大垣山岳協会

初夏の籾糠山 2019.06.18

籾糠山

【 個人山行 】 籾糠山( 1744.2m Ⅲ△ ) 清水 友子

  • 日程:2019年6月18日
  • 参加者:清水友子 他1名                          
  • 行程:天生峠駐車場8:55→天生湿原9:24→奥の湿原9:53→桂門10:14→木平分岐10:39→山頂11:32-12:10→木平分岐12:41→木平湿原13:07→カラ谷分岐13:37→天生湿原13:49→駐車場14:23

 籾糠山は、岐阜県飛騨市と大野郡白川村の境界上に位置し、一年の半分を雪に閉ざされ例年6月になってやっと入ることができる岐阜百山の一つ。何年か前、雪解け直後に天生湿原で水芭蕉の大群落を見てから忘れられなく毎年この山に登っているが、いつも巨大化した葉っぱしか見ることができない。しかしそれもまた楽しい。

 6月中旬に国道360号線を走り標高1260mの天生峠駐車場登山口に車を止める。登山口に着いたとたんに春蝉と蛙の鳴き声が凄まじく聞こえる。雪が解けて飛騨の山では動物達にとってはまさに春である。爽やかな空気の中、緩やかな登山道を登るともうそこは別世界の深い森だ。

 湿原探勝路を進み天生湿原の木道東回りを歩くと鮮やかな青色のタテヤマリンドウや、チゴユリ、が湿原に競うように咲く星のようだ。

 湿原のウワミズザクラの木には花と一緒に大きなモリアオガエルの卵もまるで花のようにぶら下がっている。生き物も生きる為に知恵を凝らしている。

 湿原を越え標高1360mのカラ谷分岐に着くと、カツラの巨木が出迎えてくれた。幹の周りはどれくらいあるだろう。雨宿りできるくらいに大きな室もある。

 ここで一休みした後、咲き終えた二輪草の群落の先を右に曲がり沢を越える。ここには巨大なブナの原生林が広がっていて、鳥の囀りしか聞こえない静かな森だ。さらに、その先には広い水芭蕉の群落があるが、花は終わり水芭蕉の葉の草原になっていた。

 元のカラ谷登山道に戻り、軽いアップダウンをくり返しながら登ると目の前に4本のカツラの巨木が大きく聳えていた。

 ここから先は谷川に沿って歩く。傍らにはサンカヨウ、キヌガサ草、ツバメオモト、リュウキンカなどがいつもはたくさん咲いているのだが遅いので数は少なかった。ほどなく1520mの木平分岐に着く。

 ここからは急な登りになるので小休止して水分調整をする。歩き始めると木の植生が変化してきた。アケボノツツジが緑一色の中でかなり目立っている。息を切らしながら登ると標高1620mの籾糠分岐に着いた。針葉樹が多くなり、その中にダケカンバが大きく枝を広げている。ダケカンバの幹の肌色と緑の葉は何とも綺麗だ。この辺りは比較的遅くまで残雪が残っているのだが、今回はすっかり解けて無くなっていた。

 最後の急登を登ると1744mの三等三角点の狭い山頂に到着した。天気が良ければ正面に御嶽、乗鞍、穂高、それに続く飛騨山脈の山々が見えるはずだが、雲の多い中、山裾だけが見えるので山々の名前を考えながら楽しんだ。近くの緑もまた素晴らしい景色だ。

ゆっくり昼食を摂った後、下山は木平分岐まで戻りダケカンバやブナの原生林が多い木平道を歩くコースにした。暫く緩やかな登りが続く。この道は登山者が元々少なくさらに平日とあって人がいない。ツキノワグマが生息しているので音を鳴らしながら歩いた。

途中にある木平湿原にはモウセンゴケの群落が有るのだが以前に比べて減ってきている。

快適なブナの巨木の中を歩く木平探勝路を一気に下る。カラ谷分岐で朝来た道に合流し湿原の木道を西回りに歩くと、バイケイソウの大群落やワタスゲなどの高層湿原の花が咲き短い初夏を謳歌している。後4ケ月も経つとここは錦秋の山となる。

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