大垣山岳協会

疑問を解きに再度イブネ(クラシ北東尾根~イブネ南東尾根+上高地) 2024.06.08

イブネ

【 個人山行 】 鈴鹿・神崎川源流域 イブネ ( 1160m △なし )、クラシ ( 1145m △なし )  NT

 先週6月1日にクラシ北尾根から杉峠を訪れたばかりだがクラシの位置と東へ続いていた明瞭な道をしっかり確認したくて再度訪れた。そして鈴鹿の上高地と呼ばれる神崎川源流の畔を散策した報告である。

<ルート図>
  • 日程:2024年6月8日(土) 晴れ
  • 参加者:L.NT、SE、HT、YC
  • 行程:朝明渓谷6:28-根の平峠7:19-上高地渡渉7:49-クラシ谷出合8:13-北東尾根主稜9:03-クラシ10:00-イブネ10:16~11:02-高昌山11:10-小峠11:54-上高地渡渉12:16-根の平峠13:06- 朝明渓谷14:08
  • 地理院地図2.5万図:御在所山

 2週連続でこの通路を歩く、ところが案内板表記が「千草街道」となっているとHTさんが指摘、菰野町の案内は全て「千種街道」となっていると。小さな文字をよく気付くと感心したが、実はこの眼力に北東尾根では何度も助けられる。

 根の平峠を越えて鈴鹿の上高地といわれる神崎川源流の畔へ着いた。キャンパーが焚火をしながらコーヒーを飲んでいる。断りを入れシャッターを押した。梓川、上高地小梨平の雰囲気がたっぷりだ。上高地も釜トンネルが開通するまではこうだったのだろう。

 今日は約2年ぶりに帰って来たYC女史が一緒だ。先週74,5才だった平均年齢が69歳まで下がった。HT女史は今日もジャブジャブ、気持ちよさそうに渡渉を終え左岸へ。

 神崎川左岸を下流へ20分歩きクラシ谷出合へ着いた。当初計画は北東尾根へ直接取り付く予定だったが谷沿いに踏み跡と目印を発見、計画を変更した。やがて本谷から支谷へ移ると谷は荒れて道の寸断個所が多くなった。どうやらこのルートはあまり使われていないようだ。此処でHTさんの遠目の眼力が威力を発揮、色落ちした目印を次々に発見した。彼女の眼力にルートファイディングを助けられた。やがて落ち着いた谷筋となり尾根へ導いた。

 当初計画で目指す予定だった主尾根標高900m峰の手前辺りの鞍部が透けている。そこを目指し急斜面を各自足場の良い所を選んで登った。女傑3人が先行しそれを追うがそのまま900m峰まで登って行きそうな勢いに「尾根へ出たら休憩!」下から叫んで止めた。

 主尾根に出ると踏み跡は明瞭になって目印も多くなった。尾根をクラシ谷から吹き上げる風が汗で濡れた首や頬をなでて抜けた。地形図で現在地を確認すると標高900m手前の830m辺りである。踏み跡は900m峰へは登らずクラシ谷側をトラバースしていた。

 やがてオゾ谷側が岩でスッパリと切れ落ちた細尾根となった。岩の上の用土が流出して木の根が丸出し、つまずきに注意が必要で気が抜けない。

 シャクナゲの多い尾根であった。直径15㎝丈が3,5mを越えるような高木も有ってさながらシャクナゲのジャングルの様相だった。この尾根を開いた先人に敬意を表したい。シャクナゲとハイ松の藪漕ぎの辛さは若い時に何度か味わって知っているつもりだ。

 尾根が広くなって傾斜が落ちるとブナの丈が低くなり幹も細くなった。先週の北尾根と似たような景色が現れたということは「クラシ」が近いと察知した。

 傾斜が落ちて細尾根となった標高1140mの細い木に「クラシ」と書かれた木札が括られていた。ブナの高みにももう1ツ、此処が「クラシ」だった。北尾根との合流点かもしくは1145mの独立標高点の高みと思っていたがこれで納得。先週、北尾根から辿り着いた時に見た明瞭な道と多い登山者はイブネからピストンでクラシを訪れていたのだ。

 クラシ北尾根と北東尾根の合流点には赤テープに「クラシ⇒」と書かれナラの幹に捲かれて東を指していた。先週来気になっていた明瞭な道の謎も解けてモヤモヤが晴れた。独立標高点1145mの高みからクラシ北尾根と北東尾根を振り返った。

 先週と同じイブネ北端の林の中でランチタイムを過ごした。その後ザック等を置いて周辺の散策に出掛けた。だが先週の訪問以降は晴天が続いており青ゴケに茶色が目立つようになってみずみずしさが消えていた。残念、だが梅雨が来れば直ぐ復活するのだろう。

 みずみずしさが乏しいとはいえ、自然の芸術はやはり素晴らしい。この日、イブネの山頂付近は神崎川から吹き上げる風が強くヤッケを着こんでいる登山者もいた。ザックを担いでいない我々はもっと寒かった。強い風がこの造形芸術を生んでいるのだろう。

 イブネ北端まで戻ると記念の写真を撮った。南東尾根を下るには先ず高昌山1125mを目指し緩やかな尾根を下った。道は明瞭で踏み跡もしっかりしており何組かの登山者とすれ違った。クラシ北東尾根よりは利用者が多いようだ。

 高昌山から南下する尾根は神崎川まで続いておらず、計画では100m引き返して南東尾根を忠実に下る予定だった。だが目印が下へ続いており登山者も登って来ていたので引き返す面倒くささも有ってそのまま下った。その後南東尾根へ向かいトラバースが続いた。

 尾根は細く急な下降となって踏み跡が左右に分かれ判り辛い所も有って慎重に行動した。そんな中で「こっちやで~⇒」の近江言葉と思われる矢印に緊張がほぐれ和んだ。間違える登山者が多いのか足元が踏み荒らされてニセ分岐が出来ていた為の親切であろう。

 小峠へ着いてヤレヤレ、一本立てた。要所での山名板や指示板が多い鈴鹿の山であるがクラシ北東尾根にもイブネ南東尾根にもその種の札はなかった。注意して捜すと付近の木の幹に「小峠」とマジック書きが有った。

 小峠から谷筋を神崎川を目指して下ったが尾根から50mほどが急で地形図を見ると崩壊地のゲジゲジマークが、ザイルを準備していたが我が会の女傑には全く必要なかった。

 上水晶谷が神崎川に流れ込む辺りで渡渉し鈴鹿の上高地と呼ばれる段丘に上がった。計画ではタケ谷出合分岐へ通ずる80mほど上の先週使用したトラバース道へ出る予定であったがこのまま今朝方渡渉した所まで上高地を散策をすることにした。

 梓川の畔、小梨平を歩いている気分だ。家族連れとすれ違う、幾張りかのテントと焚火跡も見た。釣りをしながら2~3日ここで過すのもいいだろうと思った。

 鈴鹿の上高地は想像していたより良い所でキャンパーもマナーが良くゴミ一ツ落ちていない。根の平峠で休んでいると国見峠から下りて来た登山者のほとんどが上高地へ下って行く、人気スポットなのだろう。今日は美女3人に囲まれていい山登りが出来た。完


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