月報「わっぱ」 2017年5月(No.426)
【 個人山行 】 松田から舟伏山( 1040.3m Ⅱ△ ) 成瀬 徳幸
- 日程:2017年4月22日(土)
- 参加者:L.藤井利、杉本眞、田中善、岡本雅、小栗敦、成瀬徳
- 行程:大垣7:00=織部の里7:30=根尾松田(岐阜県本巣市)8:30-小舟伏10:25-舟伏山10:44-イワザクラ11:04(930m付近)-小舟伏山11:40~12:30-根尾松田13:51=大垣
- 地理院地図 2.5万図:谷合
松田・貴船神社の右側から、水田のあぜ道をとおり、植林地の中を少し上がると珍しい景色が目の前に現れた。明らかにかつての棚田あるいは段々畑だ。今や40年程度の樹齢のヒノキが林立している。段々畑の上には水源地を示すパイプが現れ、水が勢いよく流れていた。かつて人々が生活をしていた痕跡である。道は明瞭ではないが、植林の作業道、あるいは獣道と重なりながら、伸びている。舟伏山へは32年前に神崎(山県市)からの通常コースで登った。今日は反対側の松田から南東に伸びている尾根を登り、小舟伏を経て、頂上に至るコース。
日が差し込まない斜面はかなり急でおまけに柔らかい泥斜面。ときどき顔を見せるカタクリが唯一の慰めだが、花のついた株は稀だった。800m付近からようやくヒノキ植林帯から明るい自然林に代わる。痩せた石の露出する道をひと登りすると970mのピークに達する。北西には残雪豊かな能郷白山が木々の間から見え隠れする。地表には緑色がまぶしいコバイケイソウ、そしてモミジガサの群落が延びる。最後の登りの後、着いた広い頂上にはたくさんの登山者がいた。我々と同じようにイワザクラを目当てに神崎側から来たようだ。聞いてみると、頂上から東回りコースを少し下った地に咲いていると言う。ある人は10分ですよと言ったが、どんどん降りても、見つからない。来たことを後悔し始めたころ、登山道脇のイワザクラは可憐な姿で我々を迎えてくれた(写真①)。この花は、岐阜県と紀伊半島、四国、九州の山の石灰岩の隙間に生える。花だけ見るとハクサンコザクラなどとよく似ている。
頂上まで登り返し、小舟伏山の少し先で昼食。出発しようとしたら、別のグループのリーダーが年配の一名が見当たらないという。根尾側に降りた可能性もあることから、その人の名前と連絡先を聞いておいてから下り始めた。明瞭でない道、しかも急、年配者には厳しい。我々もルートを一部間違えたが、無事に松田に着いた。
谷汲温泉で入浴後、かのリーダーから携帯連絡があった。年配者は無事に松田まで下山し、神崎に降りたメンバーが迎えに行っているとのこと。やれやれと安堵したが、根尾側の道はやぶ道なので間違いにすぐに気がつくはず。気づいたら元の道まで戻るのが、基本中の基本だ。自らのことと戒めたい。
この松田コースには40年ほど前までは堅固な歩道があったという。それまで、登り初めの水田や上部人工林の手入れなど人々の生活生産活動に必要な道だった。今はその必要性が消えて、廃道となった。でも、歴史民俗と野趣豊かな尾根筋は我々には貴い道として残されている。