月報「わっぱ」 2018年5月(No.438)
三角点四方山話(3)
〇「点の記」について
先年公開された映画「剱岳・点の記」を見られた方は多いかと思いますが、点の記とは何でしょう?これは三角点の戸籍謄本みたいなもので、点名、等級、設置した年月日、設置責任者名、設置場所の所在地、付近見取図等、さらには設置に要した人数・日にち、資機材などが克明に記載されています。それを見れば、先人の苦労がしのばれるのです。
剱岳の点の記によると、三等三角点を設置しようと進言したのは、上記映画の主人公である芝崎芳太郎さんですが、実際に標石が設置されたのは、平成16年8月24日なのです。剱岳の標高は、国土地理院の地図では2999mとなっていますが、点の記では2997.1mとなっています。
折角三角点踏査に行くわけですから、その三角点はいつ誰が設置したのかを点の記で調べてから行けば、より面白いものになると思います。点の記は、国土地理院の「基準点等閲覧サービス」から見ることができます。
〇三角測量の歴史
大三角測量は、明治政府の近代政策で明治15年(1882年)内務省地理局がスタートさせました。その後、陸軍省参謀本部陸地測量部が引き継ぎ、明治21年から三角測量法によって、5万分の1の地形図の作成が開始されたのです。
明治34年頃に一等三角点測量がほぼ終了し、順次二等さらには三等の三角測量に移っていきました。そして、対象15年(1926年)に全国の5万分の1の地形図が完成したのです。これは、明治15年に三角点の設置を始めてから、44年の歳月を要したことになります。
(清水克宏、藤井利定( 堀 義博 編集 ))
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