大垣山岳協会

旧坂内村川上の未知の山”トガス”に登る 2018.01.21

トガス

【 個人山行 】 トガス( 1076.77m Ⅲ等△ ) 丹生 統司

  • 日程:2018年1月21日 曇り後一時雪
  • 参加者:丹生統(単独)
  • 行程:イビデン川上発電所前8:00→導水管上部施設標高500m8:30→P854m10:15→トガス山頂11:10~30→導水管上部施設13:00→駐車地13:20
  • 地理院地図 2.5万図:美濃川上

 この一週間は暖かく天候は春の陽気だ。一度も登ったことのない「トガス」を残雪期のような気分で登ろうと訪れた。坂内川に架かる橋を渡り土木工事現場事務所裏の斜面から雪を拾って植林帯の斜面を登った。

 植林帯の雪はこのところの暖かさでグサグサのザラメ雪、30分を費やし導水管上部施設に着いた。

 送水施設の上部の尾根はなだらかでナラの木が多かった。ブナには「今井」と読める落書きがあった。

 クマが上り下りした爪痕があちこちのブナの木に残されていた。P854mからやっと山頂部が見えた。

 なだらかな尾根は雪が締まって歩きやすく残雪期の山歩き気分。ひと際高くピラミダルな蕎麦粒山。

 左蕎麦粒山、中央奥に五蛇池山と黒津山が重なって見えその右に天狗山。周回した日が懐かしい。

 山頂に雪稜が続いていたが雪庇は小さい。尾根には直径70㎝ほどのブナが所々に残されていた。

 標高900mから高度50mは急傾斜であったが、以後なだらかな尾根を約600m北上してトガスに着いた。

 三角点は深い雪の下である。雪が激しくなり展望は全く効かず軽い食事をとった後すぐ下山した。

<ルート図>

 ホハレ峠で車を捨て、廃林道を延々歩いて烏帽子山に登った記憶がある。高木奏夫・酒井昭市両先生の烏帽子山登山のサポート山行であった。酒井先生の記録によれば昭和58年11月28日、メンバーは7人で私の他は佐竹・小倉幹・田辺氏と記憶しているが、もう一人が浮かんでこない。烏帽子山直下の茂津谷源頭部へ続く廃林道は現在も地形図に記載されているが、当時すでに藪に帰し、極上ナメコの収穫以外は単調で長い道程の藪漕ぎであった。茂津谷源頭部に着く直前に酒井先生はリタイアされたが、すでに病魔に侵されておられたのだろう。酒井先生は私が山を始めた頃すでに県岳連の指導者で岳連の行事で見掛けることは多かったが、個人山行で御一緒したのはこれ一回きりである。

 岐阜山岳会の解散により当会に籍を移していたが、この山行以外に御一緒する機会はついぞなかった。私がすでに社会の歯車として会社組織に埋もれていたせいもあるが、ピッケルやアイゼン、ザイルを駆使するアルピニズム以外の山に興味が失せていたのも事実である。パートナーの退会や転勤、結婚で自然と山から遠ざかったが、当時の狭い登山感が恥ずかしい。酒井先生は著書の中で「私は単独が多く若いパートナーがいない」とよく書かれているが、多分高木奏夫先生と我々のことを言っておられると感じた。同じ会にいた時期があったのだから、酒井先生にも同行しておれば、薫陶を受ける機会もあったと今思えばもったいないことであった。トガス山頂に着くと山頂北側を少し下り150mほど直下のホハレから来る廃林道を目を凝らしたが降雪で見えない。烏帽子山方面もしかりだった。

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