月報「わっぱ」 2014年4月(No.389)
【 一般山行 】 手倉山 ( 1037m Ⅲ△ )、上谷山 ( 1197m Ⅱ△ ) 平木 勤
- 日程:2014年3月23日(日)
- 参加者:L.平木 勤、佐竹 良、丹生 統、 西村 洋、竹森 せ、後藤 友、小林 和、後藤 正、 西村 恵、林旬子、藤森 ふ
- 行程:大垣4:00=広野駐車地6:00~20-標高726m点7:50-手倉山9:20-1169mジャンクション10:30-上谷山10:50~11:50-1082m点12:20-駐車地15:00~30=大垣17:30
- 地理院地図 2.5万図:板取
上谷山は思い入れ深い山だ。3年前の東日本大震災発生の二日後、僕は現実から逃げるようにしてこの山の山頂に立った。すばらしいブナの森、東に見える越美国境の美しい雪稜、西にうねるように広がる山並み。震災後も揺るぎない自然がそこにあった。今山行ではこの自然をもう一度確かめるとともに仲間たちにその大切さを知ってもらいたかった。
福井県南越前町広野の浄水場から入山。3年前にはここからスキー登高が可能だった。今回は雪が少なくスキー山行は事前に諦めて通常の歩行山行のみとなった。浄水場施設を過ぎて植林の尾根にのる。薄い踏み跡と目印が残っていた。それをたどり、やぶがややうるさい雑木林の中を進む。標高500m前後から雪面登高となる。その中に昨日のものと思われるトレース。テント泊で三国岳を目指す北川洋一さんのものだ。ありがたく通らせていただく。
尾根筋には杣道だろうか、深い溝状の道が続く。かつて、かなりの往来があったのだろう。
程よく締まった雪を踏みしめてゆっくりと高度をあげると雑木林は次第にブナ主体となる。突き上げるような急斜面が印象的な手倉山手前までくるとすばらしいブナ林が続く。霧氷をまとったブナと群青色の空とのコントラスト。足を止めて撮影会が始まった。日差しを受けて緩んだ霧氷が次々に落ちてきて「痛い!」の叫びがあちこちであがる。
ブナの若木が立ちそろう手倉山山頂に着くと、樹間に目指す上谷山山頂が見える。緩やかに下り再び登り返したところに広がる雪原には見事なブナの大木の数々。これを見るだけでもここを訪れる価値がある。
二重山稜を越え一登りすると痩せ尾根に出る。雪が豊富な時は恐ろしいばかりの雪庇ができるところだ。その途中にある窪地で北川さんがテントをたたんでいた。朝5時に出発して三国岳を登ってきたそうだ。
北川さんと共に上谷山に向かう。三国岳への分岐を越えると痩せ尾根の急下降。そして広い尾根の登り返し。さらに広い雪稜のうねりを二つ三つ越えてようやく広々とした上谷山山頂に着いた。
3年前と変わらないすばらしい景色が山頂を取り巻く。白さは少し足りないものの目を釘付けにする越美国境の雪稜。敦賀湾や琵琶湖も認められる。うれしい瞬間だった。山頂には先着の二人組がいた。
条件がいいのでピストン予定を変更して下山は広谷川左岸尾根を下る。山頂で出会ったお二人が残したトレースを辿って江越国境尾根を緩やかに下る。広くて伸びやかな尾根は見晴らしがいい。標高1082m地点から北の尾根に入る。登った尾根よりも狭く樹林の豊かさも負けるが登り返しがないので楽だ。
標高881m点以降の広い尾根はともすれば迷いそうだが、地形図をこまめに参照しながら進む。最後の痩せた急尾根では溝状になった道型を辿った。しかしやぶがかぶりしばしば難渋。植林帯の手前で道型が消えて急斜面を転げるように下ると車道に出た。傍らにはフキノトウが幾つも顔を出して春の訪れを告げていた。
ルート図
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