月報「わっぱ」 2015年6月(No.403)
【 一般山行(山スキー) 】 猫又山 ( 2278m Ⅱ△ ) 平木 勤
- 日程:2015年5月22日(金) ~ 23日(土)
- 参加者:L.平木勤、中田英
- 行程:
- 5月22日(金) 大垣20:00=北陸自動車道・有磯海SA(車内泊)
- 5月23日(土) 有磯海SA4:00=魚津IC=南又林道ゲート-片貝南又発電所脇6:00-最終堰堤7:20~50-稜線鞍部11:10~20-猫又山山頂12:00~50-最終堰堤14:05~25-南又発電所15:30=大垣
- 地理院地図 2.5万図:毛勝山
今回で3年連続、3度目の挑戦となる猫又山。何れもスキーで、最初は2人パーティーだったが、1800m手前で引返した。昨年は単独で登頂を果たした。だが残念ながら山頂付近でガスが覆い北アの峰々を眺められなかった。今回はどうなる事か。期待に胸躍らせて出発。
今冬、北アは豪雪に見舞われたが、春先からの高温で雪解けは加速しているという。雪の状態が心配になり、昨年、猫又山でお会いしてお世話になった魚津岳友会の佐竹剛彦さんに問い合わせた。猫又谷に積雪は十分あり、滑降には問題ないとの情報をいただいた。
小パーティーの身軽さもあり、日曜日の予定を好天が期待できる土曜日に変更した。大垣から高速にのり北陸自動車道・有磯海SAで前泊。早めに目覚めて片貝川南又谷に向かう。南又発電所前方で駐車してスキー板を担いで林道を歩き始める。
南又発電所脇で林道は土砂に埋まっていた。そこを越えれば快適な歩きがしばらく続く。路面上の所々に雪が残っていた。
林道に薮がかぶり廃道に近い感じになると目指す猫又谷が見通せた。それを見て中田は「あんなの登れるのか?」と不安げな表情を浮かべる(写真①)。延々と真っ直ぐ伸びる雪の回廊の先にある稜線は遙かに遠い。
最終堰堤を板を担いだまま左岸から越えると情報通りその先はずっと雪が繋がっていた。ここでシール登高に切り替える。脱いだ登山靴は袋に入れて傍らの木につり下げデポ。
真っ直ぐ長く延びる猫又谷は距離感がつかみにくい。歩けど歩けど進んだ気がしない。斜度も緩やかに増し、知らぬうちに急斜面となる。気付けば直登ではシールが利きにくくなっていた。
切り立つ両岸から雪崩も多いようだ。その痕跡と思える光景が幾つもあった。もがれたように折れた倒木。どこから現われたのかと思うような岩石が雪渓上に散らかる。不思議とデブリ痕は見られない。次第に高度を上げふと振り返れば左岸尾根越しに緩やかな弧を描く富山湾の海岸線が見えた。
シール登高での頑張りも斜度がきつくなり2000mあたりが限界。ここでスキーを担いでキックステップ登高。正面からの日差しが暑く、あえぎながら登っていく。上部でやや雪面が固かったがノーアイゼンで何とか乗り切った。
標高約2180mの主稜線鞍部にたどり着くと劔岳の険しく雄大な山容が登場。稜線上は雪が切れ登山道が露出していた。先着していた二人組のスキーヤーはこの先で雪が繋がっていることを期待してスキーを担いでいった。我々は確実性を求めてここに板をデポ。しかし、すぐ先から雪が稜線の東側斜面に続き山頂付近に至った。左手に出ているササをひょいっと越えると全く雪のない山頂に出た(写真②)。
好天の下、北アの大パノラマが広がる。名だたる峰々が連なり、すばらしさは筆舌に尽くし難い。
毛勝山もすぐ近く。何年か前に単独でスキー登高した時の記憶が蘇る。それらの眺めを楽しみながら休憩。他に数パーティーがこの景色を楽しんでいた。
一方、中田は今シーズン、スキーに力を入れてきた総決算とするかのように気持ちよく滑り降りていく。鞍部まで戻っていよいよ滑降。まだ慣れないテレマークで急斜面にドロップ。ちょっときつく上手く滑れない。今シーズンから始めたテレマークスキー。ブーツの踵が固定されないスキー板で前後に足を開き独特のスタイルで滑る。まだ慣れない僕には急斜面でバランスをとるのが難しい。でもそれなりの滑りを楽しめるようになった。
苦労して登ってきた斜面はスキーの滑降ではあっという間だ。最終堰堤でスキーを担いで林道を下っていく。振り返れば猫又谷の真っすぐな雪渓が僕らを見送っていた。白く輝いて「またおいで」と言っているかのようだった。
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