるがハッキリとは確認出来なかった。北東の方向には御嶽山が一際高く聳えていた。

 南に三河湾が広がり外国を往来するような大きな船が浮かんでおり幾つか島も点在している。渥美半島が黒く長く青い海を遮るように横たわっていた。

 公園化された広場の南階段に居座り昼食休憩を行った。秋の陽射しを受けてコンクリート階段が温かく尻はホンワカ電気カーペットに座っているようだった。伊勢湾を眺めて雑談も弾み最高の休憩場所だった。1時間ほどの休憩中に自衛隊員はいなくなったが東の桑谷山荘跡の駐車地から軽装の人が何人か訪れていた。

 いつまでも居たい、暖かく心地よい展望台園地であったがⅠ等三角点の在る桑谷山へ周回すべく重い腰を上げた。桑谷山への尾根は広い照葉樹の林で椿の木が多く「青木ヶ原」と書かれた手作りと思われる出所不明の札が幹に括られていた。

 桑谷山山頂に在るⅠ等三角点標石柱(点名・桑ヶ谷村435.5m)天端の隅が欠かされて可哀想である。近くの樹木には「桑谷山」と書かれた手作りと思われる出所不明の札が3ツも幹に括られていた。

 Ⅰ等三角点を前にして記念写真。山頂南には国土交通省の航空路監視用レーダードームがあった。展望台園地にも、ここまでの途中にも電波塔のような建造物が有って重要な施設の多い山だと思った。

 桑谷山からは北に向かって急で浮石の多い道を谷沿いに下りた。やがて大きな留池が現れると道も広くて歩きやすくなった。池斜面の雑木にツルが絡みあった藪の中に赤く色づいたアケビを見つけ甘い果汁をすすった懐かしい子供の頃を思い出し家庭への土産とした。

 周りに田畑が現れると道は舗装され更に歩きやすくなった。空が澄んで高くなり柔らかくなった秋の陽射しは登山日和で心地よく汗も出ない。明日は安藤リーダーが個展をやっている「ギャラリーを訪問しよう」集合場所と時間、そんな話は直ぐにまとまって帰りの足取りは軽かった。

安藤正明水彩画個展開催のお知らせ。

 当会会員の安藤正明さん(桑谷山リーダー)が大垣共立銀行本店3階(岐阜県大垣市郭町3丁目98)にて水彩画個展開催中である。期間は10月11日から10月31日迄です。彼の力作をご覧になっていただきたいと思います。無料です。完


コメント