大垣山岳協会

大川入山 2017.06.19

大川入山

大川入山(1907.7m) 鈴木正昭

 恵那山系の南端に位置し、岐阜長野県境上にある恩田大川入山(1921m)を目指したが、あえなく手前で引き返した。積雪期には登る人は多いようだが、無雪期の記録は見つからない。ならば、一つ……と功名心が出たのだが、時間不足と蝿や蚊類の猛撃で戦意を失った。ササ原の中でほこりとムシと汗にまみれ、地を這うようなやぶ歩き。時間が経つと、それが甘美な思いとなる。不思議なことである。(単独 2.5万図 浪合)

  • 日程:2017年6月19日(月)
  • 参加者:鈴木正(単独)
  • 行程:自宅5:40⇒中央道⇒園原IC ⇒国道153号寒原峠⇒7:30あららぎ高原スキー場駐車場(標高約1150m)→7:50第2リフト終点→8:55岩場帯上部→9:05正登山道出合→10:30大川入山登山道分岐10:40→11:50引き返し地点(1902m地点)→12:20大川入山分岐→1:00大川入山1:30→2:05分岐→2:45点名岩灘(Ⅳ△1724m)→3:20支尾根分岐→4:00駐車地(長野県阿智村浪合)

 恵那山から南に伸びる尾根上に恩田大川入山(1921.1m)と大川入山の2山がある。大川入山には過去2度登っている。未踏の恩田大川入山に登ろうと梅雨時ながら絶好の日に出かけた。広いスキー場駐車場に車を置く。休業中なので、車は一台もない。緩い斜面のゲレンデを歩きだし、第2リフトの終点広場に上がった(写真①=正面切り開き地上部)。

(写真①)

 地理院地図にリフト終点あたりから登山道の波線が西南尾根沿いに伸びているのを信じた。だから、ネット記録のコース図などの確認は不要と考えた。リフト終点から尾根筋に向い古い赤布が見え、薄い踏み跡が伸びている。疑いもせず、赤いテープの付いた踏み跡を進み標高100mほど上がった地点で立ち往生。尾根に巨大な岩が累積する難場が立ちはだかる。何度も行き来して道の痕跡を探すがたくさんあった赤布と踏み跡は一切見つからない。

 道はどこかで迂回しただろうが、どうせ上部で合流するはずと考える。がむしゃらに腐葉土が詰まる岩と岩の間の溝を見極めて登る。右へ左へ足がかりを求めて約50mほど上がると平坦な空地に出た。さわやかな風が汗だくの身体にしみわたる。振りかえると真下に岩場取っつきが見え、さらにすずしさを倍加する。ここから平坦な尾根を歩くこと5分で左の枝尾根から広い登山道が上がってきていた。これがスキー場からの一般登山道だった。

 幅2mもある立派な登山道の左右にはモミ、ツガの大木やカンバ類やミズナラの壮齢林が明るい黄緑の天井を広げている。途中、幾度か左手に大川入山の黒々とした三角錐が見える。やがて標高約1860mの恩田大川入山への分岐ピークに着いた。ここで、一休みしてヘルメットと脚防護のスパッツを付ける。恩田大川入山に向う尾根の入口に踏み跡は全くない。でも、目印の赤テープは幾つかあった。このコースでの同山登頂は「積雪期限定」らしい。所属する大垣山岳協会でも97年3月末に登っている。ネットには積雪期登山の記録はたくさんあったが、無雪期は皆無だった。

 出だしのササ原は腰辺りの高さ(写真②)。ネマガリタケではあるが、案外行けそうかなと楽観気分。

(写真②)

 テープをこまめに付けながら100mほど進むとササの背丈が頭を越した。少しでも登りになると、ササが手前に寝ているので余計に苦労する。出だしから400mほど進んだ標高1902mピークまで1時間を要した。時折ササ原の中から前方に山頂付近の峰が見渡せる。まだ倍以上の距離がある。時間的には苦しい。潔くここで退却することにした。正登山道を逃したことによる時間ロス(4・50分)が痛かった。それに、ササ原での小さな虫の集団攻撃には往生した。虫除けスプレーを振り回してもすぐ戻ってくる。コース分岐に戻りすぐ大川入山に向う。90mほど下り登り返す。振りかえると恵那山が普段見る姿とは違う三角錐スタイルで座っている。その手前に黒木をまとった恩田大川入山、さらに私が達した1902峰も見えた(写真③)。

(写真③)

 大川入山山頂(写真④)には2人の登山者がいた。1人は私と同じスキー場から登ったという豊田市の若い男性。彼の話だとゲレンデ南側に登山道入口があるそうだ。北側に中央アルプスの全山が一部に雪を付けて浮かんでいた。東側には南アの千丈、北岳、間ノ岳の主峰群が霞のかなたに並ぶ。

(写真④)

 下山では一般登山道を下った。主稜線から東側の支尾根筋に入ると登山道ははなだらかな二次林やヒノキ林の中をゲレンデ南側の登山口まで続いていた。そこには「大川入山登山口」の立派な木柱が立っていた。

 この登山口は私がゲレンデを上がる途中、目に入ったはずだが、気づかず通過してしまった。ゲレンデ途中に登山口への道標があれば、ミスしなかった、だろうが、それは言うまい。登山道でないやぶ道を歩くことを避けないのが私の作法。時間ロスはあくまで、私の行程計画上のミスであった。要するに、行程計画に隠れたミスがありそれが敗因となったのだろう。再挑戦すれば、勝算はありうると思う。紅葉の秋にでも、どなたか同行できる方を誘おうか。

◆あららぎコース登山道 地理院地図に載る波線コースがいつ頃まで維持されたのかは不明。1994年の名古屋周辺続山旅徹底ガイドには廃道化を示唆し、現行コースを紹介している。前述のように、登山口へのアクセスが分かりにくいので、ネットには私と同じ岩場帯で苦労した記録があった。登る際には、立派な登山口標柱を見逃さないように注意しよう。

<ルート図>  2.5万図 浪合

コメント