大垣山岳協会

白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)縦走 2025.07.25~27

白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)

【一般山行】白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)縦走 SK

 白根三山(しらねさんざん:注)は、赤石山脈(南アルプス)にある北岳・間ノ岳・農鳥岳の三山の総称で、富士山に次ぐ標高第2位の北岳(3,193m)と、奥穂高岳と並ぶ標高第3位の間ノ岳(3,190m)、そして農鳥岳(3,026m)と3千m峰が連なる。
この3千mの稜線を縦走に、7月25日(金)~27日(日)北岳肩の小屋、大門沢小屋泊の2泊3日で行ってきました。
実は、本計画のリーダーを仰せつかって、昨年、一昨年も計画したけれど、悪天で中止。3年目でようやく決行できたもの。
注:「白根」のほか、「白峰」という表記がある。「白根」は平家物語に記述があり、国土地理院の2万5千分の1地形図表記も「白根三山」になっている。「白峰」は、日本山岳会を設立した小島烏水が初めて使ったもの。ちなみに、小島烏水が1904年(明治37年)雑誌「太陽」第十巻3号に発表した1900年(明治33年)の山行記録だとする「甲斐の白峰」について、小島にはこの年に北岳に登った事実はなく、1902年(明治35年)北岳に登ったウェストンの「ジャパンウィークリーメイル」1902年11月号の「甲斐ケ根山の登山(The Ascent of Kaigane-san)」の文章を剽窃していることが、小島の死後、アーネスト・サトウの子息で第6代日本山岳会会長の武田久吉によって明らかにされている(近藤信行著「小島烏水 山の風流使者伝」(創文社 1978年)P178~215)。

<ルート図1>
<ルート図2>
<ルート図3>
  • 日程:2025年7月25日(金)~27日(日)
  • 参加者:SK(L・記)、NY(SL)、KM、HM、MY、YT、YH、NH
  • 行程:7月25日(金) 午前快晴 午後一時雷雨 夕方快晴 三城交番西駐車場(集合)3:30-下部温泉早川I.C. -奈良田(駐車)7:35~8:40=(山梨交通バス)=広河原8:35…白根御池小屋11:50~12:10…小太郎尾根分岐14:30…北岳肩の小屋(泊)15:15
  • 行程:7月26日(土) 午前快晴 夕方一時雷雨 夜晴 北岳肩の小屋4:05…北岳(朝食)5:05~5:30…北岳山荘6:45~7:00… 中白根山7:35…間ノ岳8:50…農鳥小屋10:15~10:30…西農鳥11:25…農鳥岳(昼食)12:45~13:00…分岐13:30…大門沢小屋(泊)16:20
  • 行程:27日(日) 晴のち曇 大門沢小屋5:00…第一発電所バス停9:05…奈良田9:30-(入浴)-三城交番西駐車場(解散)16:50
  • 地理院地図2.5万図:鳳凰山、仙丈ヶ岳、間ノ岳、夜叉神峠

25日は、奈良田8:40発の北岳登山口広河原行きの8:45発のバスに乗るため、混雑も想定して3:30大垣市を出発、登山口の奈良田に7:30過ぎに到着。
5:30・8:40・15:30と、1日に3本しかないバスは、予想外に空いていた。
ベテランの車掌さんによると、午後になると天気が崩れるので、肩の小屋まで登る登山者は、ほとんど始発バスに乗車するのだとか。
梅雨明け直後の夏山の天気のパターンとして、午前中快晴で積乱雲が発達し午後は雷雨があり、夕方また晴れということが多い。分かってはいるけれども、こういう行程にせざるを得ないのがグループ登山の難しいところ。

広河原に9:25着。
橋を渡ったところにあった広河原山荘が、バス停の手前に移転・新築されていて驚いた。旧広河原山荘は2022年に閉館され、経営者も山梨交通に変わったのだとか。
ゲートを通過し、9:35登山開始。
リーダーとして想定される天気で、メンバーの体力を考えながら、どのようにピッチを設定していけばいいのか、頭はいっぱいになる。

最初は、樹林帯の中標高差700mほどの急登。標準コースタイムは3時間10分。
少しピッチを上げ気味にして、メンバーがどのくらいついてこられるかを確認。
コメツガなどの針葉樹林の木陰のおかげで、比較的涼しく登ることができた。

11:50、白根御池小屋に到着・昼食。登山口から2時間25分といいピッチで来られた。
ただし、もう入道雲が稜線あたりにあがり始めている。

白根御池小屋横に、小屋の名の由来となった、白根御池(しらねおいけ)がある。
湧水で年中涸れることがなく、龍神が住む池として崇められ、江戸時代には干ばつの時に、村々が講を作って参詣し、牛や馬の骨を池に投げ込み、龍神を怒らせて雨を祈願したのだとか。

白根御池から小太郎尾根の分岐までの「草すべり」は、標高差約600mの急斜面をジグザグに登る。
樹林が切れてダケカンバの灌木などが中心なので、日が照り付け、天気がいいとバテやすい箇所。
今回は、登りだしてしばらくで雨となり、雨合羽を着ての登高となった。
雷鳴が黒い雲の中から響き、気持ちのいいものではない。ただ、稜線上ではないのが救い。
今日の行程では、稜線上を歩くのは、小太郎尾根分岐から肩の小屋までの約30分、そこに至るまでに、雷が行き過ぎてほしいところ。

草すべりは、高山植物のお花畑。
黄色いウサギギク、ハクサンフウロ、タカネグンナイフウロ、ヨツバシオガマ、シナノキンバイ、イブキトラノオなどが咲いていた。ゆっくり眺めている余裕がないのが残念。

14:30 小太郎尾根分岐に出る。3時間のコースタイムを2時間30分で来られた。落伍者もなく、皆さんがんばってくれ、ありがたい。
幸い雨が上がり、小太郎山(2,725m)の向こうに甲斐駒ヶ岳(2,967m)も姿を表してくれた。

今日の宿泊地、北岳肩の小屋をめざし、最後の稜線急登。

西の仙丈ヶ岳(3,033m)、甲斐駒ヶ岳、ゴールデンウィークに登った鳳凰三山を眺めながらの登高で、先ほどまでの不安な気持ちもどこへやら、テンション上がります。

イワギキョウの群落のそばで、人懐こいイワヒバリがさえずってくれた。

富士山にかかっていた雲も切れて、秀麗な姿が現れる。

15:15 無事北岳肩の小屋に到着。
建屋自身は以前と変わっていないが、新型コロナの時期を経て、全面改装され、過去は2階に雑魚寝だったのが、今は2段ベッドで、一人ずつに仕切りが入っている。予約が取りにくくなったとはいえ、大変快適な小屋になってありがたい。

かつてだと、ピーク時は60人×2回というあわただしさだった夕飯も、手間のかかった鉄板焼きでおいしかった。
夕飯後のひと時、小屋の外に出て、夕暮れの山々を眺める。
この至福のひと時を、メンバーに味わってもらえてよかった。

仙丈ヶ岳の肩に日が沈む。
明日も同じような天気と想定されるが、早立ちしてなんとか夕立の前に稜線歩ききってしまいたいもの。

白根三山縦走2日目の26日、北岳・間ノ岳・農鳥岳に登り、大門沢小屋まで下る、長丁場の一日。
北岳から御来光を拝むため、4:00に北岳肩の小屋を出発。
振り返ると、小屋の向こうに甲斐駒ヶ岳、鋸岳、そして雲海遥かに八ヶ岳連峰が眺められる。

登山者がいっぱい立つ北岳山頂の一つ手前のピークでご来光の時間を迎える。
鳳凰三山観音岳の真上あたり、秩父山地の向こうから日が昇る。

5:05 北岳山頂に立つ。朝日にみんなの笑顔が光っている。

仙丈岳の向こうに飛騨山脈が、昨夕以上にくっきり眺められる。

富士山方向にのびる、八本歯のコルからはじまる池山吊尾根。
その左手、山頂直下に、標高差約600mの大岩壁:バットレスがあり、Nさんが、Sさんと一緒に登攀している。私もまた連れて行ってと、Hさん。
さて、朝食の弁当を食べたら、そろそろ出発しますか。

北岳から大下りをしていくと、北岳山荘の赤い屋根が近づく。
6:45 北岳山荘を通過、7:35 中白根山(3,055m)を通過。

間ノ岳に向け、ひたすら登る。
振り返ると、北岳が北側から見た台形の姿ではなく、円錐形に引き絞られた姿で眺められる。
高所のせいか、昨日に比べ、メンバーのピッチが少し落ちてくる。
「空気が薄いところの登りは、口から息をフウっと吐き出すことを心掛けて。すると、呼吸が深くなるから。」とアドバイス。

8:50 奥穂高岳と並ぶ日本第3位の高峰・間ノ岳山頂に立つ。どこから入山しても遠い山であります。

行く手には、西農鳥岳と農鳥岳、そして大井川源流部の谷をはさんで、塩見岳(3,052m)、荒川三山が眺められる。赤石山脈(南アルプス)は、北から南まで大物の山ぞろいだなあと再認識。

間ノ岳から大下りしていくと西農鳥岳の直下の農鳥小屋が見えてくる。名物の親父さんが管理人をやっておられたけれど、一昨年から体調を崩されて、女性が管理人をされているとのこと。
10:15 農鳥小屋を通過。

雲がだいぶん上がってきたので、崩れないうちにとピッチを上げ目にする。
11:25 西農鳥岳山頂に立つ頃には、雲の中。標高3,051mと、3,026mの農鳥岳より高いのに、単なる通過点になっている恵まれない山。
12:45 農鳥岳山頂に到達。北岳も間ノ岳も三等三角点なのに対し、ここは二等三角点。
今回最後のピーク、苦しかった道のりも名残り惜しい。

13:10 大門沢への分岐に出る。なんとか稜線で雷は免れた。
分岐からは、一気に千m分ほどをひたすら大下り。「しばらく縦走はもういい」などと気弱な声も。
大門沢の源頭に出会うあたりで、雨がぱらついたが、大したことはなかった。

16:20 なんとか大門沢小屋に到着。まずは缶ビールを注文!
クラシックなたたずまいながら、管理人さんが変わって、フレンドリーな雰囲気でよかったです。
沢沿いなので、水はふんだんだし、トイレ環境も良好。
ここも、新型コロナ後、部屋は一人ずつ仕切りが入って、寝やすくなっていた。
5時に夕飯。ご飯も確実においしくなっていた。

白根三山縦走最終日の27日。
今日も朝は快晴で、小屋の前から、遥かに富士山が眺められる。

5時から朝食。5:40 小屋を後に下山にかかる。
不安定そうな丸木橋を3回ほど渡る。雨天時にはどのように行動するか悩むだろうルート。

大門沢沿いの下山道は、昨日の上部に比べると穏やかなので、おしゃべりが多くなる。
沢沿いに進んでいくと、氾濫したような湿地帯に入り込み、ここまで一定間隔で付いていた赤テープが見当たらなくなる。
「皆も、ガイド登山のようにただついていくんではなくて、リーダーが赤テープを見逃していないかとか、当事者意識をもって注意しながら歩いてください。単独行よりグループ山行の方が道に迷いにくいのは、目がいくつもあるからなんだから。」
先行者の足跡を確認しながら歩いていたのだけれど、どうやらその人たちが間違えていて、地図で確認すると登山道は川沿いの氾濫原を離れ、高巻きしている。
何とか軌道修正していくと、メンバーが赤テープを発見してくれ、無事登山道に戻ることができた。
先行して迷っていた2人組も、こちらに気が付いて谷底から上がってきた。
しばらくすると、気持ちのいいサワグルミやカツラなどの落葉広葉樹林の森になる。

小尾根を乗り越し急斜面をジグザグに降下する。
「こういう直下にも登山道があるところで落石すると、滑落の危険もあるから、石を落とさないように。
落としたら『ごめんなさい』じゃなくて、端的に『落石(クラック)!』とすぐ声をあげて。」

8:00 発電所取水口の上の吊橋に出、河原の工事現場を通過、川原を歩いて対岸に出る。その直前に工事会社がしつらえた休憩所があり、一服。
林道を歩いて、9:05 第一発電所のバス停に出る。長かった縦走も無事終えることができた。

9:30 奈良田集落まで戻り、「奈良田温泉女帝の湯」でさっぱりする。
奈良時代の女帝・孝謙天皇にまつわる伝承があるのだとか。
奈良田は、古い山里のたたずまいをしのばせ、気持ちよく縦走を終わらせることができた。
メンバー様、お疲れさまでした。

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