大垣山岳協会

自然歩道を楽しむ・寧比曽岳 2023.03.08

寧比曽岳

【 週日山行 】 寧比曽岳( 1120.7m Ⅲ等△ ) 愛知県豊田市大多賀町 丹生 統司

 当会3月の週日山行は豊田市明川町の伊勢神峠から東海自然歩道を春山日和の中でハイキング、熊に注意の看板を多少気にしながら寧比曽岳を往復した。中馬街道難所の歴史に少し触れて楽しいハイキングだった。

<ルート図>
  • 日程:2023年3月8日(水) 晴れ
  • 参加者:L.丹生統、安藤正、岩田嘉、大谷早、柴田悦、林 旬、宮川祐、宮澤健、三輪唯、安村單
  • 行程:ドライブイン伊勢神7:55-伊勢神宮遥拝所8:29-大多賀峠9:34-寧比曽岳山頂11:10~12:11-大多賀峠13:29-伊勢神峠14:48-ドライブイン伊勢神15:22
  • 地理院地図 2.5万図:寧比曽岳

 ドライブインは休業状態のようであったが遠慮して駐車場の端っこに停めさせていただいた。出発前に寧比曽岳山頂方向を地形図とコンパスで確認した。

 車道を10分歩き伊世賀美隧道手前から峠へ向かう古道の中馬街道に入った。隧道は明治30年の竣工で石造りのアーチが見えており興味があった。写真を撮りたかったがアンちゃんが白い着物を着た幽霊が出るとか、心霊にとり憑かれると脅すので止めた。

 伊勢神峠は中馬街道の難所で有ったそうだ。中馬とは江戸時代、信州伊那谷の馬稼ぎ人達の荷物輸送組合のことで三河の塩を信州へ運んだことから中馬街道と呼んだ。峠の馬頭観音が往時を偲ばせている。また善光寺参りでの往来も盛んだったようだ。

 峠の上には江戸時代後期に建立された伊勢神宮の遥拝所があり伊勢湾や神宮が一望できるとのことであったが当日は春霞で良く見えなかった。(現在の建物は後に再建されたもの)

 遥拝所を出ると檜と杉の混合人工林となった。綺麗に枝打ちされて細く長く真っ直ぐ伸びて3階建ての通し柱に使用できると思えた。昔、ミニスカートを流行らせたモデルのツイッギーの美脚を思い出させた。

 やがて周りは広葉樹と松の混成林となってふかふか落ち葉が気持ちよく膝にやさしかった。大きい松かさが沢山落ちており時折踏むと簡単に壊れた。

 やがて右隣上にコンクリートの擁壁やフェンスが現れ自然歩道の雰囲気を壊した。道標には「勤労者いこいの村」と書かれていた。湿原の木道や東屋があり散策路が出て来た。

 いこいの村施設へ通じる舗装道路に沿って人工林の中に自然歩道が整備されていた。近隣の方だろうか空身で杖を片手に何人かが追い抜いていった。

 大多賀峠に着いて一休みした。峠の直ぐ下大多賀町側に寧比曽岳登山者駐車場が有り車が1台停まっていた。熊注意の看板を横目に斜面に付けられた鉄製の階段を登る。

 「亀の甲石」と説明書きがあった。豊田市と岐阜恵那市、長野下伊那郡根羽村に跨る三国岳近くに「亀甲石」と呼ばれる見事な岩が有る。地上に噴出した溶岩が冷えて収縮する時に六角形等の亀裂が入り柱状節理ができる。その亀裂の集合体の断面が亀の甲羅に見える。昔、この付近から伊那郡根羽にかけて火山があった証である。

 こんな所に温度計が!リョウブの木に括られていた。当日の温度は11℃を示していたがカメラの精度が良くないのか写っていない。

 木の根がむき出しとなったヒノキの人工林。表土が登山靴で削られ雨で流されたのだろう。登山者過多とストック使用、トレランも原因だろう、罪の意識を感じる。落葉樹林だと落ち葉で表土を覆うのでここまで被害は進まないと思うのだが。

 寧比曽岳山頂着、点名・大多賀(Ⅲ等△)石柱は天端の右角が不届き者によって欠かされていた。三角点の高みは周辺がベンチや通路に削られた為に急傾斜となって表土の流出が進んでいた。それほど遠くない時期に標石は倒れ盤石が出て来ると思われた。

 何はともあれ全員で記念撮影。アンちゃんは本日が81歳の誕生日だそうである。特別に撮影中のみマドンナの隣に座ることを許した。山頂からの展望は春霞で覆われ御嶽山も富士山も見えなかったが唯一南アルプスの聖岳が見えていた。

 山頂では1時間ほどを過ごした。春のような温かい登山日和の日であった。最高齢87歳の岩さんは奥様の「野菜たっぷり手作り弁当」を美味しそうに頬張っていた。こちらは妻に持たされたいつもの「カップ麺」である、家庭円満を羨ましく思いつつシャッターを押した。

 駐車地から寧比曽岳山頂まで休憩を含みゆとりを持たせ2時間30分の計画であったが3時間15分を要した。山登りは生涯スポーツである。タイムを気にしたら止めるしかなくなる。競わず長く続けることこそ山登りの本質である。81歳を迎えたアンちゃんは岩さんを追い、岩さんは100才現役を目指していただきたい。

 我が会は「ハイキングからヒマラヤまで」をモットーに毎月4回~6回の山行を計画実行している。登山の困難度を★から★★★で表現し会員はそれぞれ自分の実力に有った山を選び参加している。幅広い年齢層が在籍するのが我が会の特徴である。このブログをご覧の貴方、仲間になって山登りしませんか。完


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