大垣山岳協会

岳友を偲び登る・高室山 2025.10.18

高室山

【一般山行】高室山(818m) 滋賀県犬上郡多賀町 NT

 10月の当会一般山行、高室山はGMリーダーで行う予定であったが、山行実施前の6日に本人が急逝してしまった。岳友の早世を悼み高室山山行を実施した報告である。

<ルート図>
  • 日程:2025年10月18(土)  天候 曇り
  • 参加者:L.NT、OS、OS、KM、GY、FT、FM、FI、HT、MH、RH、YN、YT
  • 行程:高室山登山口駐車場7:32-腰越砦跡7:58-林道出合9:01-高室山山頂9:38~10:11-腰越砦跡11:41-駐車地12:09
  • 地理院地図2.5万図:高宮

 三重県藤原町山口から国道306号を辿り鞍掛トンネルから滋賀県へ、佐目トンネルを抜けて約200mで右折して高室山登山者トイレ付き駐車場に停車した。

 駐車場からコンクリートの階段を北に登って杉林の中を西に辿ると高室山に続く尾根の末端に着いた。高室山⇒登山標識に従って尾根に取り付いた。

 杉林は直ぐに急登となりやがて落葉樹林の尾根となった。本日の参加者で最高齢は85歳が2名、今なお健康を保ち山登りを継続されていることに敬服する。

 818mの低山だが意外や登山者が多いようで登山靴で表土が削られ尾根は木の根がむき出しだ。少し罪の意識を感じて根を踏まぬ気遣いで登った。

 尾根を登り切った標高420mの高みはその昔に腰越城(砦)が有ったようで説明書きと縄張り図があった。此処で地形図を出して現在地の確認を兼ねて最初の休憩をとった。

 北に向かって20m下り10m登って又20m下った。鞍部は嘗て佐目の集落と大君ヶ畑を結ぶ峠道が有ったように思われ獣道のような薄い踏み跡が確認出来た。それを過ぎると岩混じりの急登が続いた。

 標高400mから500mにかけて最も傾斜が強く最高齢者のKMさんを心配したが歩行スピードは遅いが会話の声が元気なようで安心した。

 標高500mを過ぎて尾根の傾斜が落ちたので立ち休憩を入れた。無理をする必要はない、山頂まで2時間半ほどかけてゆっくり登る予定だ。大事なことは参加者全員を山頂に立たせること、これもリーダーの技量の1ツである。

 道脇の枯れ木にフワフワの焼きたてパンのようなキノコを見つけた。美味しそうだったが手で触ると実際は固くてフランスパンのようだった。猿の腰掛の幼菌と思われる。

 標高600mから石灰岩の山にありがちな広い台地となって杉の人工林となった。湿気の多い谷筋沿いの道はいかにもヒルの巣窟の予感がした。下って来た若者はスリッパ履きでヒルにすれば格好の獲物、アンテナを振って歓迎する様子が浮かんだ。

 標高650mで林道に出たので2度目の休憩をとった。熊注意の看板と共に何故こんな高所にと思われたが登山届ボックスが有った。熊よりもヒルが心配で注意報を出した。

 15分ほど林道を歩くと再び山頂に向かう山道に入った。道はヒノキの植林帯の尾根につけられていたが標高750mを過ぎると西にトラバースが始まった。

 トラバースを終えると落葉樹の森となって東に向かい斜面を登った。落ち葉が斜面を埋めていたが道は赤土がむき出しで滑りそうだった。下山は落ち葉の上を歩くのが賢明だろう。

 落葉樹の森を抜けると周りはシダ類とマツカゼソウの草類が足元に増えた。滑りやすい赤土の道を足元に注意して進んだ。

 風雨で削られた赤土の道に導かれカルスト地形の広い山頂に着いた。東から南に至る烏帽子岳や三国岳、御池岳など鈴鹿の山々は雲の中だった、

 西の眼下に東近江市、近江八幡市、野洲市の市街地を見下ろした。その先に琵琶湖の湖面は遠くなるほど雲と一体となって比良の山々を隠していた。

 年間事業計画では当山のリーダーはGM副理事長で有ったが10月6日に58歳という若さで身罷れた。本日は彼の写真と共に高室山に登った。

 写真は昨年10月の穂高ミニ合宿での下山中の徳沢園でソフトクリームを頬張るG副理事長である。くしゃくしゃ笑顔のGさんが好き!という声が多かったがお澄まし顔もどうして・・・常に誠実で偉ぶった所がなく女性の人気は一番だった。

 集合写真後に「岳人の歌」と「惜別の歌」を歌って彼を送り偲んだ。やがて御池岳に掛かっていた雲が俄かに湿気り煙っていた。そして高室山山頂にもポツポツと落ちて、我々の胸中を察してのようだ、帰りのザックを整えカルスト地形の山頂を後にした。完

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