大垣山岳協会

黒津山~天狗山 積雪期周回記 2021.02.20

天狗山

黒津山( 1193.4m Ⅳ△ )、天狗山( 1149.1m Ⅲ△ ) 清水 克宏

 黒津山(1193.4m)は、揖斐川町坂内(旧坂内村)広瀬集落の北、東の黒津川、西の大谷川に挟まれた場所に位置する奥山。

「奥美濃の山」を世に初めて紹介した『樹林の山旅』(森本次男著、1930(昭和15年)刊)の「奥美濃概念図」にその名はない。そのせいか、『ぎふ百山』、『続ぎふ百山』に入らず、2万5千分の1地形図にも山名がない。

 大垣山岳協会編『美濃の山第1巻 揖斐川水系の山1』(ナカニシヤ出版、1996年刊)に「人が訪れたということをあまり聞かない」として収録されているのが、この山の初出ではないかと思う。

 地球温暖化が進む中で、今年は久しぶりの多雪、この山と稜線続きの天狗山(1149.1m)をセットで周回することにした。

<ルート図>

 登山の起点は、岐阜県と滋賀県をつなぐ国道303号線沿いの、道の駅「夜叉が池の里さかうち」に近い、坂内振興事務所脇の、広瀬城址への遊歩道入口。黒津山も天狗山も登山道のない山だが、黒津山側はしんどい尾根の取り付き部分に遊歩道があるのがありがたい。といっても、2日前にまとまった雪が降ったばかり、さっそくスノーシューを装着して登山開始。人の踏み跡はなく、シカの足跡がしっかりトレースを付けてくれている。無雪期なら30分足らずのところ、1時間弱かかり461m地点の戦国時代の広瀬兵庫の居城だったという広瀬城址に到着。この先は長い道なき尾根。

 一昨日の雪のため、標高500~800mあたりは、ラッセルというより、膝上までの雪をかき分け進む。今回はわかんでなく、雪に沈み込みにくいスノーシューを選択して正解だった。

画像① 深雪ラッセル

 雲が切れ、黒津山への尾根が見えてくる。ブナやミズナラの二次林に、急斜面には天然ヒノキが混じる。登ってきた尾根を振り返ると、大谷川を挟んで西に湧谷山(1,080m)が近い。

画像② アラクラ(左手前)と黒津山(奥)

 970m三角点のあたりまで登ると、雲が払われ、雪も締まって快適になる。ウサギらしき足跡が雪原に残るアラクラ(1,163m)の見晴らしのいいピークに到着。蕎麦麦山(左)と小蕎麦粒と向かい合う。あの稜線を2018年の3月にミノマタ側から鈴木さんとたどったことを思い出す。

 アラクラから黒津山までの長い稜線には、大規模な雪庇が張り出す。その向こうに五蛇池山(1,148m)、ミノマタ(1,101m)の稜線が重なり、さらにその奥に能郷白山はじめ県境の稜線が眺められる。

 黒津山山頂手前の肩の部分の急登は、地面が露出していたので、スノーシューを外してよじ登る。14:00 黒津山山頂に到着。登り始めて7時間30分、まだ先は長い。

 黒津山から南東に大きくカーブしながら続く尾根の先に天狗山(1,149m)が眺められる。こちらから眺めると、黒津山よりは大分下る感じ。ブナ疎林のおおらかな尾根を、1042mピークを越えて下り、再度登り返したところに木の生えていない小ピークがある。ここが天狗山付近ではもっとも見晴らしがいい。

 16:25 天狗山山頂に到着。北の能郷白山や、西の蕎麦粒山方向は樹林や尾根であまり見えず、東の小津三山の展望が一番のごちそう。先週挑んだばかりなので、そのシルエットは感慨深い。

 天狗山山頂まで誰か登ってきていると下山は楽だな、と甘い考えを持っていたが、唯一のトレースは、東側の揖斐川本流側の尾根からのもの。気を引き締めて、尾根を間違えないよう慎重に下る。ブナの尾根の向こうに、金糞岳が夕陽に染まる。下りのキモとなる799m三角点に至る頃にはもう日没。

 ここからの下りは明確な尾根の地形にはなっておらず、スギ植林の急斜面の端を歩くようなルート取りで、ヘッドランプではきついなあと思っていたら、標高600mあたりで引き返した踏み跡が出てきて、助けられた。19:00 さかうち道の駅傍の林道に出る。 山修行とでも言いたい、濃い一日だった。

  • 日程:2021年2月20日(土) 曇のち晴
  • 参加者:単独行
  • 行程:さかうち道の駅6:30…広瀬城址7:25…アラクラ12:50…黒津山14:00…天狗山16:25…道の駅19:00
  • 地理院地図 2.5万図:美濃広瀬

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