【 個人山行 】 黒津山 ( 1193.4m Ⅳ△ ) 丹生 統司
先週は多雪の蕎麦粒山を楽しんだ。その蕎麦粒山を大谷川を挟んだ対岸の尾根から春の陽気の中を空中散歩しながら眺めようとの計画であった。だが予報は見事に外れ白黒写真の風景報告となり少し残念な報告である。
- 日程:2022年3月3日(木) 曇り一時アラレ時々晴れ
- 参加者:L.丹生統、柴田悦、林 旬
- 行程:旧スキー場6:50-黒津山西尾根取付き7:30-点名・荒倉10:55-アラクラ11:30-五蛇池分岐12:20-黒津山頂12:25~13:00-アラクラ13:40-点名・荒倉14:15-大谷林道着15:50-旧スキー場16:30
- 地理院地図 2.5万図:美濃広瀬
遊ランド旧スキー場に駐車して歩く、雪は先週に比べて半分ほどに減っていると感じた。林道は先週より100mほど奥まで除雪されておりツボ足で西尾根末端まで行き、取り付きでワカンを装着した。
取付きから直ぐ急登が始まり点名・荒倉まで標高差500m、急勾配の直登が続いた。雪は根雪までザラメ状でグズグズ、踏み抜くと空洞になって始末が悪い。岩場が3ヶ所ほど有ったが今日の女性は難無く越えてくれた。ゆとりのないのは小生でザラメ雪の急勾配に四苦八苦で写真を撮るゆとりが無く一枚も残せなかった。ラッセルを交代してやっと1枚。
点名・荒倉(四等△ 882.3)着、GPSでこの辺りと思われる所をピッケルで刺して捜したが石突きが地面に届かず捜索は残念した。
尾根の途中にあった崩壊を持ちこたえている雪庇、雨でも降れば落ちるのだろうがこのまま春を迎え溶けそうな気もする。クラックから風が抜けてトンネル状になっていた。
尾根にデッカイ山毛欅を見つけて立ち止まる。根元回りは雪解けが進み春の準備が着実に進んでいた。
この付近の雪庇は余り大きく発達しておらず安心して気持ちの良い雪稜をジャンクション(1163m)を目指して進む。
樹木の切れ間に蕎麦粒山と小ソムギが双耳峰のようだ。春の陽気の中で眺める予定であったが天気予報が外れ時折アラレが降って来て寒空の散歩となった。
ジャンクション(1163m)に到着、「アラクラ」と書かれたテープがブナに捲かれていた。このピークは我が会発刊の「美濃の山1巻」にも「アラクラ」と書かれているが西尾根の882,3m「点名・荒倉」と漢字とカタカナ違いでまぎらわしい。名付けの所以が知りたいものだ。目印のテープが捲かれた向こうに黒津山が見えている。
東正面に黒津山と吊り尾根で結ばれた天狗山が、更に東奥に小津権現山、花房山、雷倉の小津三山が見えていた。花房山は大垣市内から見るのと山容が違って迫力不足に感じた。
春の陽気を浴びてS字状スカイラインの散歩予定であったが、この日は北風が強く時折アラレと雪交じりで寒く無言で大雪庇に近付かぬよう歩いた。前方に見えるのは五蛇池山。
奥美濃の山登りの楽しみに老木や巨木との出会いがある。千手観音のように八方に枝をくねらせた山毛欅、コブコブの大トチ、岩を噛んで根上がりした天然ヒノキ、ビバークが出来そうなくらいデカイ虚を持つミズナラ等自然が育てた雄大さに何度か感嘆した。今日はミズナラの老木に足を止めた。
雪稜は傾斜を増して五蛇池山との分岐を目指して、尾根から斜面となって来た。
山頂が近くなると空も幾分明るくなって希望が出て来たと思う間なく風が出て白い物が舞って来るのだった。意地悪な天候で有った。
五蛇池山へ続く分岐に着いた、随分と向こうが低く見える。北の方角に白い裾野が見えるがおそらく能郷白山の上部が雲に覆われていると思われる。ここから黒津山頂はもう近い。
黒津山山頂、黄色いテープと青い山名板が迎えてくれた。万歳を三唱して互いの健闘を称えた後は山頂の南斜面で各々スノーベンチをつくり広瀬の集落を眺めてランチタイムを過ごした。しかし北から吹いていた風が時折南に向きを変えて攻められ長居は出来なかった。
帰りの心配は落とし穴の罠である。点名・荒倉からの急斜面はグズグズの雪穴の罠が一杯で小生は2度も大転倒、前のめりになるとザックが頭より先に出て体制を立て直せず大回転して顔面から雪中へ、掛けていた度付きサングラスを無くしてしまった。
あわよくば五蛇池まで足を延ばす予定であったがグズグズのザラメ雪に手古摺って黒津山までとなった。天気も良くなかった。2014年2月26日に同コースから当会のN君と蕎麦粒山まで周回した写真を見比べると積雪が大きく違って今年の方がかなり多い。この分だと4月まで残雪の山が楽しめそうだ。完
コメント